契約書を勉強する人が陥る勘違い
会社に入ってから、契約書や法律について勉強しようとされたことのある方もいらっしゃるのではないでしょうか?
会社では、日々、色々な取引が行われています。
その都度、契約書が相手方と結ばれているはずです。
そのため、例え法務部門ではなくとも、業務の中で、程度の差はあれ、契約書を見なければならなくなったことがある、という方も、営業・技術・企画部門等に所属しているとあるように思います。
また、あなたの会社が売った製品や買った部品等に欠陥があった場合には、損害賠償の話がでてくると思います。
そのような、いわゆる「紛争案件」に関わらなければならなくなった、という人もいるかもしれません。
そんなときに思うのは、おそらく、「法務部門ほどではなくても、契約や法律について知っておいた方がよいかも」ということではないでしょうか。
そして、実際に、契約や法律について自分で勉強してみようと思って、書店に行き、民法の参考書などを買ってみたことのある人もいらっしゃるかと思います。
しかし、本を買ってみたはいいが、それを最後まで読み切り、その後、業務に活かせるほど継続して勉強を続けることができた方は、極々少数なのではないでしょうか。
といいますのも、書店で売られている民法は、ボリュームが大きく、かつ、内容も複雑であるため、数ページ読んだところで、そのあまりの難しさに挫折してしまうのではないかと思うからです。
その結果、法律や契約の勉強を一度は決心したものの、結局途中で辞めてしまった・・・ということになった人もいるでしょう。
このようなことになる大きな原因は、「業務に直接関係ない記述にあふれている難しい法律の参考書」にあると私は思います。
仕事で必要になる法律知識
私は、学生時代に司法試験を目指して法律を勉強していました。
結局司法試験には合格できず、電機メーカーに就職し、企業法務部に配属されました。
企業法務部に配属されて少しして思ったのは、次のようなことです。
「・・・ほとんど法律使わないじゃん!(あんなに勉強したのに!!(怒))」
そして、このとき思ったことは、それから数年たってからも、さらには入社後10年たった時も間違いではなかったと思いました。
民法には、全部で何条の条文があるかご存知でしょうか?
1044条です。
すさまじい数ですよね。
では、この中で、企業で取引をしていく中で、理解しておくべき条文の数は何条だと思いますか?
私は、20条もないと思います。
「え?なんでそんなに少ないの?」
こう思われた方もいらっしゃるかと思います。
例えば、民法725条以降の条文は、「親族」や「相続」についての条文です。
企業の取引に、親族や相続なんて関係してこないですよね。
この時点で、民法の約三分の一は、企業での仕事には関わってこないとして切り捨てることができます。
次に、司法試験のために民法を勉強していると、例えば次のようなことをしっかりと学びます。
「二重譲渡の場合の扱い」
これは、例えば土地の所有者が、土地をAさんに譲渡する契約を締結したにも関わらず、同じ土地をBさんにも譲渡する契約を締結した場合に、土地の所有権はAさんとBさんのどちらに帰属するのか?といったような問題です。
これは、法律問題としては確かに重要です。
司法試験にも、何らかの形で(論文試験か択一試験のどちらかで)必ず出題されます。
しかし、企業で仕事をしていて、このような二重譲渡の場面に出くわすことなんて、まずないですよね?(少なくとも、私はそんな異常な取引に遭遇したことは一度もありませんでした)
また、「抵当権」という担保権の一種についてもかなりの時間を割いて勉強しましたが、電機メーカーに入社後、この抵当権を業務で扱ったことは一度もありません。
そのため、今では、ぼんやりと、「そんなものがあったな~」くらい、遠い記憶のかなたにあります。
この点、もちろん、弁護士として、土地問題や相続等の相談業務をメインで扱う場合には、上記の知識は重要です。
または、不動産関係の会社に入られた方は、抵当権についての知識も使うでしょう。
しかし、そうでもない限り、企業では、それらは使わない知識なのです。
このような例は、民法の条文の多くに当てはまります。
そうして会社に入ってから10年ほどたったときに、改めて六法辞書の民法の条文を見て、「果たして、学生時代に学んだあの民法の知識のどれだけを自分はこの10年間の企業での仕事の中で使ってきたのだろう?」と思いながら眺めていくと、結局、「20条もなかったな」と思うに至りました。
それにも関わらず、書店に置かれている民法の教科書は、ご丁寧に民法1条からしっかりとほぼすべての条文について詳しく解説しています。
すると、企業に入ってから初めて法律を勉強し始めようと思われた人は、きっと、真面目に最初のページから読み始めるでしょう。
しかし、そこに書かれていることのほとんどは、企業での自分の取引と関係なさそうなことばかりが書いてあります。
すると、「なんだかつまらねんな。仕事にも関係なさそうだし」と思い、途中でやめてしまってもしょうがないと思います。
こうして、契約や法律については、企業の法務部門、つまり、学生時代に法学部に所属し、さらにはロースクールにまで通っているくらいの人でないと、契約書も読めず、法律もよくわからない、という状況が生まれるのではないかと思います(実際、多くの企業でこのような状況になっていると思います)。
しかし、上記にも書いたとおり、実際に企業で売買や請負契約等の取引、さらには損害賠償案件を扱うために必要となる法律知識は、実はそんなに多くはないのです。
よって、もしも、「これから自分で法律を勉強してみよう!」と思われている方は、民法の参考書の1ページ目から読んでいくという方法をとることは、非効率といえます。おそらく、途中で挫折してしまう人も多いでしょう。
よって、これから法律の参考書を買われる予定の方は、できるだけ薄く、簡単そうな内容のものをお勧めします。
法律の参考書は、基本的に辞書のように分厚いものが多いです。
それは、枝葉末節まで詳細に書かれているからです。
司法試験では、条文のあらゆることが問題として出題されます。
なので、司法試験に合格する人は、六法辞書全部を覚えているということはまずありませんが、試験科目の法律については、それこそすべての条文に目を通していますし、各条文にはどんな問題点があり、それについて裁判ではどのような判断が下されているのか(判例)くらいは全部頭の中に入っています。そうしないと、とても司法試験には合格できないのです。
しかし、企業で仕事をする場合、それが例え法務部門であっても、そのようなレベルの知識は不要です。
つまり、参考書は試験のためにあるのであり、仕事のために作られたわけではないのです。
実際、参考書を書いているのは大学で法律をずっと勉強している、というよりも研究している大学教授です。そのほとんどの人は、企業で実務を経験されているわけではないのです。
つまり、とにかく全てについて解説しようとしているのが参考書です。それは司法試験のような資格試験にも対応できるように作られています。よって、仕事で役立つように勉強しようとするなら、法律の参考書の1ページ目から読んでいくという方法は非常に非効率で無駄になるということです。
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