英文契約の英単語のアウトプット能力を高める方法
「英文を読んで理解することはできるけど、それを自力で何も見ないで書きだしたり、話したりすることはできない・・・。」
こういう方は多いと思います。私もかつてそうでした。
企業法務として、毎日のように英文契約書を読んでいたので、読むことには大分自信がついたのに、では、自分で英語を発することができるかというと、できない時期がありました。
でも、あるとき、その難しさを克服することができました。
それは、とてもシンプルでした。
自分から英語を発することができるようになりたいなら、その練習をすればよいのです。
たとえば、英単語を覚える際、通常、英単語をみて、その日本語の意味を言えるか?という練習をします。shallをみたら、「義務」と答えるような練習です。
アウトプットの練習は、この逆をすればよいのです。つまり、「義務」を意味する助動詞は何か?と自分に問い、すかさず「shall!」と答える練習です。
これを英文契約書で頻出する英単語で片っ端から行えば、それらについては、単に英語を読んで意味が分かるレベルから、自ら何も見ないで英語を発することができるようになります。
上記は、英単語レベルの練習ですが、英文の場合も同じです。
例えば、英文契約書を何度か読んだことがある方なら、The Seller shall defend, indemnify, and hold harmless…という英文をみたら、「売主が買主を~から防御、補償および免責する」という意味だなと分かる人は多いと思います。これを逆にして、「売主が買主を~から防御、補償および免責する」を意味する英文は何か?と自分に問いかけます。そして、実際に書いてみたり、口に出してみたりします。すると、読んで意味が分かっていたのに、いざ自分で言おうとすると、なかなか難しいことに気が付きます。でも、英語を読んでその意味がわかる人は、少し練習すれば、すぐに日本語を見てそれを英語に直すことができるようになります。
これができるようになると、英語の契約交渉で、キーワードが出てこない、ということが格段に減ります。そのため、自信を持って電話会議や出張で協議に臨むことができるようになるでしょう。
さらに、この練習により、ヒアリング能力も高まります。
ヒアリングは、相手から発せられた英単語を聞こえた順番に処理して理解していく作業です。
これを素早く行うためには、自分で英文を作り出す能力を高めることが有効なのです。
この練習で重要となるのが、練習の際の優先順位として、頻出英単語からマスターしていくということです。
英文契約書には、様々な英単語が登場しますが、それらは大きく、①頻出英単語と②それ以外に分けることができます。
まずは、この頻出英単語から日本語→英語への変換が素早くできるようになることが上達への近道です。
巷には、英文契約書に登場する英単語として、すさまじい数の英単語が列挙されている単語帳のようなものもありますが、あれは辞書として用いるべきものです。あれを全てマスターしようとしても、なかなかできません。また、そういった本には、契約書中であまり使われないような表現も含まれています。
そのような英単語も知っていて損はないですが、順番としては、まずは、頻出英単語から攻めていくことで、仕事で短期間のうちに効果を実感できるようになるはずです。
完璧主義は、却って挫折してしまいます。
この「頻出英単語のアウトプットができるように」、とのコンセプトで本郷塾が作成した参考書が、4冊目の著書である『重要英単語と例文で英文契約書の読み書きができる』です。
本書では、頻出英単語について、上記のように日本語→英語への変換が頭の中で素早くできるようになるように練習できるつくりになっています。頻出英単語が含まれている英単語を特にピックアップして練習できるようにしてあります。是非一度、書店さんなどでパラパラめくってみてください。
本書が、「読めるだけでなく、自力で英語を発することができるレベルに到達したい!」という方のお役に立てれば幸いです。