仕事の楽しさ・やりがいは、何によってもたらされるのか?
2023/07/12

「仕事を楽しいと感じたり、やりがいを感じたりするのはどのようなときでしょうか?」
就職活動中の学生の方のOB訪問の時などに、よくこのような質問をいただきました。
なぜこのような質問を多くの学生の方々はするのでしょうか?
それは、仕事を通して「楽しさ」や「やりがい」を感じたいからでしょう。
おそらく、そのような質問をする学生の方は、薄々感じているのだと思います。
人生が楽しい=仕事が楽しい
である、ということを。
この点、自分が就活をしているときは、業界とか業種とかで自分が楽しいと感じるものは違うのかなと思っていました。しかし、実際会社に入ってみると、「会社が世の中に何を提供できているのか」なんて、自分が仕事を楽しいと感じるかどうかとはほとんど関係なかったことに気が付きました。
特に私は法務というスタッフとして就職しようとしていたので、何を作るか、何を売るか、といったことはそもそもあまり関係なかったのです。
そして、多くの学生の方から、「スタッフを希望する場合、「なぜうちの会社を希望するのか?」と聞かれた場合になんと答えたか?」または「何と答えるべきか?」という質問も受けました。この点はスタッフを目指す学生がいつも気になる点の一つなのですね。
ましてや、自分の入った会社が、世間でどう思われているのか、とか、給料が世間の平均と比べてどうなのか、といったことも、「楽しさ」や「やりがい」とはほとんど関係ないと言えると思います。
例えば受験や資格試験を例にとっても、それに合格するまでは、「これに合格したら、自分の人生メチャクチャhappyになる!!」とか、「他に何もいらない!」とか思ったりすることもあるかもしれませんが、実際に合格してみると、その嬉しさは日が経つにつれて小さくなっていき、いつのまにかそこにいる自分が当たり前、というか、そこにいて当たり前の状態になります。
それは就職の場合も同じで、一旦入ってしまえば、「そこにいることだけで満足!」とは思えなくなるのが普通ではないでしょうか。
では、仕事を楽しいと感じられるようになるのは何にかかっているのか?と言えば、それは、「何か、または誰かに、自分が貢献できていると思えるかどうか?」だと思います。
他の条件がどんなにそろっていても、この「貢献できている感じ」がない場合には、仕事を面白いと感じることはないのではないでしょうか。
この点、法務もそうですが、総務や経理といったスタッフ職は、直接外に出ていく仕事ではなく、主なお客様は社内の営業職や技術職の方々、ということになります。
そうすると、なかなか、自分が世の中の役に立ってる感は得られないように思います。
そのため私は、入社して数年間は、なかなか仕事が楽しいとか、やりがいがある、などと思うことができませんでした。
「この契約書を検討して、一体何がどうなるだろう?」
「ここの文言を修正してみたけど、これってどれだけ役に立っているんだろう?」
と、こんな気持ちでした。
入社して2年目の終わりに、ある先輩と一緒に担当していたプロジェクトに関して、海外のある国に営業や技術の方々と一緒に出張しなければならない仕事がありました。
その出張中に私は、事業部門の方々が本気になってそのプロジェクトを成功させようとしている姿を目の当たりにしました。
前々からそのプロジェクトに関わってはいたのですが、その出張までは、私の事業部門の方々とのかかわり方は、社内の会議で一緒に協議をする、といった程度のものだったので、なんというか、事業部門の方々が実際に「動いている姿」というものを見たことがなかったのです。
その出張では、現地の取引相手のところにみんなで資料をもって訪問して協議をし、その協議内容が反映された(反映されているはずの)契約書を受け取って休日にも関わらずみんなで読み合わせをして問題点を修正したり、東京の本社で開催される社内承認のために日本と現地とで電話会議を行ったり、といったことを出張メンバー全員でしていました。
事業部門の方々は、それこそ朝から晩まで、必死に取り組んでいるように見えました。
私はそんな姿を見て、初めて、「本当にこのプロジェクトを成功させたいと思っているんだな」と感じました。
「そんなの当たり前だろう?」と思われるかもしれませんが、現地での動きを見ていない私には、そのあたりの本気度がよくわかっていなかったのです。
実際に何かのプロジェクトに加わるとわかると思いますが、社内で何かプロジェクトが立ち上がっても、「そんなのうまくいきっこない」とか、「あの案件はつぶれたほうが会社のためになる」という声は必ず出るものです(それが本当のことかどうかはともかく、反対意見はいつもある、ということです)。
そして、なかなかプロジェクトが予定通りに進まないと、プロジェクトメンバーのことをさして、「彼らは本気で取り組んでいないんじゃないか?」と言ったりする人も出てきます。
ずっと日本にいた私は、そういう話を聞くと、「そうか、プロジェクトメンバーもさほど本気ではないのか。だから予定通りに進まないのか」なんてことを思ったりしました。「じゃあ、自分もそんなに本気にならなくてもいいのか」なんてことも感じました。
しかし、実際に一緒に出張してみると、そうではないことが分かりました。上司にやれと言われたから仕方なく進めている、というのではなく、本当にそのプロジェクトには重要な意義があって、だからどうしてもそれを成功させたいんだ、と思って取り組んでいる、というのがわかりました。
みんなでご飯を食べるときも、次の取引先との会議ではどうしようか、といったことがずっと話されているわけです。
そういうのを何日か見ているうちに、会社に入ってからおそらく初めて、「自分も何か役に立ちたい」と思うようになりました。
このブログで何度も書いていますように、私は英語がすこぶる苦手で、そんなレベルで自分に何ができるかと言われると、たいしたことは思いつかないのですが、とにかく自分も何か貢献しなければならない、と思いました。
その後私がどう取り組んだのかは、ここでの主題から外れるので割愛しますが、ここで私がお伝えしたいのは、「現地に行って、支えるべき人が頑張っているのを見れば、自分も何か少しでも貢献しなければならない、と自然と思えてくる」ということです。
スタッフ職だと、なかなか出張の機会もなく、ずっと社内にいる毎日を送っていると、自分が世の中だったり会社だったり、そして事業部門の方々にどう役立てるのか、貢献できるのかがイメージしづらいところがどうしてもあると思います。
しかし、一度事業部門の方と一緒に出張に行き、本気で業務に取り組んでいる姿を見れば、何かが変わるように思います。
自分が会社にいる間に行う業務も、具体的に事業部門の方々の業務にどう繋がって行くのかを想像するようになると思います。
そうなると、「もっとスピード感をもって取り組まないといけないな」とか、契約書の検討業務であれば、「事業部門の人が取引先と協議する際に何をどういえばこちらの修正を受け入れてもらいやすいかを考えて提案しよう」と思うようになる、とか、「何が自分に求められているのか」といった点が分かってきたりするのではないでしょうか。
そんな風に具体的なイメージをもって取り組んでいくうちに、「自分が誰かに、何かに、貢献できている」と思えるようになってくることがあると思います。
なので、スタッフ職についたものの、いまひとつ仕事がつまらないとか、やりがいが感じられない、と思うときは、事業部門の方と積極的に絡もうとするのがよいのではないでしょうか。
大学に入る前に見たあの映画のあの言葉は本当だったと、このときの出張で私は感じました。
「事件は会議室で起きてるんじゃない!現場で起きてるんだ!!」
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