入札保証ボンド
入札保証ボンド
入札保証ボンドとは、入札時に、入札書類と一緒にオーナーに提出することが一般的です。
この入札保証ボンドは、入札後にコントラクターが落札したにも関わらず、コントラクターが契約を締結しないといったことにならないようにすることを保証するものです。
入札で落札したのに、その落札した会社が、「やっぱりこの案件、やりたくない。まだ契約を締結したわけでもないし、辞退してもいいよね。」と考えて、契約を締結しないことができるとしたら、どうなるでしょうか?
おそらく、オーナーは、もう一度、入札をやり直さないといけなくなりますよね。
入札のための準備は、コントラクター側にとって時間もお金もかかるものであることは間違いありませんが、オーナー側も同じく時間とお金をかけています。
それが、一度入札をして落札者も決定したのに、再度入札をやるのは、大変面倒でしょう。また時間とお金がかかってしまいます。
そこで、EPC案件では、「落札したにも関わらず、契約を締結しないなんてことはしませんよ」ということをコントラクター側が保証するために、入札保証ボンドをオーナーに差し入れることが求められるのが一般的です。
この入札保証ボンドの保証金額は、案件によって異なりますが、契約金額の10%程度であることが多いように思います。
入札保証ボンドの返還
ところで、入札保証ボンドに限らず、ボンドは、その役目を終えたら、返還してもらう必要があります。
というのも、このボンドというものは、前回ご説明したようにon demandなので、このボンドを、ボンドを発行した銀行にもっていって、「払って」と言えば、銀行は払わざるを得なくなるものなので、ボンドはその役目を終えたら、早急に返してもらわないと大変危険です(このように、ボンドを使って保証金額がオーナーによって引き出されることを、「ボンドの没収」と呼びます)。
そこで、コントラクターとしては、この入札保証ボンドをいつ返してもらえるのかについて理解しておく必要があります。
これは、契約締結後に、履行保証ボンド(「パフォーマンスボンド(Performance Bond)」とも言います。「PB」とか、「Pボンド」と呼ぶ人もいます)をオーナーに提出したときとされているものが一般的です。履行保証ボンドを差し入れるのと引き換えに、入札保証ボンドを返してもらうことになります。
EPC契約をよく読んで、各ボンドの返還時期がいつなのか確認し、もしも定められていなければ、必ず定めるようにしましょう。
なお、この入札保証ボンドは、契約に定められている期限までに履行保証ボンドの差入れを怠った場合にも、没収されてしまうことになっているものが多いので、契約に定められている履行保証ボンドの差入時期に遅れないように注意しましょう。
ボンドについて
・そもそも、ボンドとは?
・瑕疵担保保証ボンド(※民法改正後は、瑕疵担保は契約不適合責任と呼ぶようになったので、現在は「契約不適合ボンド」と呼ぶべきです)
『英文EPC契約の実務』は、お陰様で出版から6度の増刷となっております。
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EPC契約のポイントの目次
【私が勉強した原書(英語)の解説書】
残念ながら、EPC/建設契約についての日本語のよい解説書は出版されておりません。本当に勉強しようと思ったら、原書に頼るしかないのが現状です。
原書で勉強するのは大変だと思われるかもしれませんが、契約に関する知識だけでなく、英語の勉強にもなりますし、また、留学しなくても、英米法系の契約の考え方も自然と身につくという利点がありますので、取り組んでみる価値はあると思います。
EPC/建設契約の解説書 | EPC/建設契約の解説書 | 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方 |
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 | 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 | 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。 |
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 | 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 | 英国におけるDelay Analysisに関する指針 |
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 | 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 | 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。 |
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
2nd edition February 2017 |