発音が聞き取りにくい外国人との仕事への対策
「英語は割と聞き取れるし、会話も割とできるのですが、国によっては、どうしてもうまく聞き取ることができない人がいます。こういう場合、どのようにしたらよいでしょうか?」
こんな悩みをお持ちの方もいらっしゃいますよね。すごくよくわかります。なぜかこの人の発音が特に苦手だ、という人、私にもいます。
これへの答えは、「慣れ」しかないと思いますが、今回は、私の場合、「どのように慣れようとしたか」をご紹介します。
出張
ある案件で、一週間後にある国に出張をし、そこで現地の弁護士と密に協議をしつつ進めなければならないという仕事がありました。
しかし私は、その現地の弁護士の英語が非常に苦手でした。
その前に、2度ほどその国に出張をして彼と話をしたときも、正直聞き取るのがものすごく難しいと感じていました。
しかし、一週間後に迫った出張においては、その弁護士としっかりとコミュニケーションがとれないと到底やり切れない仕事だと感じていました。特に、イレギュラーなことが生じたら大変だなと感じていました。
対策
そこで私は、その日から毎日出張までの一週間、その弁護士と、たとえ短時間でも電話で話をすることにしました。
本来はメールで済むことも、必ず電話で話をするようにしました。
最初は、直接会って話をしても聞き取るのが難しい相手だったので、ましてや電話ではより聞き取りにくかったのですが、日を追うごとに、徐々に聞き取れるようになってきました。
さらに、出張した後、実際にその弁護士と仕事をし始める前日には、ディナーを一緒にとることにしました。これは私がそうしようと思ったわけではなく現地の弁護士が、「せっかくだからご飯でも」と誘ってくれたのです。
私は、正直嫌でした。
ディナーということは、それなりの時間(おそらく2時間以上)は二人で向かい合って英語で話をしなければなりません。
「そんなに話をする話題がないだろう、沈黙が続いたらどうしよう。」という気持ちでした。
しかし、仕事で失敗したくなかったので、英語の練習だと思って、やむなく一緒にご飯を食べることにしました。
奥さんも一緒にいい?
すると、ディナーをする日になって、その弁護士から、「僕の奥さんも連れて行こうと思うけど、いいかな?」というメールが来ました。
正直、「いいわけねえだろうが!」と思いました。
「1人を相手にするのもやっとなのに、その奥さんまで来て、2対1でどうやって対応しろっていうんだよ・・・」
一瞬、急に体調が悪くなった振りをして、食事それ自体をキャンセルしようかとも思いました。というか、もうそうせざるを得ないだろう、と思いました。
しかし、やはり、翌日からの本番に向けての最後の練習をしておかないと不安だと思い、やむなく、「もちろん!奥さんに会えるのを楽しみにしています!」と返事をしました。
奥さんの発音にビビる
夜になり、約束の時間にホテルのロビーで弁護士とその奥さんと会い、奥さんに自己紹介をしたとき、嫌な予感が的中したと思いました。彼女の自己紹介時の英語のスピードと発音が、私の能力の許容範囲を超えていたからです。
これから始まる2時間という時間にとてつもない不安を感じました。
中華料理の店に行き、奥さんが満面の笑顔で、「いつもうちの人からあなたの話を聞いているのよ~。先週は毎日電話会議したって言っていたわ。」という言葉から会話がスタートしました。
それに対して私が、それなりの長さの英語を発した時(なんと言ったかは忘れました)、それは起きました。
なんと彼女が、「え、今彼なんて言ったの?」と弁護士に聞いたのです。
・・・こういうときです。私が英語を話していて、もっともひるむのは!
自分の英語は通じないのか(しかも初っ端から)!?」と。
ターゲットは誰か?
しかし、「・・・今日の目的は、彼女と仲良くなることではない。彼女の英語に慣れることでもない。今日のターゲットは、この弁護士だ。彼との英語での会話に慣れれば100点満点だ。」そう自分に思い込ませようとしました。
その後、この弁護士が、翌年の4月から日本の大手弁護士事務所に研修として半年間東京に住むことになる、ということがわかりました。それを聞いたとき、「2時間会話する格好のネタが見つかった!」と思いました。
私はすかさず、①どうして日本に来ることになったのか、という質問から始まり、②どのような審査があったのか、③日本ではどのような仕事をするのか、④日本ではどこに住むのか・・・等々を、まるで面接官のように詳細に質問しまくりました。
そして、その質問が一通り終わると、「日本に来たら絶対に観光するべき場所」を思いつくまま紹介し、とにかくこの話題だけで2時間終わるように頑張りました。
彼らが徐々に慣れてくれた
すると、1時間ほどしたくらいから、私が彼らの英語に慣れてきた部分もあると思いますが、むしろ、彼らが私のレベルを理解したような感じになり、私に合わせたスピードや語彙レベルで話をしてくれるようになったような気がしました。
その結果、会話も弾むようになってきました。話題も、日本での観光の話から外れていき、リラックスした感じで会話が展開していきました。
結局、終わってみると、3時間以上その店で過ごしたことになりました。
ホテルの自分の部屋に戻ったときは、最初は聞き取りにくいと思っていた2人を相手に3時間以上、しかも楽しく対応できたことで、英語に関してこれまでに感じたことがない充実感を得ました。
「これで明日からの仕事も彼とやり切れるはず」という安堵感もありました。
実際の仕事は?
実際、翌日からの仕事の方は、当初想定していなかった事態が生じたものの、事業部の方やその弁護士とうまく連携することで、完遂することができました。
奥さんをディナーに連れてくると言われたときに、仮病を使って断らなくて本当に良かった・・・。心からそう思いました。
もはや英語は欧米人だけのものではない
この経験から思ったのは、英語は、自分が相手の英語に慣れるのも大事ですが、相手にこちらの英語に慣れてもらうことも大事だと思いました。
上記のケースでは、出張の一週間前から仕事の前日までの間に色々な会話をすることで、弁護士の方が私の英語の癖や特徴を理解してくれたのだと思います。
そしてそれに合わせて、彼は自分の話すスピードや語彙を調節してくれたように思います。
一方で、英語がもはやこれだけ色々な世界で使われている言語になっている以上、その国ごとに発音やスピードには特徴があり、市販されている洗練された欧米人のCDの中の英語だけを聞いていれば大丈夫、ということには残念ながらなりません。
なので、ある国の担当になったら、その国の人達とできる限り会話をする機会を電話なり食事の場なりで設け、実際に重要な交渉や協議がなされる際になるべく円滑にコミュニケーションが取れるように準備する、ということも必要なのではないかと思います。
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その理由はこちらに詳しく記載しました。
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