合弁契約のポイント②~授権株式と発行済株式その①~

      2019/11/05

新会社の名称や目的が決まったら、次に決めるべきは、新会社が事業のためにどれだけの資金を集めることができるのか?ということです。どんな企業も資金がないと何もできないことを考えると、これはとても重要なことだと感じていただけると思います。

 

ここで、まず定めるのは、「新会社が自分たちで調達できる資金の範囲」です。ここで、会社が資金を調達する方法は大きくは2つあります。1つは、第三者から融資を受けることです。銀行からお金を借りるというのはその典型例です。もう1つは、自社の株式を発行することです。株式を渡すことと引き換えに、資金を払い込んでもらうのです。払い込んだ者は、新会社の株主となります。合弁契約では、まずは合弁契約の当事者が払い込んで株主となります。

 

そのために、まず、以下のような条文が定められます。

 

The NewCo shall be authorized to issue [X] shares of common stock without par value.

「新会社は、無額面株式を[X]株発行する権限がある。」

 

これは、新会社が発行することができる全株式数を定める条文です。これを「授権株式」とか「授権資本」と呼びます。新会社には、この授権資本を超えて株式を発行することは認められていないわけです。

なお、「授権株式」は、authorized sharesと書きます。

 

次に、以下のような条文が定められます。

 

The NewCo shall issue [Y] shares at the time of the incorporation of the NewCo.

「新会社は、その設立時に、[Y]株発行しなければならない。」

 

これは、新会社に与えられた授権資本の中で、「設立時に発行すべき株式数」を定める条文です。これは「設立時発行済株式」とか「設立時発行済資本」と呼びます。

なお、「発行済株式」は、issued sharesと書きます。

 

最後に、以下のような条文が定められます。

 

The NewCo may issue the authorized but unissued shares of the NewCo from time to time as the Board of Directors of the NewCo so decides in accordance with the provision hereof.

「新会社は、本契約の条文に従って取締役会が決議した場合には、未発行の授権株式を随時発行することができる。」

 

これは、授権資本の中で、設立時に発行した分の残り、つまり、未発行の株式については、取締役会の決議で発行できる旨を定めています。

 

これは、別の味方をすれば、これ以上の株式、つまり、新会社の授権資本を超える株式を発行するためには、取締役会の決議では足りず、株主総会の決議が必要となるという意味でもあります。当然、取締役会決議だけで株式を発行できた方が、迅速に資金を調達できます。

 

つまり、上記3つの条文を合わせれば、「新会社が株主の同意を得ることなく、迅速に資金調達を行うことができる範囲を定めている」といえます。

 

なお、「未発行の授権株式」は、authorized but unissued sharesと書きます。

 

上記は言葉だけで理解しようとするとなかなか難しいかもしれませんが、以下のように図で見ればすぐに理解できると思います。

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