できる限り、名詞よりも動詞で表現しようとする!
2017/03/11

英文契約のドラフトの練習 第10回です。
今回は、「可能な限り、名詞よりも動詞で表現しようとする」をについてご説明したいと思います。
「名詞よりも動詞で表現する」とは、一体どういうことだろう?
そう思われた方も多いのではないでしょうか。
具体例を挙げてみます。
「この議題について協議する」という意味を表そうとした場合、どのような表現が思いつくでしょうか?
have a discussion on this matter
このような表現が真っ先に浮かんだ方はいらっしゃいますか?
それとも、
discuss this matterでいいじゃない?と思った方もいらっしゃることでしょう。
どちらでも正解です。
では、どちらが、簡潔に表現できているといえるでしょうか。
それは、後者、つまり、discuss this matterですよね。なんといっても、3単語ですから。
両者を並べてみるとその短さは一目瞭然です。
have a discussion on this matter
discuss this matter
have a discussion on this matterとdiscuss this matterの何がどう違うかといいますと、「協議する」という意味を、前者は名詞(discussion)を中心にして表現しているのに対して、後者は動詞(discuss)で表現しているということです。
実は、英文契約書中では、このhave a discussion on this matterのように、動詞で表現できるものを、名詞を中心にした形で表現されていることが結構見受けられます。しかし、意味が変わらない限り、動詞で表すようにしたほうが簡潔な英文になります。
もう一つ、具体例を示してみます。
「ライセンシーが、技術情報に改良を行った場合」を英語にする場合、どのような表現がありえるでしょうか。
一つは、「改良」という名詞であるimprovementという単語を使って、次のように書く方法が考えられます。
If the Licensee makes an improvement to the Technical Information,
もう一つは、「改良する」という動詞improveという単語を使って、次のように書く方法があります。
If the Licensee improves the Technical Information,
どちらが分かりやすいかと言えば後者でしょう。こちらも、両者を並べてみると、その違いが一目瞭然です。
If the Licensee makes an improvement to the Technical Information,
If the Licensee improves the Technical Information,
このように、ある条文を書いたら、「動詞で言い直すことができないか?」と考えてみると、より短く、簡潔な条文に修正することができることがあると思いますので、試してみていただければと思います。
特に、名詞の語尾が「-ion」となっている者は、動詞で表現できる場合が多いとされていますので、一度作成した英文を、「-ion」で検索してみるとよいですね。