英文の秘密保持契約の解説⑥~「第三者への開示の禁止」について~

      2020/01/28

 

前回は、以下の条文の最初の下線部、つまり、「秘密情報を、秘密として保持しなければならない」という表現について解説しました。

 

「情報受領者は、本契約に基づいて情報開示者から開示された秘密情報を、秘密として保持しなければならず第三者に開示してはならない。」

 

今回は、2つ目の下線部分である「(秘密情報を)第三者に開示してはならない」という表現について解説します。

 

禁止

まず、「開示してはならない」とは、「禁止」を表しています。

 

英文契約において、「禁止」は、shall notで表します。

 

開示する

次に、「開示する」という表現ですが、これは、discloseが最も頻繁に使われます。

 

時々、disseminateという表現をdiscloseと一緒に使っている秘密保持契約書を見ることがあります。

 

disseminateは、「ばらまく」という意味があります。

 

でも、disseminateは使わずに、discloseだけ使っている契約書の方が多いですし、実質的に考えても、あえてdisseminateを一緒に使うことで、法的な拘束力に違いがでるわけでもありません。

 

さらに、本当に極まれに、この場面で、divulgeという表現を使っている契約書を見たこともあります。

 

divulgeとは、「漏らす」という意味です。

 

きっと、このdivulgeという表現を使う人は、「情報が漏えいされる、漏らされる」というニュアンスをより明確に出したいと思い、あえてdiscloseを使わないことにしているのだと思います。

 

でも、この両者の単語の難易度はかなり差があるようです。

 

調べてみると、ある英語のサイトでは、divulgeは、英検1級の合格に必要なレベルのようです。

 

一方、discloseは英検2級の合格に必要なレベルとされています。

 

実際、私はその秘密保持契約書を見るまで、divulgeという単語を見たことがありませんでした。

 

どうして、多くの英文契約書で、discloseでほぼ統一的に使われている単語を避けて、あえてdivulgeなんて言葉を使おうとするのか、私は不思議でしょうがないです。

 

divulgeなんて単語を初めて見たら、一瞬、「あれ?ここの条文は、秘密保持に関する条文ではないのかな?」と思い、辞書を引いてしまうと思います。

 

書いた人にとっては、ごく普通に使っている単語なのでしょうか・・・。

 

それとも、読み手に辞書を引かせて、何かよいことがあるのでしょうか・・・。

 

私たちは、「開示する」は、discloseを使うようにしましょう!

 

以上から、通常、「秘密情報を第三者に開示してはならない」は、次のように定められることになります。

 

(The Receiving Party) shall not disclose the Confidential Information to any third party.

 

ここで、「相手方の書面による事前の同意なくして」という表現を定めている契約書も多く見かけます。

 

この場合、以下のような条文になります。

 

(The Receiving Party) shall not disclose the Confidential Information to any third party without the Disclosing Party’s prior written consent.

 

この、without one’s prior written consent/approvalは英文契約書の中で頻繁に出てくる表現なので、読んで意味が分かるだけでなく、書けるようにもしておくと便利です。

 

 

「秘密の保持」と「第三者への開示の禁止」をまとめる

 

では、前回の解説と合わせて、以下の条文を英文にしてみます。

 

「情報受領者は、本契約に基づいて情報開示者から開示された秘密情報を、秘密として保持しなければならず第三者に開示してはならない。」

 

The Receiving Party shall keep the Confidential Information in strict confidence and shall not disclose the Confidential Information to any third party without the Disclosing Party’s prior written consent.

 

もちろん、前回お話ししたように、必ずしも上記の英文そのものではない場合もいくらでもありますが、まずは上記をしっかり理解してください。

その理由はこちらに詳しく記載しました。

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英文の秘密保持契約の解説の目次

サクッと全体像をつかむ 秘密の保護と管理 保証・権利・返還
有効期間 「秘密の保持」 第三者への開示禁止
目的外使用の禁止 開示してよい範囲(その①) 開示してよい範囲(その②)
情報管理義務 差し止め請求 「現状渡し」と「無保証」
権利の留保 返還・破棄 定義条項

 

 - 英文の秘密保持契約の解説