英文の秘密保持契約の解説⑩ 情報受領者の情報管理義務について

      2020/01/28

 

今回は、情報受領者が開示を受けた秘密情報の管理方法についての条文について解説します。

 

これは、日本語では、次のような条文で定められます。

 

「情報受領者は、情報開示者から受領した秘密情報を、自らの秘密情報を取り扱う際に払うのと同等以上の注意義務をもって取り扱わなければならない。ただし、それは、善良なる管理者の注意義務を下回ってはならない」

 

 

自己の秘密情報を取り扱うのと同等の注意義務

 

まず、「情報受領者は、情報開示者から受領した秘密情報を、自らの秘密情報を取り扱う際に払うのと同等以上の注意義務をもって取り扱わなければならない」という条文の英文を考えます。

 

主語である「情報受領者」=the Receiving Party

 

目的語である「情報開示者から受領した秘密情報を」=the Confidential Information

(ここでは、Confidential Informationとは、情報開示者から開示されたもの、と定義しておくことで、いちいち、the Confidential Information provided by the Disclosing Partyのように書く手間を省きます)

 

動詞である「~を取り扱う」=treat

(ここは、useを使っている契約書も結構見かけます)

 

難しいのは、ここからでしょう。

 

「自らの秘密情報を取り扱う際に払うのと同等以上の注意義務」を英語にしていきます。

 

まず、「自らの秘密情報を扱う際に払う注意義務」です。

 

「注意義務」は、the degree of careと書くことができるので、ここはthe degree of care with which the Receiving Party treats its own confidential informationと書くことができます。

 

なお、ここでいう「自己の秘密情報」は、この契約で定義されている「秘密情報」とは異なるものなので、Confidential Informationとは書かずに、confidential informationと小文字で書きます。

 

そして、この注意義務と「同等以上」ということは、「この注意義務を下回らない注意義務」という意味ですので、with the degree of care no less stringent than with which it treats its own confidential informationと書くことができます。

 

まとめると、次のようになります。

 

The Receiving Party shall treat the Confidential Information with the degree of care no less stringent than with which it treats its own confidential information.

 

 

善良なる管理者の注意義務

 

続いて、「ただし、それは、善良なる管理者の注意義務を下回ってはならない」についてみていきます。

 

「善良なる管理者の注意義務」=the due diligence of a prudent merchant (または、the reasonable due care)

 

「善管注意義務」という表現は、この際、暗記してしまいしょう。

 

「下回らない」=no less than

 

よって、次のようになります。

 

but no less than the due diligence of a prudent merchant

 

まとめると、次のようになります。

 

The Receiving Party shall treat the Confidential Information with the degree of care no less stringent than with which it treats its own confidential information but no less than the due diligence of a prudent merchant.

 

 

穴埋め式で練習

この条文についても、穴埋め方式で練習をして、自分でも書けるように練習をしておきましょう。

 

問題:

The Receiving Party shall [treat] the Confidential Information with the [degree] of care no [less] stringent than with which it [treats] its own confidential information but no [less] than the due [diligence] of a [prudent] merchant.

 

訳:

「情報受領者は、情報開示者から受領した秘密情報を、自らの秘密情報を取り扱う際に払うのと同等以上の注意義務をもって取り扱わなければならない。ただし、それは、善良なる管理者の注意義務を下回ってはならない」

 

回答:

The Receiving Party shall [treat] the Confidential Information with the [degree] of care no [less] stringent than with which it [treats] its own confidential information but no [less] than the due [diligence] of a [prudent] merchant.

その理由はこちらに詳しく記載しました。

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英文の秘密保持契約の解説の目次

サクッと全体像をつかむ 秘密の保護と管理 保証・権利・返還
有効期間 「秘密の保持」 第三者への開示禁止
目的外使用の禁止 開示してよい範囲(その①) 開示してよい範囲(その②)
情報管理義務 差し止め請求 「現状渡し」と「無保証」
権利の留保 返還・破棄 定義条項

 

 

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