原則を示す表現と例外を示す表現を覚えよう!
2017/03/11

英文契約のドラフトの練習 第18回
今回も前回に引き続き、英文契約書の中で頻繁に使われる表現についてご説明します。
unless
まず、unlessです。これは、「unless 主語+動詞」で、「~でない限り」という意味で使われますが、特に契約書中で頻繁に見るのは、以下のような形です。
unless otherwise (expressly) provided in this Agreement,主語+動詞~
または、上記のin this Agreementの部分に具体的な条文が入っている以下のような形です。
unless otherwise (expressly) provided in the Article 3.2, 主語+動詞~
これは、「この契約書に別のことが(明確に)定められていない限り、主語+動詞である」という意味になります。
どのような場合にこれが使われるのかといいますと、「ここで原則的な扱いを定めつつも、この原則と異なる定めが契約書の中の他のところでなされていれば、その場合は例外的に、その異なる定めに従うことになります」ということを言いたい場合です。
以下に具体的な条文を記載します。
Unless otherwise provided in this Agreement, the Supplier shall bear all taxes imposed in connection with the performance of the Work hereunder.
訳:本契約に別の定めがない限り、供給者は、本契約に基づく仕事の履行に関して課されるあらゆる税金を負担しなければならない。
ここでは、「原則として、供給者が税金を負担する」と定めていますが、同時に、Unless otherwise provided in this Agreementを書くことで、契約中の別のところで他の事を定めている場合には、その時は例外的にその条文に従います」ということを示しています。
except
次に、このunlessと同じ使い方をされる表現として、exceptがあります。
except that 主語+動詞、またはexcept for名詞で、「~でない限り」「~を除いて」という意味になります。特に、以下のような形で契約書中にて使われます。
except as otherwise (expressly) provided in this Agreement,主語+動詞~
または、上記のin this Agreementの部分に具体的な条文が入っている以下のような形です。
except as otherwise (expressly) provided in the Article 5.2,主語+動詞~
これも、「unless otherwise expressly provided in this Agreement,主語+動詞」と同じで、「この契約書に他に(明確に)定められていない限り、主語+動詞である」という意味です。
以下に例文を挙げます。
Except as otherwise expressly stated in this Agreement, the Purchaser is not required to pay the Supplier any additional fees or expenses.
訳:本契約に明確に別の定がない限り、購入者は供給者に対して、何等の追加の費用を支払う義務はない。
よって、
unless otherwise (expressly) provided in this Agreement,主語+動詞~
except as otherwise (expressly) provided in this Agreement,主語+動詞~
という二つの表現の意味を覚えておくと、unless otherwiseやexcept as otherwiseが来た瞬間に、「あの意味か!」とすぐにわかるので、契約書を読むスピードが速くなると思います。
また、契約書中に原則を示した上で、例外がどこかに定められていることを示唆したい場合には、このどちらかを使えばよいので、条文を自分で作る場合にも便利です。
notwithstanding
次に、notwithstandingについてご説明します。
このnotwithstandingは、以下の形で契約書中によく出てきます。
Notwithstanding anything provided in this Agreement,主語+動詞~
これで、「本契約にいかなる定めがあろうとも、主語+動詞~」という意味です。
先ほどご紹介したunless otherwiseやexcept otherwiseとは逆の意味、つまり、「原則に対する例外を書きたい場合」に、この表現が使えます。
「本契約に何がどう書いてあったとしても、主語+動詞になるよ」ということなので、この「主語+動詞」の部分が、例外的な扱いを定めていることになります。
以下に具体的な条文例を示します。
Notwithstanding anything provided in this Agreement, the Owner shall bear all customs and import duties imposed by any law on the Plant.
訳:本契約のいかなる定めにも関わらず、発注者は、法律によってプラントに課される関税および輸入税を負担しなければならない。
このnotwithstanding anything provided in this Agreementという表現も、見た瞬間に、「例外を示そうとしている表現だ!」とわかるようにしておくと、読むスピードが速まると思いますし、原則的扱いに対する例外を書く際には使えるようにしておくと便利です。