Force Majeureが長期間継続した場合
Force Majeureに当たる出来事が生じました。
それにより、コントラクターの義務の履行が妨げられました。
その後、そのForce Majeureに当たる出来事がやむ気配が一向にありませんでした。
そのまま、半年以上もの間、コントラクターは建設工事を行うことができませんでした。
このような場合、コントラクターはこの先もずっと、Force Majeureに当たる出来事が終わるのを待ち続けていなければならないのでしょうか?
これは、特に、追加費用を負担させられる方の当事者にとっては非常に厳しいものがありますよね。
その間の追加費用をひたすら負担し続けなければならないわけです。
このように、Force Majeureが長期間にわたった場合の扱いについて、通常、EPC契約は次のように定めています。
「Force Majeureに当たる出来事によって、契約当事者がその履行を○日間妨げられた場合には、契約当事者はEPC契約を解除することができる。」
そうなんです。
契約を解除できるようになるのです。
特に、コントラクターは、他にも色々な案件を受注したいのに、一つのEPC契約が終わらないために、人員不足となり、他の案件を受注できなくなってしまうかもしれません。
そのような不都合は、この契約解除権を使うことで防ぐことができます。
ただ、気になるのは、Force Majeureを理由に上記の契約解除権を行使した場合の効果です。
コントラクターとしては、解除までにした仕事の対価についてはもらいたいところです。
この点、私の経験では、コントラクターは、解除までにした仕事の対価はオーナーからもらえるとされているものがほとんどでした。
もっとも、最後まで仕事を完成させていたならば得られたであろう利益までコントラクターが得られるとされているEPC契約は少なかったように思います。
Force Majeureはオーナーが悪いわけではないので、完成していれば得られたであろう利益までもオーナーに支払わせるのは酷だという理由でしょう。
もっとも、この点はオーナーとの協議で決められる事項なので、工程のどの段階でForce Majeureが生じたかによってその効果に差をつけてもよいでしょう。また、Force Majeureに当たる出来事が終わり次第、コントラクターと再度契約を締結する義務をオーナーに負わせる等の対応もあるかと思います。
とはいえForce Majeureに当たるできごとが長期間継続することはあまりないと思いますので、どこまで交渉の際に拘るべきか、プラント建設サイトの自然災害状況や政治情勢の不安定さ等を考慮した上で決めていただければと思いますが、少なくとも、コントラクターがした仕事までの対価はもらえるようにEPC契約に定めるべきです。
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EPC契約のポイントの目次
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EPC/建設契約の解説書 | EPC/建設契約の解説書 | 納期延長・追加費用などのクレームレターの書き方 |
法学部出身ではない人に向けて、なるべく難解な単語を使わずに解説しようとしている本で、わかりやすいです。原書を初めて読む人はこの本からなら入りやすいと思います。 | 比較的高度な内容です。契約の専門家向けだと思います。使われている英単語も、左のものより難解なものが多いです。しかし、その分、内容は左の本よりも充実しています。左の本を読みこなした後で取り組んでみてはいかがでしょうか。 | 具体例(オーナーが仕様変更を求めるケース)を用いて、どのようにレターを書くべきか、どのような点に注意するべきかを学ぶことができます。実際にクレームレターを書くようになる前に、一度目を通しておくと、実務に入りやすくなると思います。 |
納期延長・追加費用のクレームを行うためのDelay Analysisについて解説書 | 海外(主に米国と英国)の建設契約に関する紛争案件における裁判例の解説書 | 英国におけるDelay Analysisに関する指針 |
クリティカル・パス、フロート、同時遅延の扱いに加え、複数のDelay Analysisの手法について例を用いて解説しています。 | 実例が200件掲載されています。実務でどのような判断が下されているのかがわかるので、勉強になります。 | 法律ではありません。英国で指針とされているものの解説です。この指針の内容は、様々な解説書で引用されていますので、一定の影響力をこの業界に及ぼしていると思われます。 |
Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol
2nd edition February 2017 |