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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約の一般条項~通知条項(Notice)~

2024/01/05
 

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1. 通知条項とは何か?

 

通知条項とは、契約締結後に契約の相手方当事者に対して通知を出さなければならなくなった場合に、具体的に誰に宛てて出す必要があるか?ということを定める条文です。

 

日本語では、次のような条文です。

 

「本契約に基づき当事者間で通知を行う場合には、直接手渡し、書留、配達証明便、ファックスの何れかの書面による方法で行い、通知の宛先は以下または本条に基づき相手方に通知された別途の住所とする。

 

(a)    A社

宛先:

住所:

Fax:

 

(b)     B

宛先:

住所:

Fax:                    」

 

通知の宛先のみならず、通知の方法も書きます。

 

 

2. なぜ通知条項が必要なのか?

 

契約が締結されると、その契約に基づいた実務が開始されます。

 

秘密保持契約であれば秘密情報のやり取りが、売買契約であれば製品の引渡や対価の支払いが行われます。

 

その実務の中で、相手方当事者に通知を出す必要がある場面が出てきます。

 

例えば、「対価の支払いに関する請求書」や、「契約を解除する場合の解除通知」等です。

 

ここで、特に企業間の取引の場合は、複数の人が一つの案件に関わっているので、その案件に関わっている中の具体的に誰に出せばよいのかがわからないと困ってしまいます。

 

そこで、この通知条項によって、宛先を明確にするのです。

 

 

3. 通知の宛先は誰にするべきか?

 

この点、「会社の代表者、つまり社長を宛先にすればよいのでは?」と思う方もいるかもしれません。

 

しかし、社長は、個々の案件について詳細に把握していないことの方が多いのではないでしょうか?

 

いきなり他の会社から通知が社長宛に送付されても、「何これ?」となりますし、社長がその通知を読んでからいちいちその案件の担当者にその通知を渡す、というのも面倒ですよね。

 

この点、通知条項に記入する宛先は、社長である必要はありません。

 

実務において、この契約上の通知を誰が受けた場合に、その通知に対して迅速に対応できるのか?という観点から宛先を決めていただくのがよいでしょう。

 

実際には、その契約に関わる案件の実務上の責任者の方が宛先になることが多いように思います。

 

注意点

ここで注意したいのは、この通知条項に宛先として定めた人宛てに通知を出さず、違う人に出した場合には、その通知は届かなかったという扱いになる恐れもあるということです。

 

そうなると、例えば、「○日以内に相手に通知を出さなければならない」という義務があった場合に、その「○日以内」に相手方に通知が届かなかったことになり、義務違反となってしまったり、または、本来得られるはずの権利を得られなくなってしまったりすることもあるので、通知の宛先に確実に通知を出すようにしましょう。

 

 

4. 通知条項の英文

 

通知条項の英文は以下のようなものです。

 

Any notice required or permitted to be given under this agreement is given in writing by personal delivery, certified or registered mail, or facsimile and is addressed to the nominated addresses set forth below:

 

(a)   If to A:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

(b)   If to B:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

or such other address as the party hereto has notified the other party in accordance with this Article.

 

訳:

本契約に基づき当事者間で通知を行う場合には、直接手渡し、書留、配達証明便、ファックスの何れかの書面による方法で行い、通知の宛先は以下または本条に基づき相手方に通知された別途の住所とする。

 

(c)     A社:

宛先:

住所:

Fax:

 

(d)     B社:

宛先:

住所:

Fax:

 

  • notice

通知

 

  • in writing

文書で

 

  • personal delivery

直接手渡し

 

  • certified mail

書留

 

  • registered mail

配達証明郵便

 

  • nominated address

指定された宛先

 

 

5. 穴埋め式練習

 

問題:

Any [notice] required or permitted to be given under this agreement is given in writing by [personal] delivery, certified or [registered] mail, or facsimile and is addressed to the [nominated] addresses set forth below:

 

(c)   If to A:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

(d)   If to B:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

or such other address as the party hereto has notified the other party in accordance with this Article.

 

訳:

本契約に基づき当事者間で通知を行う場合には、直接手渡し、書留、配達証明便、ファックスの何れかの書面による方法で行い、通知の宛先は以下または本条に基づき相手方に通知された別途の住所とする。

 

(e)     A社:

宛先:

住所:

Fax:

 

(f)      B社:

宛先:

住所:

Fax:

 

回答:

Any [notice] required or permitted to be given under this agreement is given in writing by [personal] delivery, certified or [registered] mail, or facsimile and is addressed to the [nominated] addresses set forth below:

 

(e)   If to A:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

(f)    If to B:

(Attention)

(Address)

(Fax)

 

or such other address as the party hereto has notified the other party in accordance with this Article.

契約書における一般条項の種類にはどんなものがあるのか?

 

契約書の主な一般条項の種類は、概ね以下のようなものがあります。

リンクをクリックすると、詳しい解説のページに行くことができます。

【一般条項の解説の目次】

一般条項の解説

総論

 

完全合意条項・修正条項

契約に関する事項については、契約書にすべて定められている旨を定める条項

(正確には、口頭証拠排除の準則が適用されやすくするための条文)

および

契約書を修正・変更するための条件を定める条項

定義条項その① 定義条項の必要性

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

無効な部分の分離条項

契約書中のある部分が無効と判断された場合、残りの部分は有効である旨を定める条項

定義条項その② 定義条項の注意点

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

権利放棄条項

ある事項について権利を保持する当事者がその権利を行使しなかった場合でも、その権利自体を放棄したものと解釈されないことを定める条項

準拠法

契約条文を解釈する際に適用する法律を特定するための条項

見出し条項

契約書中の条文のタイトルには法廷拘束力はなく、条文の解釈に何ら影響を及ぼすものではない旨を定める条文

紛争解決条項

契約に関する紛争を解決するための方法を定める条項

一般条項がわかるようになると得られるメリット

通知条項

契約に関して必要となる通知の宛先を定める条項

全ての一般条項を必ず定めないといけないのか?

契約期間

契約の有効期間を定める条項

権利義務の譲渡制限

契約上の権利義務を第三者に譲渡することを制限する条文

役に立つ英文契約ライティング講座

義務を定める方法 ④shall be required to doとshall be obliged to doの問題点 義務違反の場合を表す方法
権利を定める方法 英文契約の条文は能動態で書くとシンプルかつ分かりやすい英文になる!
shall be entitled to doとshall be required to do 第三者に行為をさせるための書き方

上記は、本郷塾の5冊目の著書『頻出25パターンで英文契約書の修正スキルが身につく』の24~30頁部分です。

英文契約書の修正は、次の3パターンに分類されます。

①権利・義務・責任・保証を追記する→本来定められているべき事項が定められていない場合に、それらを追記する。

②義務・責任を制限する、除く、緩和する→自社に課せられている義務や責任が重くなりすぎないようにする。

➂不明確な文言を明確にする→文言の意味が曖昧だと争いになる。それを避けるには、明確にすればいい!

この3つのパータンをより詳細に分類し、頻出する25パータンについて解説したのが本書です。

 

本書の詳細は、こちらでご確認できます。

英文契約書をなんとか読めても、自信をもって修正できる人は少ないです。

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