龍馬のすごさとは何か?

今日の会議で率先して手を挙げ、意見を述べた人がいました。その人の意見はあなたが考えていたものと同じでした。その意見を聞いた人たちは、「それはいいアイデアだ!」とか「さすがだねー」と言いました。あなたはそれを聞いてこう思いました。

「あのくらい、自分だって考えていたさ。」

 

昨日、テレビを見ていると、ある政治家が講演の場で、ある問題について熱く語っていました。その内容を聞いた聴衆たちは、「さすがエリート政治家。いうことが違うね」とか「将来の総理候補だね」と言って褒めたたえていました。この様子を見て、あなたはこう思いました。

「あんなの全然大したことない。自分ならもっとすごいこと言える。」

 

これと似たようなことを、思ったことはないでしょうか?つまり、会社や世間で評価されている人と同じくらい、いや、それ以上のことを自分にだってできる!と感じたことが。そのようなことを周りに言うと、大体決まってこう言われます。

「いやいや、意外とその場になったら、ああいうことはできないものだよ」とか、「あんなすごいこと、君には無理だよ」と。

しかし、私はそうは思いません。あなたは会議で発言しさえすれば、本当に周りを驚かせるような意見を示せたのかもしれません。あなたが今すぐ政治家になれば、日本が抱える様々な問題を解決できるのかもしれません。

・・・では、どうしてあなたの素晴らしい考えやアイデアは、周囲から評価されないのでしょう?

 

突然ですが、「幕末の英雄を誰か一人挙げよ」と言われたら、坂本龍馬の名前をいう人は多いかもしれません。彼は、薩長同盟や大政奉還といった明治維新における重要イベントの立役者として知られています。

薩長同盟とは、幕末において薩摩藩(現在の鹿児島県)と、長州藩(現在の山口県)が1866年に結んだ同盟のことです。幕府は過激な活動を繰り返していた長州藩に対して第二次長州征伐を開始しましたが、薩摩藩は幕府側につかず、それどころか長州藩が幕府と戦うために必要な武器の調達を手伝ったりしました。この第二次長州征伐は長州藩の猛烈な反撃にあい、幕府軍は退却します。

 

元来朝廷に帰属していた「政治を行う権限」は、源頼朝による鎌倉幕府成立以来、約700年にわたって武家が行使してきました。大政奉還は、徳川家がその権限を再び朝廷に返すというものです。龍馬の帰属していた土佐藩からの提案を受け入れ、15代将軍徳川慶喜が朝廷に申し出ました。

 

この2つは龍馬の名を大いに有名にしましたが、しかし、薩長同盟は龍馬だけが思いついたものではなく、また、大政奉還は、龍馬のオリジナルのアイデアではありません。

1866年当時、薩摩藩と長州藩が手を結べば、強力な反幕府勢力が出来上がるのに・・・という願望を持っていた人は他にもいました。また、土佐藩の中岡慎太郎や土方久元といった者たちは、龍馬に先駆けて薩長同盟に向けて活動を開始していました。

大政奉還は、実は井伊直弼が桜田門外で暗殺された1860年の時点で、幕府の官僚であった大久保一翁が今後の幕府の進むべき道として仲間内に示していました。そのときは、冷笑されただけで終わりましたが、これは実際に大政奉還がなされる7年も前のことでした。

これらの事実を聞いたら、「なんだ、龍馬って、実際はたいしたことないねー」と思いますか?いいや、そうではないですよね。

いつの世も、どの組織にも、単に思うだけ、考えるだけの人なら大勢います。しかし、「自分の方がうまくできる」と思った人たちのうち99.9%以上の人は、実際の行動には移しません。会議で真っ先に発言するのも、「批判されたらどうしよう」「的外れな意見だと思われたくない」と考えて、誰かがまず意見を述べるのを待ちます。

今の政治家が大したことないと思っても、自分が選挙に出ようと思い立ち、そのための方法を調べることすら、通常はしないでしょう。

まして、薩長同盟や大政奉還などといったことに至っては、考える人がどんなにいても、それを行動にまで移して東奔西走したのは、やはり極々わずかだったことは、みなさんご存知の通りです。

全国のほとんどの藩は日和見でした。そんな中、龍馬は、死罪となるリスクを負いながらも28歳で脱藩しました。その後、言葉で薩長を結び付けようとしただけでなく、海運貿易を行う亀山社中を設立し、当時幕府の監視の目が厳しかった長州藩の代わりに武器を外国から購入し、それを長州藩にどんどん引き渡すことで、有力な反幕府勢力とすることに尽力しました。

龍馬の本格的な活動は脱藩後のわずか4年のことでしたが、龍馬のすごさは、こういった「行動」にあるのではないでしょうか。もしも彼が、「俺の役割は、斬新なアイデアを考えることだけだ」と思って生きていただけなら、どんな小説家が彼について脚色して描こうとも、後世の私たちは、彼を好きにはならなかったでしょう。

 

今では各分野のトップレベルに上り詰めている人たちの多くは、まだ若く実績もない頃、当時のトップクラスの人たちのパフォーマンス(仕事ぶり)を見て、こう思い、行動に出たそうです。

「あのくらいなら、自分にもできそうだ」

 

明日から、思うだけではなく、何か行動に移してみませんか?

 

行動する人は、考えるだけの天才を凌駕する

 

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