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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約書における一般条項

2024/01/05
 

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どうして一般条項を学ぶべきなのか?

 

一般条項は、正直、読んでいてつまらない条文が多いです。

 

契約書を読むことがそもそも面白いはずがないのですが、その中でも、一般条項は、特に面白くないです。

 

しかし、私は、契約業務に関わる方は、例え法務部門でなくても、一般条項を一度は学んでおいた方がよいと思います。

 

今回は、その理由をお話ししたいと思います。

 

契約書中に占める一般条項の割合

 

まず、以下をご覧ください。

 

売買契約

第1条      定義

第2条      売買

第3条      契約金額

第4条      船積み

第5条      保険

第6条      危険負担と所有権

第7条      保証

第8条      産業財産権

第9条      検査

第10条 契約期間

第11条 通知

第12条 完全合意

第13条 譲渡

第14条 契約の終了

第15条 修正および変更

第16条 不可抗力

第17条 準拠法

第18条 紛争解決

第19条 権利放棄

 

これは、ある売買契約書に定められていた条文の見出し部分のみを抜き取ったものです。

 

上記の黄色でマークしているものが、一般条項に当たる条文です。

 

いかがでしょうか?

 

19条のうち、11条が一般条項です。

 

つまり、全条項の過半数の条文が一般条項で占められていることになります。

 

意外と一般条項が占める割合が多いと感じませんか?

 

さらに、以下をご覧ください。

 

秘密保持契約

第1条      定義

第2条      秘密保持

第3条      秘密保持の例外

第4条      無保証

第5条      所有権

第6条      秘密情報の返却

第7条      契約期間

第8条      権利義務の譲渡

第9条      完全合意条項

第10条 分離条項

第11条 権利放棄

第12条 通知

第13条 準拠法

第14条 紛争解決

 

これは、ある秘密保持契約書に定められていた条文の見出し部分のみを抜き取ったものです。

 

先ほどのものと同じく、黄色でマークしているものが、一般条項に当たる条文です。

 

こちらは、14条中9条が、一般条項で占められていることになります。

 

 

以上から何が言いたいのかと言いますと、「契約書の中で、一般条項以外の条文は、実は結構限られている」ということです。

 

 

一般条項を学ぶメリット

 

「契約書をちゃんと読んだ方がよい、あるいは、読まないといけないとわかってはいるものの、難しいから結局自分ではほとんど読まずに法務などの契約担当者に読ませて終わりにしている」

 

こういう営業担当の方は、割と多いのではないでしょうか。

 

しかし、上記を見ればわかるように、契約書とは、その条文の半分以上は、いつもほとんど同じことが定められている文書なのです。

 

そして、一般条項以外のことが定められている条文(個別条項)は、実際に取引に強く関係するものが多いので、営業の方の関心も高い内容となっており、一般条項よりも読みやすいと思います。

 

そして、相手方から契約書を渡されたときに、何が一般条項であるかがすぐにわかるようになっていれば、それを除いた個別条項を重点的に読む、ということもできるようになるでしょう。

 

ということは、いつもほぼ同じことが書かれている一般条項を一度理解してしまえば、契約書を読むのが今までよりもずっと楽になるのです。

 

契約書への恐怖心や苦手意識も薄れるように思います。

 

実際、私は契約書をチェックする際に、まずざっと契約書の全体に目を通し、一般条項とそれ以外の個別条項を区別します。

 

そして、個別条項のボリュームを確認した上で、まずは個別条項の中で重要度の高い条文からチェックしていきます。

 

そして、個別条項のチェックが終わったら、一般条項だけをまとめてざっと目を通します。

 

このようにすると、一見分量の多いように見えた契約書も、実はそこまで分量が多くないと思え、読む際に気が楽になりますし、個別条項のチェックを重点的に行うことができるようになり、効率も上がります。

 

また、契約書をチェックする場合、「この大量の文書の中に、何かおかしなことがこっそり潜り込まれているかもしれない」という疑念を持つことがあると思います。特に、一般条項の中にどさくさに紛れておかしなことが定められていないか?と思ったりすることもあるのではないでしょうか。

 

この点、一般条項はいつも書かれている内容が同じであるので、「本来一般条項として定められるべき内容は何か?」という点を理解できてれば、相手方の契約書中の一般条項の中に、普通と異なることが定められていれば、「おかしい!」とすぐに気が付くことができるようにもなります。

 

上記が、一般条項を学ぶメリットだと思います。

 

繰り返しになりますが、一般条項は、いつもほとんど同じことが定められているので、一度しっかり理解すれば、後は実務で契約書を読んでいくうちに慣れていきやすいと思います。

【一般条項の解説の目次】

一般条項の解説

総論

 

完全合意条項・修正条項

契約に関する事項については、契約書にすべて定められている旨を定める条項

(正確には、口頭証拠排除の準則が適用されやすくするための条文)

および

契約書を修正・変更するための条件を定める条項

定義条項その① 定義条項の必要性

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

無効な部分の分離条項

契約書中のある部分が無効と判断された場合、残りの部分は有効である旨を定める条項

定義条項その② 定義条項の注意点

契約書中で使われる文言の意味を定義する条項

権利放棄条項

ある事項について権利を保持する当事者がその権利を行使しなかった場合でも、その権利自体を放棄したものと解釈されないことを定める条項

準拠法

契約条文を解釈する際に適用する法律を特定するための条項

見出し条項

契約書中の条文のタイトルには法廷拘束力はなく、条文の解釈に何ら影響を及ぼすものではない旨を定める条文

紛争解決条項

契約に関する紛争を解決するための方法を定める条項

一般条項がわかるようになると得られるメリット

通知条項

契約に関して必要となる通知の宛先を定める条項

全ての一般条項を必ず定めないといけないのか?

契約期間

契約の有効期間を定める条項

権利義務の譲渡制限

契約上の権利義務を第三者に譲渡することを制限する条文

役に立つ英文契約ライティング講座

義務を定める方法 ④shall be required to doとshall be obliged to doの問題点 義務違反の場合を表す方法
権利を定める方法 英文契約の条文は能動態で書くとシンプルかつ分かりやすい英文になる!
shall be entitled to doとshall be required to do 第三者に行為をさせるための書き方

上記は、本郷塾の5冊目の著書『頻出25パターンで英文契約書の修正スキルが身につく』の24~30頁部分です。

英文契約書の修正は、次の3パターンに分類されます。

①権利・義務・責任・保証を追記する→本来定められているべき事項が定められていない場合に、それらを追記する。

②義務・責任を制限する、除く、緩和する→自社に課せられている義務や責任が重くなりすぎないようにする。

➂不明確な文言を明確にする→文言の意味が曖昧だと争いになる。それを避けるには、明確にすればいい!

この3つのパータンをより詳細に分類し、頻出する25パータンについて解説したのが本書です。

 

本書の詳細は、こちらでご確認できます。

英文契約書をなんとか読めても、自信をもって修正できる人は少ないです。

ぜひ、本書で修正スキルを身につけましょう!きっと、一生モノの力になるはずです!

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。
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