EPC契約における瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項
2018/09/14

Disclaim
英米法の下では、瑕疵担保保証の条文には、「ここに定められているもの以外の一切の保証を免責する」といった旨の条文が定められることがあります。
特に準拠法が米国の法律とされている場合には、その条文を全て大文字で定めているものがあります。
これは、「免責条項」、または「disclaim条項」と呼ばれています。
以下が例文です(ここでは、読みやすくするために普通に小文字で書きました。)。
There are no warranties of the Contractor to the Owner hereunder with respect to the Works, express or implied, other than as set forth in this Article X. The Contractor does not make any other warranties or implied warranties of any kind, whether arising from law, custom, statute or otherwise, including any implied warranty of merchantability or fitness for a particular purpose. The remedies set forth in this Article X shall be the sole and exclusive remedy for the Owner in connection with the defect in the Plant. |
この点、ENAAやFIDICといったEPC契約のモデルフォームにはこの手の条文が定められていないようです。
しかし、私は、念のため、この条文をEPC契約の準拠法がどこの国の法律とされていても、定めるようにしていました。
すると、ほぼ全てのオーナーが受け入れてくれていました。「免責条項」「disclaim条項」は、広く受け入れられている条文と考えてよいのかもしれません。
自社の瑕疵担保保証の範囲・内容を明確にするために、入れてみてはいかがでしょうか
オーナーに起因する履行の中断があった場合の保証期間
契約履行中、オーナーの原因で契約の履行が中断されることがあります(例えば、オーナーが対価の支払いをしない場合に、支払いがなされるまで、コントラクターが履行を中断する場合や、オーナー都合でコントラクターの履行を中断する場合)。
このような中断があった場合、保証期間について、この中断期間が考慮されるべきでしょう。
例えば、2016年6月末が納期、保証期間が2年間のEPC契約において、オーナーに起因する中断が1年半あったとします。つまり、検収は最終的には2017年12月末になりました。ふつうに考えると、保証期間は2019年12月末になります。
しかし、オーナーに起因する中断がなければ、保証期間は2018年6月末で満了となるはずだったのです。
オーナーのせいで、保証期間が実質1年半のばされているようなものです。これは不公平でしょう。
よって、オーナーに起因するコントラクターによる履行の中断があった場合には、保証期間についてこの点が考慮され、上記で言えば、2018年6月末以降に発見された瑕疵については、コントラクターは責任を負わなくてよい、という扱いにするのが良いと思います。
瑕疵担保責任に関心がある方はこちらもお勧めです。
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権
EPCコントラクターの下請けとして機器供給する契約の注意点(その①)保証期間の定め方
仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い
納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL
不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き
不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合
契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除
契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除