英文契約書における「費用の負担」についての表現

      2017/08/07

 

 

今回は、費用の負担に関する表現をご紹介したいと思います。

 

契約書には、契約当事者の義務がたくさん定められています。

 

通常、その義務を果たすためにかかる費用は、その義務を行うように求められている当事者が負います。

 

例えば、売買契約において、製品を買主のところまで持ってくるのが売主の義務である場合には、次のように定められています。

 

The Seller shall deliver the Product to the Purchaser by the date set forth in purchase order.

 

ここで、売主が買主のところまで製品を運ぶことが売主の義務として契約書のどこかに定められている場合には、その運ぶためにかかる費用も契約金額の中に含まれていることは明らかので、あえて「この運ぶ費用は売主の負担です」という表現は記載されないのが通常です。

 

しかし、あえてこのような、「誰の費用負担か」を明記する場合があります。

 

例えば、製品の保証期間中に、買主に納入した製品に欠陥が発見された場合に、それを売主は修理・交換する義務を負っていますが、その際には、以下のような定めになっていることがあります。

 

The Seller shall repair or replace the defective part of the Product at its cost.

 

これは、「売主は、自己の費用で、製品の欠陥部分を修理または交換しなければならない」という意味です。

 

保証期間中の欠陥の修理・交換なので、売主がそのための費用を負担するというのは当然と言えば当然ですが、このように明示することがあります。

 

また、あえてどちらがその費用を負担するのか明示しないとわからないという場合にも、このat one’s costという表現は使用されますので、覚えておくと便利です。

 

この表現を覚える際の注意点は、on one’s costというように、使われる前置詞はonではなく、atだという点です

 

また、これは、at one’s cost and expenseat one’s own expenseと書く場合もありますが、どれも同じ意味です。必ずcostsとexpensesを両方書いておかないとダメ、ということはなく、片方だけ書けば足ります。また、ownはあってもなくてもone’sという表現があれば足ります。

 

英文契約書を読んでいるときに、at one’s (own) cost (またはexpense)という表現が出てきたら、本当にその費用負担は自社でよいのか?という視点で確認するようにしていただければと思います。

 

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第1回 義務

第2回 権利

第3回 禁止

第4回 ~に定められている、~に記載されている

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足)

第6回 ~に従って

第7回 ~に関わらず

第8回 ~でない限り、~を除いて

第9回 provide

第10回 ~に関する

第11回 ~の場合

第12回 ~の範囲で、~である限り

第13回 契約を締結する

第14回 契約締結日と契約発効日

第15回 事前の文書による合意

第16回 ~を含むが、これに限らない

第17回 費用の負担

第18回 努力する義務

第19回 知らせる

第20回 責任

第21回 違反する

第22回 償還する

第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)

第24回 故意・重過失

第25回 救済

第26回 差止

第27回 otherwise

第28回 契約の終了

第29回 何かを相手に渡す、与える

第30回 due

 

英文契約書の基本的な表現 第31回 英文契約書における「瑕疵(defect)」が発見された場合の救済方法の表現

英文契約の基本的な表現 第32回 「~を被る」という表現

英文契約書の基本的な表現 第33回 「~を履行する」

英文契約の基本的な表現 第34回 果たす、満たす、達成する

英文契約の基本的な表現 第35回 累積責任

英文契約の基本的な表現 第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害についての表現

英文契約の基本的な表現 第37回 補償する・免責する

英文契約の基本的な表現 第38回 権利を侵害する

英文契約の基本的な表現 第39回 保証する (guarantee)

英文契約の基本的な表現 第40回 品質を保証する(warranty)

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