英文契約の単語を覚える練習方法~英文契約に特化して練習!~
「英文契約に出てくる英単語を覚えるのは難しい」
このように感じている人は多いと思います。
また、英文契約に携わる仕事に関わっている人であっても、
「読むことはできるけど、英文の条文を書いたり修正したりすることは全然できないし、これからもできるようになる気がしない」
こんな風に感じている人もいるかもしれません。
今回は、そんな英文契約の単語を覚えて書けるようになるための勉強方法をご紹介したいと思います。
方法
まず、英文契約に関する参考書、ひな型、過去に自社が締結した契約のどれでもよいので、とにかく、一つの種類の契約について英語の契約を3~5つ用意します。
ここでは、売買契約を例にご説明します。つまり、売買契約の英語の契約を3~5つ用意します。
そして、A3の白い紙を1枚用意します。
そのA3の紙を横にしてあなたの正面に置いてください。
そして、下のように、横軸を引きます。この横軸は、時間軸です。
この横軸に、次のように、売買契約の時間的な流れの中で登場する主なイベントを書き込んでください。
- 契約締結
- 仕事開始
- 前払金の支払い
- 義務の履行
- 引渡し
- 検収
- 所有権の移転
- 危険の移転
- 保証期間
次に、上記の他に、次のような項目を以下のように入れていきます。
- 瑕疵
- 修理
- 交換
- 損害賠償
- 契約違反
- 責任上限
- 逸失利益
- 解除
上記は、ご存知の通り、売買契約における主要条項で登場するキーワードのようなものです。
そして、上記について、最初に用意していただいた英文の売買契約では具体的にどのような単語が使われているのかを見ていきます。
そして、例えば、「契約締結」という意味の単語を発見したら、それをA3の紙に書いた「契約締結」という日本語の横に書いていきます。
このような作業を、先にA3の紙に書いたキーワード全てについて行っていきます。
すると、以下のようになります。
すると、あることに気が付くと思います。
それは、「契約書によって、同じ意味でも異なる英単語で書かれているものがある」ということです。
また、次のことにも気が付くでしょう。
「そうは言っても、そのような単語の数は決して多くない」
つまり、「使われている英単語は、だいたい決まっている。思ったよりも多くない」と思えることでしょう。
このような作業を、一つの種類の契約書(売買、秘密保持、技術ライセンス等)につき3~5つの契約書で行っていけば、その種の契約書で使われる主な英単語は網羅できるでしょう。
そして、その後その種の英文契約書を読みやすくなるだけでなく、実際に修正する、またはドラフトする際には、キーワードが頭に思い浮かびやすくなります。
しかも、その際には、「同じ意味で使われる複数の英単語が頭に浮かぶ」ようになります。
例えば、「義務の履行」であれば、「perform」だけでなく、「execute」、「conduct」、「carry out」といった表現がある、ということが分かり、その上で、どの英単語を使っても特段法的には違いがないので、あとは自分の好みでどれを使うか決めよう、といった判断が付くようになります。
すると、これまでよりも、自信をもって契約書を英語で修正したり、ドラフトしたりすることができるようになると思います。
上記は、EPC契約のようなボリュームのある契約であっても当てはまります。
最初のうちは、契約書によって同じことを表すために数多くの異なる英単語が使われていると感じるかもしれません。
しかし、上記の様な作業を行うと、使われている単語全体を把握することができるようになり、ある意味、ゴールが見えてくるような気になります。
※上記はあくまで例であり、もっと細かくイベントを列挙し、それについて3~5つの契約書にはどのような英単語が使われているかを見ていくのは全く構いません。細かくやればやるほど力が付くと思います。
※契約書は、自社の会社のひな型や、自社が過去に締結した契約書の中でもしっかりした内容の物(薄い契約書よりも、厚いもの)の方が、適切な英語が使われている可能性は高いと思います(中には、「普通、そんな単語使わないだろう」と思えるような契約書もあるので、そういうのはできれば避けたいですが、どれがおかしくてどれが普通か判断つかない勉強したての方は、英文契約書の参考書を複数使って勉強されるのが安全だと思います)。
全体を把握する
英文契約は、技術の世界と異なり、終わりがないものではありません。
何十年も前からほぼ内容に変化はなく、実質的に同じフォームが使われています。
つまり、「終わり」も「範囲」もあるものなのです。
ただ、全体が分からないから、「終わりがない」「覚えなければならない英単語は無限にある」と思ってしまいがちです。
しかし、決してそうではありません。
まず、全体を把握することに努めてみてください。
全体が見えれば、「覚えなければならない単語の数は決して少なくはないものの、結局、これらを覚えれば終わりか」と思えるようになり、気が楽になると同時に、特定の契約書に限れば、制覇できそうな勇気が出てきます。
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今回は、これまで以上に、見やすさと使いやすさを重視して本を作りました。
本書で学ぶことで得られる効果
自分の業務に必要な範囲に絞って効率よく英文契約書で頻出する英単語を身につけることができます。
それは、本書が以下に記載する特徴を備えているからです。
1.英文契約で頻出する英単語を契約類型毎に分類して掲載しています。
これにより、ご自分の業務でよく触れる機会がある契約で頻出する英単語に絞って取り組むことができるので、必要な分だけ効率よく契約英単語を身につけることができます。
具体的には、以下のように分類しています。
第一章 絶対に押さえておきたい英単語
第二章 英文契約の条文の基本的な型を構成する英単語
第三章 秘密保持契約の英単語
第四章 売買・業務委託契約の英単語
第五章 販売店契約の英単語
第六章 共同研究契約の英単語
第七章 ライセンス契約の英単語
第八章 合弁契約の英単語
第九章 M&A契約の英単語
第十章 一般条項に関する英単語
第十一章 その他の英単語
なお、どの分野の契約書を読む場合でも、まずは第一章~第4章の英単語を集中的に身につけることをお勧めします。これらの章に掲載されている英単語は、第五章~第九章までのどの種類の契約書にも頻出する英単語だからです。
2.同義語・類義語・反義語の英単語を近くに配置しています。
そのため、それらをまとめて覚えることができます。
バラバラに覚えようとするよりも、記憶に定着しやすいはずです。
3.単語の単純な意味を知っているだけでは業務を行う上では十分とはいえない50を超える単語について、重要事項として解説をしています(P162以降をご参照)。
例えば、liquidated damagesは「予定された損害賠償金額」ですが、これは具体的にどのようなものなのか?という点について、業務を行う上で最低限押さえておくべき事項を記載しております。