on demand bondとsurety bond(シュアティボンド)の違い

      2020/01/30

2種類の「ボンド」

このブログの中でも、既に「ボンド」について解説していますが、実は、ボンドと呼ばれるものには2種類あります。

 

1つは、on demand bondです。通常、銀行がオーナーに対して発行するものです。Bank Guarantee(銀行保証状)とも呼ばれます。このブログ中でこれまで「ボンド」という言葉を使うときは、このon demand bondを指していました(詳しくはこちら!)。

 

もう1つは、surety bondです。

 

surety bondとは何か?

それは、コントラクターがプラントを完成させることができなくなったときに、surety bondを発行したsurety(コントラクターでもオーナーでもない「第三者」たる企業です)が、surety bondに記載の保証金額の範囲で、コントラクターの代わりにプラントを完成させる、また、それができない場合には、オーナーに損害を賠償する、というものです。

 

この、「suretyが代わりにプラントを完成させる」という点が、on demand bondとは大きく異なる点です。

 

on demand bondは、例えば、コントラクターが納期に遅れた場合にオーナーに対して負担する納期遅延LDを、コントラクターが速やかに支払おうとしない場合に、オーナーがボンドを発行した銀行に対してボンドを提示した上で「納期遅延LD相当額●円を支払ってくれ」といえば、銀行がすぐにそれに応じて支払わなければならない、というものです。

 

つまり、on demand bondは、ボンド発行者が代わりにプラントを完成させるなどといったことはしません。金額を支払うだけです。

 

その意味では、surety bondは、parent company guarantee(親会社保証)に似ているといえるかもしれません。

 

親会社保証は、コントラクターの親会社が、子会社であるコントラクターが負う義務の履行を保証するものです。つまり、子会社がプラントを完成させることができなくなった場合には、そのプラントを代わりに完成させなければならないことになります。もしも親会社にもそれができない場合には、損害を賠償することになります。

 

ここで、一応、次のことがいえるでしょう。

 

オーナーが「ボンド」を発行して欲しいと言ってきたら(入札指示書にそのように記載されていたら)、そのボンドが、on demand bondなのか、それともsurety bondなのかを確認するべきだ、と。

 

というのも、両者は、「発行者が代わりに仕事を完成させるものか、それとも単にお金を支払えばよいのか」という大きな違いがあるからです。

 

もっとも、オーナーがどちらを求めているのかは、その対象となる案件によって、だいたいは決まってくると思われます。

 

というのも、そもそも、「コントラクターの代わりに仕事を完成させられる者なんて他にいない」という案件では、surety bondを求められることはないでしょう。

 

実際、私が関わっていた火力発電所や原子力発電所などへの機器供給・建設案件では、surety bondを求められたことはまずありません(私が知る限りでは皆無です)。

 

これらの案件は、途中までコントラクターAが行っていたものを、コントラクターBに切り替えて完成させることなど、まず現実的ではないからでしょう。

 

というわけで、おそらく、みなさんの関わっている案件・業界でも、既に、ボンドといえば、on demand bondなのか、それともsurety bondなのかはだいたい決まっているはずですが、両者は全くの別物であるので、念のため、入札指示書や契約書でその点をチェックするようにしたほうがよいでしょう。

 

Surety bondの中の文言

以下に、surety bond中では、具体的にどのような文言が記載されているかを紹介します。

 

“The Guarantor guarantees that in the event the Contractor fails to perform his obligations under the Contract, the Guarantor will satisfy and discharge the Contractor’s obligations.

「保証人(これがsuretyです)は、コントラクターが契約に基づく義務を履行できない場合には、保証人がその義務を満たし、かつ、履行することを保証する。」

 

やはり、「コントラクターの義務を履行することを保証する」とあり、on demand bondの「お金を支払う」という記載とは、異なっている点が見分けるポイントです。

 

Stand by LC

ところで、on demand bondと実質的に同じように使われているものがあるのをご存知でしょうか?

 

それは、LC(letter of credit)です。

 

といっても、ただのLCではなく、Stand by LCと呼ばれるものです。

 

これも、「ボンド」と呼ばれるものですが、on demand bondとは異なるものです。

 

次回は、このStand by LCについて解説します。

 

 

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Society of Construction Law Delay and Disruption Protocol

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 - EPC契約のポイント