契約書に定められているたった2つのこと
今回は、「契約書に定められているのは、結局は、たった2つのことだ」というお話をしたいと思います。
契約書は、色々なことが書かれていて、まだ契約書に慣れていない人にとっては、内容を理解するのは難しいと感じると思います。
でも、実は、突き詰めれば、契約書には、たった2つのことしか定められていないのです。
それを意識すると、契約書のチェックもしやすくなります。
その2つのこととは・・・。
「当事者の権利」と「当事者の義務」です。
つまり、「~することができる」(権利)と「~しなければならない」(義務)ということが定められているのです。
試しに、蛍光ペンを2本用意して、契約書中の「義務」と「権利」を色分けして塗っていくと、契約書は、ほぼこの2色で塗り固められることになります。
特に、「権利」よりも「義務」の形で書かれていることの方が多いのです。
例えば、売買契約においては、「売主は、買主に対して、商品の対価を請求できる」という権利の形で書くよりも、「買主は、売主に対して、商品の対価を支払わなければならない」という義務の形で定められることの方が多いです。
これは英文契約書でも同じです。
「義務」は、「契約当事者+shall+動詞の原型」形
となり、
「権利」は、「契約当事者+mayまたはbe entitled to+動詞の原型」の形
となります。
そして、契約書を検索すると、mayやbe entitled toよりも、shallの方が圧倒的に多くヒットします。
つまり、「義務」の形で書かれるほうが多いということです。
これを意識すると、契約書の検討も、次のような視点で行えばよいことがわかります。
自分たちの「義務」について書かれている条文は、「自分たちにできることなのか?」「自分たちが約束してもよいものなのか?」という観点でチェックします。
自分たちの「権利」について書かれている条文は、「自分たちが相手にしてほしいと望むものはこれでよいのか?他に、もっとしてもらうべきものはないのか?」という観点でチェックします。
もちろん、当事者の権利と義務以外のことも契約書には定められていますが、この2つで8割から9割は占められていますので、まずは、この「権利」と「義務」を意識するようにしてみてください。
英文契約の勉強法
英文契約の交渉への2つの対策 | 英文契約の勉強におけるゴールはどこ? | 目指すべき契約書とは? | 契約書に定められているたった2つのこと |
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それは、本書が以下に記載する特徴を備えているからです。
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これにより、ご自分の業務でよく触れる機会がある契約で頻出する英単語に絞って取り組むことができるので、必要な分だけ効率よく契約英単語を身につけることができます。
具体的には、以下のように分類しています。
第一章 絶対に押さえておきたい英単語
第二章 英文契約の条文の基本的な型を構成する英単語
第三章 秘密保持契約の英単語
第四章 売買・業務委託契約の英単語
第五章 販売店契約の英単語
第六章 共同研究契約の英単語
第七章 ライセンス契約の英単語
第八章 合弁契約の英単語
第九章 M&A契約の英単語
第十章 一般条項に関する英単語
第十一章 その他の英単語
なお、どの分野の契約書を読む場合でも、まずは第一章~第4章の英単語を集中的に身につけることをお勧めします。これらの章に掲載されている英単語は、第五章~第九章までのどの種類の契約書にも頻出する英単語だからです。
2.同義語・類義語・反義語の英単語を近くに配置しています。
そのため、それらをまとめて覚えることができます。
バラバラに覚えようとするよりも、記憶に定着しやすいはずです。
3.単語の単純な意味を知っているだけでは業務を行う上では十分とはいえない50を超える単語について、重要事項として解説をしています(P162以降をご参照)。
例えば、liquidated damagesは「予定された損害賠償金額」ですが、これは具体的にどのようなものなのか?という点について、業務を行う上で最低限押さえておくべき事項を記載しております。