EPC契約における瑕疵担保責任③ 保証期間の延長
瑕疵担保保証期間の延長
瑕疵担保期間中に、プラントに瑕疵が発見され、その瑕疵をコントラクターが修理したとします。
その場合、プラントの瑕疵担保保証期間はどのように扱われるべきでしょうか。
この点、もちろん、コントラクターにとって好ましいのは、瑕疵担保保証期間が一切延長されないことです。
しかし、瑕疵が発見され、それを修理した以上、それは到底オーナーにとって受け入れられるものではないでしょう。
案その1
まず考えられるのは、「瑕疵が原因でその瑕疵部分を使用できなかった期間分だけ、瑕疵担保保証期間を延長する」というものです。
例えば、瑕疵担保保証期間が2年で、保証期間開始後1年半後に瑕疵が発見され、3カ月間その瑕疵部分を使用できなかったとします。
その場合、その瑕疵の部分については、3カ月間保証期間を延長する、というものです。そして、それ以外の部分については、当初の保証期間の通り、2年で保証が切れます。
もっとも、プラントは、ある一部分に瑕疵があると、他の部分も使用できないという事態になることもあると思います。
そのため、保証期間が延長されるのは、瑕疵があった部分についてだけではなく、瑕疵が原因で使用できなくなった部分も含めるようにオーナーから求められるのが通常でしょう。そしてそのオーナーの要求は、公平なものでもあると思います。
案その2
もう一つありえるのは、瑕疵部分については、瑕疵担保保証期間が最初からスタートする、というものです。
例えば、2年間の保証期間のプラントのある部分について、1年半後に瑕疵が発見されたとします。そして、3カ月間修理をして、運転再開となった場合、運転再開時から2年間、その瑕疵部分は保証される、というものです。
この場合には、2年間の新たな保証期間に服するのは、瑕疵部分だけで、他の部分は、瑕疵が原因で使用することができなかった期間分だけ保証期間が延長される、というのが公平な扱いだと思います。
保証期間の上限
ここで、上記2つのどちらの場合でも、延長される保証期間の上限を定めておくべきだと思います。
つまり、「保証期間は、最初の保証期間開始時から4年を超えないものとする」といった条文を加えるのです。
これは、オーナーからしてみれば不公平に思えるかもしれません。しかし、長期間経過後は、瑕疵と思われるものが発見されたとしても、それがコントラクターに原因があるのか、それともオーナーの不適切な運転に原因があるのかについての判断がしにくい状態になりえます。そのような場合にもすべてコントラクターがずっと保証責任を負い続けるとなると、コントラクターは、そのリスクのためにコンティンジェンシー費を契約金額に含めようとするでしょう。
そうなると、契約金額が上がります。
これは、オーナーからしても、決してよいこととは言えないでしょう。
よって、保証期間の延長の上限を設けるというのは、オーナーおよびコントラクターの双方にとってメリットのあるものであると思いますので、オーナーとの協議の際に、そういう話もしていただければと思います。
瑕疵担保責任に関心がある方はこちらもお勧めです。
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権
EPCコントラクターの下請けとして機器供給する契約の注意点(その①)保証期間の定め方
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EPC/建設契約の解説書 | EPC/建設契約の解説書 | 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方 |
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Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
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