文章力を向上させる方法
2023/07/12

「文章が上手に書けるようになりたい。」
このようなことを思われたことのある方は多いのではないでしょうか。
書店に行けば、文書作成術や、文章力向上のための本が数多く置いてあります。
会社に入って、私がまず驚いたのは、仕事で文章を書く機会の異様な多さでした。
毎日のように大量のメールを書いたり、説明資料を作ったり、契約書を作成したり・・・。
文章をパソコンで作成せずに一日を終えることはまずないように思います。
これだけ文章を書く必要性がある社会において、よい文章を書くことができるというのは、その人の強みになる、と言ってよいかもしれません。
「よい文章」とは?
ところで、「よい文章」とは、どのような文章をいうのでしょうか?
この点、難解な言葉を使いこなした文章や、やたらと比喩的な表現を使っている文章を指す、と思う方もいるかもしれませんが、私はそうではないと思います。
ビジネスの場でも、それ以外でも、文章の一番の目的は、「書き手」の意思を「読み手」に伝えることに尽きるでしょう。
つまり、「一読了解な文章」、「わかりやすい文章」、「読み手に勘違いされない文章」、「自分が言いたいことが100%伝わる文章」が、よい文章だと思います。
文章力向上術
では、どうすれば、上記でいう「よい文章」を書くことができるようになるのか?
この答えを、私はある本の中に見出しましたのでご紹介したいと思います。
それは、ショーペンハウエルの「読書について」という本です。
この本の中で、ショーペンハウエルはこう言っています。
「すぐれた文体たるための第一規則は、主張すべきものを所有することである。あるいはこの規則は、第一規則どころではなく、第二第三をほとんど必要としないほどの、充分な規則と言ってよい。実際、この規則だけで文章の道を踏破することができる。」
「伝えたい!」と強く念じる
「は?何言ってんの?これのどこが良い文章のアドバイスなわけ?」
こう思った方はいらっしゃいますか?
確かに、ショーペンハウエルは、特定の技術らしきものは何一つ提示していません。
しかし彼は、その問いには、こう答えてくれています。
「いったい人は何か真実なものを伝達しなければならない際に、曖昧な語り方に努めるであろうか、それとも明瞭な語り方に努めるであろうか。」
「そういう思想(読み手に伝達するべき明晰判明な考え、を指す)を所有している者は、その伝達という目標を目指してひたむきに努力する。そのため絶えず輪郭明瞭な概念を読者に提供し、冗長に流れず、無意味な言葉は使わず、混乱に陥らずに筆をすすめて行く。」
「彼らだけ(読み手に伝達するべき明晰判明な考えを持っている者、を指す)が、入念な選択を試み、特別な、目的をいだいて、一つ一つの語を結合していく。」
「このような著作家(主張するべきものを持っている者、を指す)であればまた、実際、主張すべき真実のものを所有しているため、つねに極度に飾り気のない簡潔な表現方法、きれいにわりきった明確無比な表現法を駆使するであろう。それはその関心が、ただ現に所有しているこの思想を、読者の中にも呼び起こさなければ、ということだけに集中しているためである。」
いかがでしょうか?
つまり、「これを読む人に伝えたい!確実に理解してもらいたい!」と思うことが文章を書く際に最も重要である。それができれば、あとは自然とその目的を果たすために、自分で一言一言丁寧に言葉を選びながら紡いでいこうとするはずだ。そしてそれができれば、自ずと、わかりやすい文章になっている、とショーペンハウエルは言っています。
テクニック
書店に置かれている文章の本は、「こうすると読みやすい、こうすると見やすい、こうすると頭の中に入ってきやすい」というテクニックが書いてあることが多いように思います。
しかしそれは、「このことを読み手に確実に伝えたい!絶対にわかってもらいたい!!」と強く思った先に導かれる一つの技術に過ぎません。その技術は、私たちが文章を作成する際に常に当てはまる不変のルールではないでしょう。そのため、いざそのルールを実際の文章を書く場面で使おうとしても、なかなかうまく使いきれない、ということも多いと思います。
そんな時は、「ぜひともこの中身を読み手に理解してもらいたい!」と思うという原点に立ち返ってみてはいかがでしょうか。その文章で書きあらわされている対象について何の前提知識も持たない人間だと自分を仮定した上で、改めて自分が書いたその文章を読み、一読了解できるか試してみてはいかがでしょうか。
その際特に気を付けたいのは、「これは書かなくても、普通読み手はわかってくれるだろう」といった期待を読み手にすることです。その読み手は、こちらが思うほどに前提知識を持っていない可能性もあります。
地道な作業ですが、こういった、「伝えたい!!」と心から思いながら、書いては推敲、書いては推敲を日々繰り返していくうちに、徐々に文章作成能力は向上していくのだろうと、私はこの「読書について」から学びました。
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仕事における段取りや根回しってどんなものかよくイメージできない!という人へ
何かの資格試験に落ちて、「もう人生終わりだ!」と思っている人へ
新しいことをしようとしたら、周りから猛烈な反対を受けて、しょんぼりしている人へ
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本当は主役になりたいのに、いつも主役になれないと落ち込んでいる人へ
上司に取り入っていろうとしている人を見ると、寒気がしてきてしまう人へ
いつも残業しているが、そんな現状をなんとか変えたいと本気で思っている人へ
「仕事で評価される人は自分とは何が違うんだろう?」と疑問に思っている人へ
「社会人になると、学生の時と一番何が違うんだろう?」と疑問を抱いている学生の方へ
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「部内の飲み会なんて、どんなに遅刻してもよい、なぜなら仕事じゃないんだから」と考えている人へ
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