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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約書の一般条項~見出し条項~

2024/01/05
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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1. 見出し条項とは何か?

 

契約書を見ると、条文の「第○条」という記載のに、何か書いてありますよね?

 

例えば、秘密保持契約書を例にとると、次のような感じです。

 

第1条 定義

・・・・・・・・・

 

第2条 秘密の保護

・・・・・・・・・

 

この各条文の横に書いてあるもの、つまり、上記の黄色部分に当たる「定義」とか「秘密の保護」といった部分を、「見出し」と呼びます。

 

この「見出し」は、何のためについているのでしょうか?

 

それは、「その条文にどんなことが書いてあるのかを分かりやすくするため」です。

 

実際、この見出しがない契約書は、見出しがある条文と比べて、とても読みにくい契約書になります。

 

そして、この見出しについて定めている次のような一般条項があります。

 

「本契約の見出しは、参照の便宜のためにのみ挿入されたもので、本契約の各条文およびパラグラフの解釈に影響を与えるものとはみなされない。」

 

この条文は、「見出しは、単にその条文に何が書いてあるのか読み手がわかりやすいようにするためにつけているだけだよ」と言っているのです。

 

見出しは、あくまで見出しに過ぎない」ということですね。

 

 

2. なぜ見出し条項が生まれたのか?

 

見出し条項がどういうものかは上記で理解していただけたかと思いますが、そもそも、どうして、こんな「見出し条項」なんてものが考え出されたか疑問を持たれた方も多いのではないでしょうか?

 

「「見出しは見出しに過ぎない」なんてことを、わざわざ条文に書く必要あるのか?」と思いますよね。

 

この点、見出し条項が一般条項として契約書に定められるようになった正確な経緯を私は知りません。

 

しかし、私は次のような背景があったのではないかと勝手に考えています。

 

 

英国か米国でその昔、ある企業間の取引のための契約書のドラフトが相手方当事者から送付されてきて、営業担当者がそれを読もうとしました。

 

しかし、その契約書は分厚く、とても全部を読んでいられない、とその人は思いました。

 

「なんとかして全部を読まなくても済ませられないだろうか・・・」

 

そう考えたその営業担当者は、契約書の見出しを見て、重要なことが書いてありそうな条文だけを読み、あまり重要そうではない見出しの条文は読まなくても良いだろう、と考えました。

 

そして、「契約金額」とか「保証責任」といった、誰が見ても重要そうだと考えた条文だけを読み、あとは読まずに契約を締結しました。

 

しかしその後、とても重要な内容が、「雑則」という見出しの条文の中に定められていることがわかりました。

 

それがわかったとき、その営業担当者は、契約の相手方当事者に向かってこう言いました。

 

そんな重要なことは、ちゃんと見出しを見てそれが書いてあることがわかるようにしてくれないと困ります!見出しがふさわしくなかったこの契約書は無効です!

 

すると、その相手方当事者はこう反論しました。

 

契約書は、そもそも全部しっかりと読まないといけないものです。見出しだけを見て、中身を読まなかったあなたが悪いんです。この契約書を無効にするなんて認めません。」

 

 

 

上記のようなことが、ずっと昔に、頻繁に起きたのではないでしょうか。

 

その結果、いつしか、「契約書の見出しは、条文の内容に何ら影響がない」ということを契約書に明記しておこう。そうすれば、見出しの内容がどんなものであっても、後になって、「そんな大切なことがそこに定められているなんて見出しをみたときに思わなかった。だからこの契約は無効だ!」なんて言われなくて済むようになる。

 

というようなことになり、「見出し条項」が生まれたのかもしれません(あくまで私の推測です)。

 

 

3. 見出し条項が契約書に定められていない場合、見出しは条文の解釈に影響することになるのか?

 

見出し条項が、「見出しは条文の解釈に影響を与えない」ということを定めていることからすると、この見出し条項が無ければ、見出しは条文の解釈に影響を与えることになるように思えますよね。

 

この点、厳密にはどういう扱いになるのか、これも私は知りません。そもそも裁判でこの点が争われたことがあるのかも知りません。

 

しかし、私は、見出し条項が定められていなくても、見出しが条文の解釈に影響を及ぼすと裁判所が判断することはまずないと思います。

 

「見出し」はあくまで、見出しです。

 

もしも見出しが条文の解釈に影響を与えることになるのなら、契約書に見出しは書かない方が安全となります。

 

しかし、それだと非常に読みにくい文章になってしまいます。

 

見出しが「定義」と書いてあれば、「定義について定められているのだな」と予想しながら読むことができます。

 

見出しが「損害賠償」と書いてあれば、「損害賠償についての条文だな」と予想しながら読むことができます。

 

いきなり、何が書いてあるのかわからない文章を読み始めるのと、ある程度予想しながら読むのとでは、理解度が全く異なります。

 

というわけで、私は、この見出し条項は、あくまで、見出しは条文に影響を及ぼさない点を確認するためのものに過ぎず、仮に見出し条項が定められていなくても、見出しが条文の解釈に影響を及ぼすことはないと思います。

 

実際、見出し条項がない契約書はたくさんあります(私の感覚だと、半分くらいの契約書では見出し条項は定められていないように思います)。

 

そうなると、結局どういう結論になるのかといいますと、「条文の見出しがどんなものであろうが、しっかり条文を読みましょう!」ということになります。

 

 

4. 見出し条項の英文

 

以下は、「見出し条項」の英文です。

 

The headings of this Agreement are inserted for convenience of reference only and are not in any way deemed to affect the interpretation of respective articles and paragraphs of this Agreement.

 

訳:

本契約の見出しは、参照の便宜のためにのみ挿入されたもので、本契約の各条文およびパラグラフの解釈に影響を与えるものとはみなされない。

 

  • heading

見出し

 

  • insert

挿入する

 

  • convenience

便宜

 

  • reference

参照

 

  • deem

みなす

 

  • interpretation

解釈

 

 

5. 穴埋め式練習

 

最後に、見出し条項の英文について、穴埋め式で練習しておきましょう。

 

下の英文の空欄部分を、訳を参考にして埋めてみてください。回答は下の英文の黄色部分です。

 

これを何度か繰り返すことで、見出し条項に使用される用語を身に着けることができるようになります。

 

問題:

The headings of this Agreement are inserted for [convenience] of reference [only] and are not in any way [deemed] to affect the [interpretation] of respective articles and paragraphs of this Agreement.

 

訳:

本契約の見出しは、参照の便宜のためにのみ挿入されたもので、本契約の各条文およびパラグラフの解釈に影響を与えるものとはみなされない。

 

回答:

The headings of this Agreement are inserted for [convenience] of reference [only] and are not in any way [deemed] to affect the [interpretation] of respective articles and paragraphs of this Agreement.

 

【一般条項の解説の目次】

一般条項の解説

総論

 

完全合意条項・修正条項

契約に関する事項については、契約書にすべて定められている旨を定める条項

(正確には、口頭証拠排除の準則が適用されやすくするための条文)

および

契約書を修正・変更するための条件を定める条項

定義条項その① 定義条項の必要性

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

無効な部分の分離条項

契約書中のある部分が無効と判断された場合、残りの部分は有効である旨を定める条項

定義条項その② 定義条項の注意点

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

権利放棄条項

ある事項について権利を保持する当事者がその権利を行使しなかった場合でも、その権利自体を放棄したものと解釈されないことを定める条項

準拠法

契約条文を解釈する際に適用する法律を特定するための条項

見出し条項

契約書中の条文のタイトルには法廷拘束力はなく、条文の解釈に何ら影響を及ぼすものではない旨を定める条文

紛争解決条項

契約に関する紛争を解決するための方法を定める条項

一般条項がわかるようになると得られるメリット

通知条項

契約に関して必要となる通知の宛先を定める条項

全ての一般条項を必ず定めないといけないのか?

契約期間

契約の有効期間を定める条項

権利義務の譲渡制限

契約上の権利義務を第三者に譲渡することを制限する条文

役に立つ英文契約ライティング講座

義務を定める方法 ④shall be required to doとshall be obliged to doの問題点 義務違反の場合を表す方法
権利を定める方法 英文契約の条文は能動態で書くとシンプルかつ分かりやすい英文になる!
shall be entitled to doとshall be required to do 第三者に行為をさせるための書き方

上記は、本郷塾の5冊目の著書『頻出25パターンで英文契約書の修正スキルが身につく』の24~30頁部分です。

英文契約書の修正は、次の3パターンに分類されます。

①権利・義務・責任・保証を追記する→本来定められているべき事項が定められていない場合に、それらを追記する。

②義務・責任を制限する、除く、緩和する→自社に課せられている義務や責任が重くなりすぎないようにする。

➂不明確な文言を明確にする→文言の意味が曖昧だと争いになる。それを避けるには、明確にすればいい!

この3つのパータンをより詳細に分類し、頻出する25パータンについて解説したのが本書です。

 

本書の詳細は、こちらでご確認できます。

英文契約書をなんとか読めても、自信をもって修正できる人は少ないです。

ぜひ、本書で修正スキルを身につけましょう!きっと、一生モノの力になるはずです!

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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