何回繰り返せば、できるようになるのか?
スポーツや勉強に打ち込んだことがあるかたは、たぶん、次のようなことをトレーナーや先生に質問したことがあるのではないでしょうか?
「何回この練習をすれば、できるようになるでしょうか?」
「一日何時間勉強すれば、第一志望の学校に合格できるでしょうか?」
私も、このようなことを質問したことがあります。
そして、大抵の場合は、「だいたい100回くらい」とか、「1日最低3時間」といったような回答をもらいました。
そして、その回数や時間をこなすように取り組んでいました。
しかし、大人になるにつれて、昔私がした「何回やればできるようになるのか?」「何時間で合格できるか?」といった質問への答えは、次のようなものが正しいのではないかと思うようになりました。
もしかしたら、答えになっていないかもしれませんが、その答えとは・・・。
「できるようになるまでやる」です。
いやいや、だから、できるようになるのは、何回繰り返した場合なのか、何時間取り組んだ場合なのかを質問しているんです、と思う方もいるでしょう。
しかし、人間は、その能力に大きな開きがあります。
記憶力が良い人もいれば、そうでない人もいます。
もともと、ある動きに対してセンスがある人もいれば、そうでない人もいます。
また、上記の様ないわゆる才能・能力に加えて、バックグラウンドにも大きな開きがあります。
例えば、英語に関しては、帰国子女なのか、留学に行ったことがあるのか、これまで一度も海外に行ったこともないのか、では、英語習得への時間は全く異なるでしょう。
そういった差があるにも関わらず、「一般的には何回繰り返せばできる」とか「何時間勉強すればできる」といったことは、あくまで一般論であって、自分に当てはまる保証はないわけです。
にもかかわらず、「だいたい何時間くらいやればできるはず」と言われると、もしもそれだけの時間を費やしてもできなかった場合、「自分にはできないのか・・・」と思ってしまいがちです。
もしかすると、あと少し繰り返せば、できるようになるかもしれなかったのに、その目安時間・目安回数をやってできなかった時点で、あきらめてしまうこともあるのではないでしょうか。
実際、私には、こんな経験があります。
英語のあるリスニング教材で、「1日30分の練習を3ヶ月繰り返せば上達する」といううたい文句のものがありました。
私はそれを信じ、1日30分を3ヶ月繰り返しました。
しかし、思ったほど成果が出ませんでした。
しかし、その教材が採用している練習方法は、自分でも納得のいくものだったので、繰り返せば必ずできるようになると信じていました。そこで、うたい文句は無視して、1日1時間繰り返し練習することにしました。
すると、その後2週間もしないうちに効果を実感し始めたのです。
うたい文句は、1日30分を3ヶ月でしたが、私は、3カ月目以降1日60分を2週間足したことによって、上達しました。
もしも、うたい文句だけを頼りにしていたら、3ヶ月で効果が出なかった時点であきらめていたと思います。
結局、本当に何かができるようになりたいと思ったなら、「できるようになるまで繰り返すしかない」のだと思います。
何回でできるか、何時間やればいいのか、それを気にする気持ちはわかります。
「それだけやればいいのか」と安心できます。
特に、そのとき提示された回数や時間が短いほど安心します。
それなら自分にもできそうだ、と感じます。
しかし、もしもその時間・回数でできなかった場合には、一気に自信を無くすことになります。
その意味で、一般的な目安時間・回数は、もろ刃の剣です。
目安はあくまで目安と割り切って、あとは、方法論として間違っていないと思ったならば、できるようになるまでひたすら繰り返す。
それだけで、仕事に関する大抵のことは、できるようになるのではないかと思います。