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本郷塾で学ぶ英文契約

合弁会社設立と単独出資のメリット・デメリット②

2024/01/06
 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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今回は、合弁会社設立と単独出資のメリット・デメリットの詳細な検討の前提として、そもそも、「合弁会社としてであれ、または、単独出資の100%子会社であれ、海外に子会社を設立して事業を成功させることは難しい」ということについて考えてみたいと思います。

 

一大プロジェクト?

 

まず、海外に子会社を設立する、事業を立ち上げる、と聞くと、それ自体が一大プロジェクトのような気がしませんか?

 

例えば、合弁会社を海外に設立する場合には、パートナーとなる現地企業を探して合弁会社の事業内容などのコンセプトについて協議をし、それに相手が理解を示してくれれば、合弁契約のドラフトを作成して交渉することになります。

 

このとき、かなり大規模なプロジェクトチームが社内で立ち上げられることが多いのではないでしょうか。

 

そして、合弁契約締結に向けた社内承認もなかなかハードルが高く、それなりのレベルの意思決定会議で承認される必要がある、というケースがほとんどだと思います。

 

そうやってなんとか合弁契約の締結に漕ぎつけると、場合によっては新聞などのマスメディアに取り上げられることもあるでしょうし、会社ではプレスリリースをすることもあるでしょう。

 

こうしてみると、海外に合弁会社を設立する、ということそれ自体が、何か大きな仕事、という感じもします。

 

しかし、よく考えてみると、合弁会社を設立することは、単なるスタートに過ぎません。

 

個人による起業の場合

 

同じことを、個人のレベルに照らして考えてみます。

 

ある会社員がある日会社を辞めて、自分の会社を立ち上げたとします。

 

つまり、起業です。

 

会社の定款を作って、必要書類を登記所に持っていって、会社が登記されたとします。

 

この時点で、「自分って今、すごいこと成し遂げた!」と感じる人なんているでしょうか?

 

きっといないですよね。

 

だって、まだその人は単に会社を登記しただけで、その後事業がうまくいくかどうかなんて、全くわからない状態なのですから。

 

合弁契約を締結して、会社が設立された場合も、それと同じ段階なのです。

 

つまり、「合弁会社を設立する」という手続きが終わったにすぎず、その後事業が成功するかどうかはその時点では全く未知数です。

 

個人で起業した会社の多くが数年でつぶれるといいます。

 

合弁会社を設立した場合だって、同じようになる可能性があるわけです。

 

しかし、企業が海外に合弁会社を設立した場合、なぜか、「一仕事やり終えた」とか、「何か大きなことを成し遂げた」という気持ちになったりします。

 

これは、なぜでしょうか?

 

それは、会社が海外に合弁事業を設立する場合、それまでの手続きに膨大な時間と労力をかけることになるので(パートナー探し、合弁契約の交渉、社内承認の取得)、それが成ったときに、会社として、妙な達成感を感じてしまうからだと思います。

 

また、会社が新たな場所で事業を始める場合には、「日本でやっていたのと同じように海外でもやれば、きっとできるようになる!」という根拠のない安心感のようなものがあり、合弁会社を立ち上げれば、あとは自動的にうまく進む、という気持ちにもさせるのだろうと思います。

 

しかし、実際にはそのように自動的に成功していくということにはなりません。

 

海外に子会社を設立して事業を遂行することの難しさ

 

そもそも、自社のある事業について、今までよりも売り上げを10%増やそうとした場合、それは容易なことではないですよね?

 

自社が日本国内で新たな事業を始めようとした場合、あらたに事業部を作って進めたときに、それがうまくいくようにするのは、そう簡単なことではないですよね?

 

ましてや、日本国内とは勝手が異なる海外に、事業を進出させてそれを成功させるとなると、それは上記に上げた2つの例の場合よりもはるかに困難なものになるのが普通ではないでしょうか。

 

そうです。

 

海外で合弁会社を設立して事業を遂行するのはとてつもなく難しいことなのです。

 

その難しさは、合弁会社でなくても、単独出資の場合も同じです。

 

合弁会社であれ、100%子会社であれ、海外に会社を設立して事業をしてそこで成功をおさめるというのは、難しいことなんだ、という認識がまず必要だと思います。

 

おそらく、会社を設立してから、当初の事業計画通りにいかないことがあると思います。

 

というよりも、おそらく、99%うまくいかないと思います。

 

そのときに、さらに出資をし(つまり、増資をする)、当初の投資金額よりも2倍や3倍のお金をかけないとうまく事業が回っていかないことになりえる。

 

また、その現地の会社が銀行から融資を受け、その際に自社が親会社保証を銀行に出さなければならなくなりえる

 

仮にそうなった場合でも、「その国で必ず成功させるんだ!」

 

というくらいの気持ちがないと、海外で事業を成功させることは難しいと私は思います。

 

つまり、さらなる投資や融資を受けることをケチっていたら、会社設立後数年で事業を縮小または撤退させないといけない、という事態に陥ると思います。

 

会社として、上記のような覚悟を持つことができて初めて、「それでは、海外に進出する手段として、合弁会社設立か、それとも単純出資でいくか」という点についての検討をしていくべきだと思います。

 

なぜなら、上記のような覚悟がないまま、合弁会社設立か、または単独出資か、という議論に入ると、「投資額とリスクをなるべく下げるために、合弁会社設立にしよう!」という結論に安易に至りやすくなるからです。

 

そのような思考の流れで合弁会社設立をしても、消極的な運営しかできないと思います。

 

その結果、失敗する可能性が高まるでしょう。

 

以上から、会社を設立後、当初の事業計画通りにいかない場合でも、さらに出資をし(つまり、増資をする)、または、その現地の会社が銀行から融資を受ける際には、自社が親会社保証を銀行に出す、ということをしてでも成功させる!

 

という強い覚悟をまずは持つことが重要です。

合弁会社設立と単独出資のメリットとデメリットの比較

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合弁契約締結までにかかる時間はどのくらいか? オーナー企業買収後の事業運営が難しい理由の考察 合弁契約締結までの時間を短縮させる方法

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自分の業務に必要な範囲に絞って効率よく英文契約書で頻出する英単語を身につけることができます。

 

それは、本書が以下に記載する特徴を備えているからです。

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これにより、ご自分の業務でよく触れる機会がある契約で頻出する英単語に絞って取り組むことができるので、必要な分だけ効率よく契約英単語を身につけることができます。

具体的には、以下のように分類しています。

第一章 絶対に押さえておきたい英単語

第二章 英文契約の条文の基本的な型を構成する英単語

第三章 秘密保持契約の英単語

第四章 売買・業務委託契約の英単語

第五章 販売店契約の英単語

第六章 共同研究契約の英単語

第七章 ライセンス契約の英単語

第八章 合弁契約の英単語

第九章 M&A契約の英単語

第十章 一般条項に関する英単語

第十一章 その他の英単語

 

なお、どの分野の契約書を読む場合でも、まずは第一章~第4章の英単語を集中的に身につけることをお勧めします。これらの章に掲載されている英単語は、第五章~第九章までのどの種類の契約書にも頻出する英単語だからです。

2.同義語・類義語・反義語の英単語を近くに配置しています。

そのため、それらをまとめて覚えることができます。

バラバラに覚えようとするよりも、記憶に定着しやすいはずです。

3.単語の単純な意味を知っているだけでは業務を行う上では十分とはいえない50を超える単語について、重要事項として解説をしています(P162以降をご参照)。

例えば、liquidated damagesは「予定された損害賠償金額」ですが、これは具体的にどのようなものなのか?という点について、業務を行う上で最低限押さえておくべき事項を記載しております。

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