英語の契約書でよく使われるMaterial Adverse Effectとは?
material adverse effectは、M&A契約でよく使われます。
略して、MAEということもあります。
ここでは、material adverse effectの意味と使い方について、詳しく解説します!
material adverse effectの意味
materialには、「材料」という意味がありますが、ここでは、「重大な」という意味です。
これは、material obligation(重要な義務)やmaterial breach(重大な違反)などと同じです。
では、adverseとは何かというと、これは、「逆の、反対の、不都合な、ネガティブな」といった意味です。
よって、material adverse effectで、「重大な悪影響」という意味になります。
ちなみに、material adverse change「重大な悪化」という文言も時々使われます。
こちらは、略してMACと呼ばれます。
M&A契約での使われ方
このmaterial adverse effectやmaterial adverse changeは、例えば、レプワラ(representations and warranties=表明保証)において使われます(レプワラについてはこちら!)。
例えば、売主は取引の対象となる会社の状態について、レプワラをしますが、もしも売主が行ったレプワラに誤りがあるとわかった場合、売主は契約違反として、買主に対して補償(indemnity)をしなければならなくなります。
つまり、損害の賠償です。
ここで、売主も、取引の対象となる会社の状態について、細部にわたるまで完璧に把握しているわけではありません。
いくらか勘違いしてレプワラしてしまっていることあるでしょう。
そこで、「対象となる会社の○○について、重大な悪影響を及ぼすようなものはないことを保証する」という形でレプワラをするのです。
こうすることで、多少、○○について売主の認識に基づいて行われたレプワラと客観的事実との間にズレがあったとしても、それが重大な悪影響を及ぼすものではないとして、売主はレプワラ違反の責任を免れることができるようになるのです。
material adverse effectの意味を定義することもある
もっとも、「何がmaterial adverse effectなのか?」という点は曖昧です。
「重大な悪影響って何?」と感じますよね。
具体的には、「重大とは何か?」や「何についての影響がこれに当たるのか?」といった点がよくわかりません。
そこで、英文契約では、material adverse effectを定義(definition)することがあります。
その際には、①基準を数値化したり、また、②material adverse effectに当たらない事項を具体的に明記したりすることがよく行われます。
②については、例えば、”Material Adverse Effect” means ~ except for … と定めることで、except for以下に列挙した事由はmaterial adverse effectではないことを定めます。
また、同様に例外を定めるために、however, provided that S Vなどを用いて以下の様に定めることも行われます。
“Material Adverse Effect” means ~, provided, however, that a Material Adverse Effect shall not be deemed to include…
(訳:「重大な悪影響とは、~を意味し、ただし、・・・を含むとはみなされないものとする」)
規模の大きなM&Aの場合には、相当に長い定義が設けられることもあります。
M&Aで登場する重要な表現を以下にまとめたので、そちらもご参考ください。
M&Aの全体像 | conditions precedent | adjustment |
representations and warranties | material adverse effect | to the knowledge of ~ |
GAAP | covenants |