売買契約・製造物供給契約の検討方法① 売買の流れを理解する!

      2018/05/06

「日本の企業が海外の企業と結ぶ英文契約の中で最もその数が多いものは何か?」

それはおそらく、売買契約・製造物供給契約(以下、「売買契約」)ではないでしょうか。

 

契約書は、複数の当事者が取引を行う場合に交わされることが多く、仮にそれが売買でなくても、売買契約におけるエッセンスは、それらの契約の中に含まれていることが多いです。

 

その意味で、売買契約は、契約書の基本と言ってもよいと思います。

 

よって、契約業務に関わる方は、この売買契約を如何に迅速かつ適切に検討・チェックし、そして修正することができるかが重要になるでしょう。

 

この契約の検討がうまくできれば、契約絡みの仕事は早く終わるでしょう。その結果、他のより重要な仕事に時間と労力を振り分けることができるようになるでしょう。

 

逆にこの契約の検討がうまくできないと、そこに大きな時間をかけることになり、仕事がなかなか終わらず、さらに、他のより重要な仕事に時間と労力を振り分けることができなくなる、という事態に陥ることもあるように思います。

 

この点、売買契約は、決して難しい契約ではありません。

 

売買における履行の流れと、売買契約の本来あるべき姿を理解できれば、後はそれが契約書に適切に反映されているかをチェックし、適切に反映されていない部分を修正するだけです。→詳しくは、「契約検討のチェック・方法 ~その1 その取引における本来あるべき姿を理解する~」をご参照ください。

 

これは、企業法務部の人にしかできないものでも、高度な法律・契約知識を持っていないとできないものでもありません。誰でも練習すればできるようになります。

 

そこでこのブログでは、海外企業との売買契約の検討・チェック方法について解説していきたいと思います。

 

一応タイトルは、「海外企業との売買契約・製造物供給契約の検討方法」としていますが、日本国内企業同士の契約と海外企業との契約の間の違いは、一部に過ぎませんので、国内の取引相手がメインだという方にとっても参考にしていたけるところがあると思います。

 

では、早速始めたいと思います。

 

 

売買の流れ

 

今回は、第一回目ということで、まず、売買の流れを掴んでいただきたいと思います。

 

ここでいう売買の流れとは、売買契約締結後に、一体何がどうなって最終的に売主と買主はお互いの契約上の義務を完了するのか、という点を指します。

 

売買契約が締結されたところが出発点です。

 

さて、契約締結後にまず起きることはなんでしょうか?

 

売買とは、簡単に言うと、「製品を売主から買主に引き渡し、買主が売主に対してその製品の対価を支払うもの」ですよね?

 

とすると、契約締結後に最初に起きることは、「売主が仕様に従った製品を用意すること」です。

 

このとき、売買の対象が汎用品であれば、契約締結時には既にその製品は売主の工場に存在しているかもしれません。また、製品によっては、売買契約締結後に、売主が製品を設計し始めるところから始まるかもしれません。

 

さらに、売主はその下請けから部品を購入して自社で組み立てる場合もあるかもしれません。

 

上記のいずれの場合であっても、売主は、買主が「欲しい!」と言った製品、つまり、「仕様に合致した製品を作る義務」があります。

 

よって、この段階を、「売主が仕様に合致した製品を用意すること」とします。

 

 

では、製品が完成したら、次は何をすることになるでしょうか。

 

相手が海外の企業であれば、買主の国まで製品を運ぶ必要がありますよね。

 

それには、船で運ぶ方法と飛行機で運ぶ方法がありますが、ここでは、船で運ぶケースを前提に進めたいと思います。

 

製品を船で運ぶ場合、まず、日本国内の港まで製品を運ぶ必要があります。そして、港で船に載せて、そこから海を渡って買主の国の港まで運びます。

 

つまり、「買主の国の港まで製品を輸送する」ことになります。

 

このように、当たり前ですが、売買は、製品を作ったら終わり、ではないことがほとんどなのです。

 

では、買主の国の港まで製品を輸送した後は何が必要となるでしょうか。

 

「買主の港から買主の工場なり、会社なりまで製品を運ぶ」ことになります。

 

 

これで終わりかと言うとそうではありません。

 

買主のところまで製品が到着しても、それがちゃんと仕様に合致しているかどうかを確認する必要があります。

 

もしも仕様に合致していない場合には、そもそも売主は売買契約上の義務を果たしていないことになるわけですから、仕様に合致した製品を再度送付し直す必要が出てきます。

 

よって、「製品が仕様に合致しているかどうかを確認するための試験を行う」ことになります。

 

 

そして、その試験に合格したら、製品は買主に検収されます。

 

今度こそ売買契約は終了でしょうか?

 

いえ、製品が試験に合格して買主によって検収がなされると、今度はそこから「製品の保証期間が開始」されます。

 

そして、その保証期間中に瑕疵が発見されたら、売主は「その瑕疵について対処」しなければならなくなります。

 

よって、売主は、製品の検収後も、保証期間内はまだ売買契約から完全に解放されたとは言えないのです。

 

ようやく「保証期間が満了」したときに、売買契約は終了します。

 

そして、上記の流れのどこかで、買主は売主に対して「製品の対価を支払う」義務があります。

 

売買の流れを覚える

 

上記の流れを以下にまとめます。

 

「売主が仕様に合致した製品を用意すること」

 

「買主の国の港まで製品を輸送する」

 

「買主の港から買主の工場・会社まで製品を運ぶ」

 

「製品が仕様に合致しているかどうかを確認するための試験を行う」

 

「試験に合格すれば製品が検収される」

 

「製品の保証期間が開始」

 

「瑕疵が発見されれば対処する」

 

「保証期間が満了」

 

上記の流れのどこかのタイミングで「買主が売主に対して製品の対価を支払う」

 

 

まずは、上記の流れを何度も繰り返し読んで、空で言えるくらいにするとよいと思います。売買の流れをしっかりと理解することが、売買契約を迅速かつ適切に検討できるようになるための第一歩だからです。

次回は、「上記の流れの各段階において、何を確認するべきなのか?」について解説します。

仕様については完全な理解を目指そう! 売買・製造物供給契約の検討方法②

契約金額の条文で気を付けるべきことは? 売買・製造物供給契約の検討方法③

 

FOBやCIFはコンテナ輸送には不向き! 売買・製造物供給契約の検討方法④

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