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本郷塾で学ぶ英文契約

EPC契約における瑕疵担保責任③ 保証期間の延長

2024/01/04
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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瑕疵担保保証期間の延長

 

瑕疵担保期間中に、プラントに瑕疵が発見され、その瑕疵をコントラクターが修理したとします。

 

その場合、プラントの瑕疵担保保証期間はどのように扱われるべきでしょうか。

 

この点、もちろん、コントラクターにとって好ましいのは、瑕疵担保保証期間が一切延長されないことです。

 

しかし、瑕疵が発見され、それを修理した以上、それは到底オーナーにとって受け入れられるものではないでしょう。

 

 

案その1

 

まず考えられるのは、「瑕疵が原因でその瑕疵部分を使用できなかった期間分だけ、瑕疵担保保証期間を延長する」というものです。

 

例えば、瑕疵担保保証期間が2年で、保証期間開始後1年半後に瑕疵が発見され、3カ月間その瑕疵部分を使用できなかったとします。

 

その場合、その瑕疵の部分については、3カ月間保証期間を延長する、というものです。そして、それ以外の部分については、当初の保証期間の通り、2年で保証が切れます。

 

もっとも、プラントは、ある一部分に瑕疵があると、他の部分も使用できないという事態になることもあると思います。

 

そのため、保証期間が延長されるのは、瑕疵があった部分についてだけではなく、瑕疵が原因で使用できなくなった部分も含めるようにオーナーから求められるのが通常でしょう。そしてそのオーナーの要求は、公平なものでもあると思います。

 

 

案その2

 

もう一つありえるのは、瑕疵部分については、瑕疵担保保証期間が最初からスタートする、というものです。

 

例えば、2年間の保証期間のプラントのある部分について、1年半後に瑕疵が発見されたとします。そして、3カ月間修理をして、運転再開となった場合、運転再開時から2年間、その瑕疵部分は保証される、というものです。

 

この場合には、2年間の新たな保証期間に服するのは、瑕疵部分だけで、他の部分は、瑕疵が原因で使用することができなかった期間分だけ保証期間が延長される、というのが公平な扱いだと思います。

 

 

保証期間の上限

 

ここで、上記2つのどちらの場合でも、延長される保証期間の上限を定めておくべきだと思います。

 

つまり、「保証期間は、最初の保証期間開始時から4年を超えないものとする」といった条文を加えるのです。

 

これは、オーナーからしてみれば不公平に思えるかもしれません。しかし、長期間経過後は、瑕疵と思われるものが発見されたとしても、それがコントラクターに原因があるのか、それともオーナーの不適切な運転に原因があるのかについての判断がしにくい状態になりえます。そのような場合にもすべてコントラクターがずっと保証責任を負い続けるとなると、コントラクターは、そのリスクのためにコンティンジェンシー費を契約金額に含めようとするでしょう。

 

そうなると、契約金額が上がります。

 

これは、オーナーからしても、決してよいこととは言えないでしょう。

 

よって、保証期間の延長の上限を設けるというのは、オーナーおよびコントラクターの双方にとってメリットのあるものであると思いますので、オーナーとの協議の際に、そういう話もしていただければと思います。

 

瑕疵担保責任に関心がある方はこちらもお勧めです。

瑕疵担保責任① 総論

瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権

瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項

EPCコントラクターの下請けとして機器供給する契約の注意点(その①)保証期間の定め方

 

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EPC契約のポイントの目次

Scope of Work ボンドのon demand性を緩和する方法 プラントの検収条件と効果
サイトに関する情報 コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は? 危険の移転時期とその例外
オーナーの義務 仕事の遂行 債務不履行
契約金額の定め方と追加費用の扱い 設計(design)の条文について① 納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合
追加費用の負担について 設計(design)の条文について② 納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ
ボンドについて 仕様変更① 仕様変更とは? 納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限
入札保証ボンド 仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項 納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy
前払金返還保証ボンド 仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い 納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD
履行保証ボンド プラントの試験① 性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験
瑕疵担保保証ボンド プラントの試験② 性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD
責任制限条項① Limitation of Liability/LOL 不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き 私がEPC契約で真っ先に確認する点③
責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合 不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合 LOIの何がリスクなのか?
瑕疵担保責任① 総論 法令変更について LOIへの対処法(対外的)
瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権 契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか? LOIへの対処法(社内的)
瑕疵担保責任③ 保証期間の延長 契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除 EPC契約における支払い条件
瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項 契約解除③ オーナーの自己都合解除
作業中断権① 中断権の存在意義 契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除
作業中断権② 中断権行使の効果 契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合
不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か? 私がEPC契約で真っ先に確認する点①
不可抗力の扱い② Force Majeureの効果 私がEPC契約で真っ先に確認する点②

 

【私が勉強した原書(英語)の解説書】

残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。

原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。

EPC/建設契約の解説書 EPC/建設契約の解説書 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 英国におけるDelay Analysisに関する指針
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol

2nd edition February 2017

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