英文契約初学者へのワンポイントアドバイス集
今日(2020年12月16日)から、英文契約初学者の方々のためのワンポイントアドバイスを不定期でアップしていくことにしました!
「最初からそうだと知っていたら、もっと早く英文契約を克服できたのに・・・」と私自身が東芝に入社した当初を振り返って今思うことを、思い出したときに都度アップしていきたいと思います。アップするたびにメルマガでご連絡しますので、以下からメルマガ登録をお願いいたします♪(解除はいつでも簡単にできますのでご安心ください!送付されたメルマガの下の方をクリックすれば解除できるようにしてあります)
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すみません。ワンポイントアドバイスの初回をアップした後、二回目をアップすることなく、早くも一カ月が経過してしまいました。昨年からオンラインセミナーのシステム構築に時間と労力を割いており、すっかり遅くなりました・・・。
以下、2回目のワンポイントアドバイスです!
英文契約初学者の勉強の優先順位について
herald
nurture
scorn
redeem
choke
上記の単語の意味、わかりますでしょうか?
答えは、次の通りです。
herald:~の到来を告げる
nurture:~を養育する
scorn:~をあざける
redeem:~を補う
choke:~を窒息させる
上記の単語は、英検準一級の頻出英単語として問題集に列挙されていたものです。
「こんな単語、簡単だ」という方も、「・・・見たことない!」という方も、どちらもいらっしゃると思います。
上記のような単語を知っていたほうがよいのか、といわれると、もちろん、知っておいた方がよいでしょう。海外案件を担当する以上、知っている英単語が多い方が有利です。
ただ、上記のような英単語は、英文契約書にはまず登場しません。
つまり、上記のような単語をいくら覚えても、それが英文契約書を読んでチェックするのに直結するのかというと、それはないといえます。
英文契約書をマスターしようと思ったら、英文契約書に出てくる英単語を集中的に身につけようとする方が近道です。
もちろん、上記に列挙したような英単語を知っていたほうが、契約書以外の英語の文章を読むのにも、出張先や電話会議で海外の取引先と協議をする際にきっと役立つことでしょう。
しかし、もしも、「英文契約書が全く読めない」「何度も辞書を引かなければならない」という状況に今あるのであれば、勉強時間を割く優先順位を決めた方が上達は早いです。
つまり、TOEICの英語や英検の英語を勉強するのはとりあえず後回しにして、英文契約書の勉強に特化するのがお勧めです。
この点、つい、次のように考えてしまうかもしれません(私は当初、こう考えておりました・・・)。
「英文契約書は、とても難しい文章である。よって、英検やTOEICレベルの英単語もわからない者が読めるようになるものではない。まずはTOEICだ!英検だ!」
しかし、これは誤りです。英文契約書は、当事者間の権利義務の話しか扱いません。経済の話も、宇宙の話も、日常生活の話も登場しません。極めて狭い範囲の話題に限られるのです。自ずと、登場する英単語も限られたものになります。
そして、英文契約書の中でも、特に頻繁に業務で扱う契約に絞って練習しようとするなら、その分野の英単語をマスターするのはますます早くなります。
例えば、秘密保持契約と売買契約に絞るとしましょう。
現時点でTOEICにおいて400点後半くらい取れているのであれば、文法はほとんど理解しているはずです。あとは単語なのです。そこで、秘密保持契約と売買契約を何個か読み、知らない単語をチェックし、それらを片っ端から覚えて行けば、大分辞書なしで読めるようになります。
そうすれば、普段の業務に余裕ができてきます。辞書を引く回数が減るからです。
そうして空いた時間で、秘密保持や売買ほどではないが、よく扱う契約について、同じように英単語を覚えていきます。このときも、同じ種類の契約書を何個か読み、知らない英単語を片っ端からチェックして覚えるようにします。
ここで重要なのが、決して、英文契約書に登場する英単語をアルファベット順に並べて紹介しているような本の頭から順番に覚えて行こうとはしないことです(これは絶対にやめた方がよいです!)。
このような本は、登場する頻度とは無関係に並べてあるのです。1年に1回くらいしか遭遇しないような英単語を優先的に覚えても非効率です。ぜひ、ご自身が頻繁に扱う契約書に登場する英単語から身につけるようにしましょう。
このようにして、英文契約に特化して英単語を増やしていくと、TOEICや英検の勉強をしていた場合よりも、はるかに短時間で英文契約書を読めるようになります。
この間、TOECIの点数は全くあがりませんし、英検でより上の急に合格する力も付きません。しかし、英文契約書に目処が付いてから、つまり、心に余裕を持てるようになってから、一般的な英語の勉強、つまり、TOEICや英検の勉強をする、ということをすれば、英語が苦手な英文契約初学者の方が仕事で苦しい思いをする期間を減らせるはずです。
入社したばかりのころは、周囲に帰国子女の方などがいると、早く追いつかなければ!と焦る気持ちはわかります。しかし、帰国子女とそうでない人との間、特に学生時代あまり英語を勉強してこなかった人との間の英語力の差は極めて大きなものがあります。
この英語力の差を、全部の分野で埋めることは簡単ではありません。
しかし、英文契約書に特化すれば話は別です。さらに、契約書の種類を絞れば、追いつくのは、そう難しいことではありません。ぜひ、特化することをお勧めします。
最後に、私は、TOEICや英検の勉強をする必要はない、といっているのではありません。
優先順位を付けて、まずは業務で必要な英文契約に特化して勉強したほうが、精神的にも楽になるとお伝えしたいのです。
ちょっと長くなりましたが、今日はここまでです!
12/16(水)
初学者が一般条項から真面目に勉強し始めると、挫折しやすい。
なぜかといいますと、一般条項は、かなり「無味乾燥な条文」だからです。
損害賠償とか、欠陥があった場合の責任(昔は瑕疵担保責任と呼んでいました。今は不適合責任といいます。保証責任でもよいです。)などと比べて、どうしてもイメージしにくいものです。
多くの参考書では、割と前の方のページで一般条項の解説がなされています。
また、初学者向けのセミナーでも、「まずは一般条項を理解しないとね」という感じで最初の方に解説がなされます。
でも・・・これがまた眠くなるんです。なぜなら、つまらないから。
これは、解説者が悪いのではなく、一般条項は、扱う対象が抽象的であるためか、ワクワクドキドキしにくい内容なのです。
そして、最初に一般条項から学び始めると、「英文契約書って、つまんない!」「難しい!」と思ってしまい、「もう勉強するのやめよう・・・」となってしまいがちなのです。
そこで、無理して最初に一般条項から学び始める必要なないです。
一般条項以外のところから勉強し始めて、最後に一般条項へ進む、ということでも全然構いません。
また、最初から一般条項を学ぶとしても、上に書いたようなことを思い出して、まずはざっと眺めるだけにして、すぐに個別条項の勉強に進み、その後また一般条項の勉強に戻るという方法もあります。
ちなみに私の参考書では、この点を懸念して、一般条項の解説は個別の契約に関する解説の後に掲載しています。
どうか、一般条項に圧倒されて、そこで英文契約書の勉強をすることそれ自体を諦めてしまう、ということだけはないようにしてくださいね!
今日はここまでです。また次回お会いしましょう♪
公開日:
最終更新日:2021/02/11