坂本龍馬は、なぜ脱藩したのか?

      2023/07/12

 

坂本龍馬は、28歳の時に土佐藩を脱藩したそうです。

 

当時、脱藩は重い罪でした。死罪になったそうです。

 

脱藩とは、「属している組織から抜ける」という意味では、今でいえば、会社から抜ける、つまり、「会社を辞めること」に当たるのでしょうか。

 

会社を辞めたからといって、命は取られません。

 

しかし、それでも、辞めることにはかなり躊躇してしまいます。

 

「会社を辞めたい。」

 

こう思ったことのある人は、おそらくたくさんいるでしょう。

 

しかし、なかなかやめるまで踏み切れません。

 

それまでの生活基盤を失うことの恐怖もありますし、「辞めて、次の組織や新しい道ではうまくやれないんじゃないか」とも思ったりします。

 

では、なぜ、龍馬は脱藩したのでしょう?

 

 

江戸での剣術修行

 

龍馬は、江戸に剣術修行に行ったことがあります。

 

江戸の北辰一刀流の千葉道場に入るためです。

 

もしかしたら、彼は、この時、江戸の空気を吸い、まだその時の日本にはなかった言葉である「自由」を、体いっぱいに感じたのかもしれません。

 

また、その自由な空気の中で、他の藩の色々な者達と様々な話をしたことで、土佐一国の中にいたときには全く考えもしなかったようなことが思い浮かぶようになったのかもしれません。

 

特に、彼は江戸で剣術の才能を開花させ、北辰一刀流の免許を取得しました。

 

「土佐で剣術の道場を開いて生きていけたら」と思っていたのに、江戸に行ったことがきっかけで、「もっと違うことに挑戦してみたい」と思うようになったのかもしれません。

 

そして、あるきっかけ、それはもしかしたら、江戸城桜田門外で起きた井伊大老の襲撃事件だったのかもしれませんが、何かがきっかけで、決意したのかもしれません。

 

 

会社を辞める人

 

会社の人事部の人から、次のようなことを聞いたことがあります。

 

「会社の中で、将来有望な人を何人か選んで、外国に研修や留学をさせると、その中の一定数は辞める。」

 

これを聞いた時、なんとなく、「龍馬が脱藩した理由は、これなんじゃないかな」と思いました。

 

研修や留学に行くと、外の世界を見て、「自由」と「自分はもっとやれる」という2つの気持ちを感じてしまうことがあるのかもしれません。

 

この2つの気持ちを持つと、もう今の会社にはいられないような気持ちになるのかもしれません。

 

竜馬も、北辰一刀流の免許皆伝を江戸で受けて、「自由」と「自分はもっとできるはず」という、そんな気持ちになったのではないでしょうか。

 

 

職業選択10箇条

 

韓国の、とある高校で伝えられている「職業選択10箇条」というものをご存知でしょうか。

 

これは、職業を何にするか迷っている若者に対するアドバイスのようです。以下に列挙してみます。

 

l  給料が少ない方を選べ

 

l  自分が望むところではなく、自分が必要とされるところを選べ

 

l  昇進のチャンスがほとんどないところを選べ

 

l  全て条件がそろっているところは避けて、イチから始めねばならない荒れ地を選べ

 

l  先を争って人が集まるところには絶対に行くな。誰もいかないところに行け

 

l  将来性が全くないと思われるところに行け

 

l  社会的な尊敬が全く期待できないところに行け

 

l  真ん中ではなく、はじに行け

 

l  両親や配偶者、婚約者が命がけで反対するところなら間違いなし。迷わず行け

 

l  王冠ではなく断頭台が待つところに行け

 

いかがでしょう。

 

この10箇条は、どの一つを見ても、まともなアドバイスには思えませんよね。

 

「これって一体なんなんだろう?誰がどういう目的で書いたものなのだろう?」と疑問に思い、私なりに考えたのですが、もしかすると、これは、「会社を辞めたい、転職したいと一度は思った人たちが、それでも結局辞めずに会社に残ると決めたときの理由で上位に入りそうなもの」なのではないでしょうか。

 

「転職したいけど、今の職場は給料がいいから、辞めるのをやめた」

 

「このままこの会社にいれば、昇進できそうだから、辞めるのをやめた」

 

「独立すると、全部一から始めないといけなくて面倒だから、辞めるのをやめた」・・・等々。

 

それでもやりたいものがあるか?

 

「でも、そういうものを考慮しても、「それでもやりたい!」と思えるなら、もう行け!!」というアドバイスのような気がします。

 

脱藩すれば、単なる浪人になります。

 

世間からの尊敬は得られません。

 

脱藩後には、本当に断頭台が待っていました。

 

それでもやりたいものが、龍馬にはあったんですね。

 

「自分には、それほどやりたいことがあったとき、人生の中であったっけ?」と思わず振り返ってしまいました。

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