プロジェクトファイナンス①
企業法務2年目のタマは、先輩社員ハチに、何か相談したいことがあるようです。
プロファイとは?
そういわれると、余計気になるんですよ。もしかしたら、EPC契約の検討の際に何か考慮するべきことがあるかもしれないし・・・
というわけで、二人はホワイトボードがある部屋に行き、プロジェクトファイナンスについて話をすることになりました。
ファイナンスについて
例えば、何か製品を製造したければ、その材料を買わないといけない。製造にかかわる人を雇わないといけない。その材料の費用や人の給料を払うためにお金が必要になるよね。そのためにどこかからお金を集める必要があるよね。このお金を集める行為を、「資金調達」といい、英語では「ファイナンス」と言うんだよ
プロジェクトファイナンスの最大の特徴
ちなみに、この「保証がない」というのを、「ノン・リコース」というんだ。「リコース」は、英語で「請求権(遡及権)がある」という意味だよ。つまり、「リコース」の融資というのは、保証人に対して銀行が請求権を持っているという意味になる。一方、「ノン・リコース」の融資というのは、銀行が請求権を持っていない、ということなんだ。だから、プロジェクトファイナンスは、「ノン・リコース」、または、限定された「リコース」という意味で、「リミテッド・リコース」の融資なんだよ
・「ファイナンス」とは、「企業による資金調達」のことを言う。
・ファイナンスには、大きく以下の3つがある。
新株発行
一般の投資家への社債の発行
銀行や金融機関から融資を受ける
・プロジェクトファイナンスは、この融資の中の一つ。
・その最大の特徴は、保証がない、または保証が限定的であるにも関わらずなされる点にある(ノン・リコース、またはリミテッド・リコースの融資)
・そして、銀行が保証を得なくても、あるいは限定的な保証であっても融資を行える理由は、銀行がそのリスクをとることができると考えていること、そして、その分利益を得ることができると考えているから。
EPCコントラクターからみたプロジェクトファイナンス
②発電所建設事例
③EPCコントラクターが注意するべき点
『英文EPC契約の実務』は、お陰様で出版から6度の増刷となっております。
この本は、
・重要事項についての英語の例文が多数掲載!
・難解な英文には、どこが主語でどこが動詞なのかなどがわかるように構造図がある!
・もちろん、解説もこのブログの記事よりも詳しい!
・EPCコントラクターが最も避けたい「コストオーバーランの原因と対策」について、日系企業が落ちいた事例を用いて解説!
・英文契約書の基本的な表現と型も併せて身につけることができる!
ぜひ、以下でEPC契約をマスターしましょう!
EPC契約のポイントの目次
【私が勉強した原書(英語)の解説書】
残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。
原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。
EPC/建設契約の解説書 | EPC/建設契約の解説書 | 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方 |
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 | 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 | 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。 |
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 | 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 | 英国におけるDelay Analysisに関する指針 |
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 | 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 | 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。 |
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
2nd edition February 2017 |