EPC契約におけるプラントの検収の条件と効果
検収の効果
前回まで2回にわたり、試験について説明しました。
では、晴れて全ての試験に合格すると、何が起きるのでしょうか?
そう、検収です。
検収とは、プラントがコントラクターからオーナーに引き渡されることを言います。
では、検収に至ると、何がどうなるのでしょうか?
EPC契約には、この検収の効果が定められています。
概ね、以下のようなものです。
・納期遅延に基づく損害賠償支払い義務からの解放(もっとも、納期に遅延して検収に至った場合には、遅れた分の損害賠償は当然支払わなければなりません。ここでは、検収以降に納期遅延になる、ということは起きないことを指します)
・プラントの保証期間の開始
・プラントの危険がコントラクターからオーナーに移転
・プラントの所有権がコントラクターからオーナーに移転(オーナーがプラントを自己の所有物として、商業運転を開始することができるようになる)
上記のうち、納期遅延に基づく損害賠償義務からの解放、保証期間の開始、危険がオーナーに移転する、というのは、コントラクターにとってはできるだけ早く受けたいものです。
よって、EPC契約書の中に、検収の効果としてこれらが明記されているかを確認のうえ、もしも記載が漏れている場合には明記するようにしましょう。
検収の条件
この点、検収の条件もEPC契約に定められていますが、それは概ね次のようなものです。
・EPC契約に定められている各種試験に合格(オーナーによって求められる追加試験の合格も含む)
・オーナーが、検収を証明する証明書をコントラクターに発行すること
特に、2つ目の「検収を証明する証明書の発行」は、オーナーに期限を設けるべきです。
そして、その期限内に証明書が発行されない場合には、「みなし検収」として、その時点から検収の効果が生じるようにEPC契約に定めるようにしましょう。
そうしないと、オーナーの不手際で証明書が発行されないことを理由にコントラクターが納期に遅延したことになりかねませんし、さらに、保証期間の開始やリスクの移転が遅れてしまいます。
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Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
2nd edition February 2017 |