英文契約書の勉強におけるゴールはどこか?

何かを勉強したり、練習したりする際には、ゴールを意識することが重要です。
ゴールがないと、なんとなく取り組んでしまいます。
「こういう風になりたい!」
「こういうことができるようになりたい!」
と意識すれば、自ずと勉強・練習に取り組むときの意識の仕方も変わってきます。
その結果、効果の出方も変わってきます。
例えば、英語のリスニングの練習をするときに、「とにかく英語を浴びる」と考えてしまうと、英語のCDをかけっぱなしにしておく、ということになりかねません。そして、何かをしながら、ただ「英語がなんとなくかかっているな~」といった程度で時間を過ごしてしまいます。
しかし、「常に、聞こえた順番に理解していけるようになりたい!」と思うと、ただ漫然と英語を聞き流すことにはならないでしょう。常に聞こえてきた英語をその順番通りに処理していこうという意識が生まれるので、短時間でも効果のある訓練になります。
では、英文契約についてのゴールは何とするべきでしょうか?
「指で英文を左から右にサッとなぞるのと同じくらいのスピードで読めるようになること ?」
「辞書を引かずにスラスラと読めるようになること?」
色々なゴールの捉え方があると思います。
しかし、私が思うゴールは、次のようなものです。
「契約書のタイトルを見た瞬間に、中身を読まなくても、何が書いてあるか具体的に予想できる状態になること」
例えば、秘密保持契約なら、多少の違いはあれども、だいたいどの秘密保持契約書も書かれていることはほぼ同じです。
このことは、売買契約書でも、OEM契約書でも、技術ライセンス契約書でも、EPC契約書で同じことが言えます。
なので、タイトルを見れば、「○○契約書なら、こういったことが定められているはず」とわかるようになるのです。
そして、中身をチェックする際には、タイトルを見たときに頭に思い描いた「こういうことが書かれているはず」という内容がちゃんと契約書に書かれているのか?という観点から読んでいきます。
なので、「この契約書には、一体何がかかれているのかな」といった気持で読んでいくのではなく、「この契約書には、○○とか△△などが定められているのかな」といった気持で読んでいくのです。
そして、頭に思い描いた通りのことが書いていない場合にはじめて、「どうしてこんなことが書いてあるのか?この記述は、自社にとって公平か否か?」と考えるのです。
つまり、「その契約書のあるべき姿がタイトルを見た瞬間に頭に浮かび、それとの差の有無とその理由を考えながら読んでいく」という感じです。
英文契約書を読むのは、「読書」であってはなりません。
あくまで、「チェック」です。
「チェック」は、「内容が分かった」で終わりではなく、「その内容で結んでよいかどうか」を判断するものです。
なので、その判断基準を持たずに読み進めるべきものではないといえます。
判断基準を持つとは、つまり、「その契約書の本来あるべき姿を理解していること」です。
よって、英文契約書の勉強・練習のゴールは、「契約書のタイトルを見た瞬間に、そのあるべき姿が頭に浮かぶ状態にすること」です。
それを意識して勉強をすると、自ずと、英文それ自体も早く読めるようになるでしょうし、辞書を引く回数も減っていきます。