駄作を生み出せ、大量に!

「今日もまた、自分の提案は通らなかった・・・。自分には、才能がないのだろうか?」

このように落ち込んでいる人もいるかもしれません。いくら企画を出しても、自分では「最高だ!」と思ったアイデアを提案しても、一向に上司から認めてもらえない、世間から「素晴らしい!」といってもらえない・・・。

そんな気落ちしたあなたに1つ質問させてください。今日拒絶されたのは、あなたの何個目の提案ですか?

 

ところで、ベートーベンが、その生涯に作曲した曲の数は全部でいくつでしょうか?

・・・650曲。

 

では、ピカソが、一生の中で生み出した作品はいくつでしょう?

・・・1800以上の絵画、1200以上の彫刻、2800以上の陶芸、12,000以上のデッサン。

 

さらに、バッハの全作曲数は?

・・・1000曲。

 

では、上記3名の全作品の中で、世間で「傑作」として認められているのは、いくつでしょう?実は、ほんの一握りに過ぎません。1%以下なのです。それ以外は、極々平凡な作品であるといわれています。

これは、とても意外ではないでしょうか?

後世から、「天才」の称号を惜しげもなく与えられている彼らですら、傑作のみを生みだしているわけではなく、それどころか、そのほとんどは「駄作」なのです。彼らの人生は、ほぼ「駄作の製作」に埋め尽くされた時間だったのです。

 

この点、『ORIGINALS 誰もが「人と違うこと」ができる時代』(アダム・グラント著 楠木建監訳)は、「天才と呼ばれる人たちが傑作を生みだしている時期には、より大量の駄作を生み出している」と述べています。このことから、「駄作を大量に作り出せば、そのうち傑作が生まれる可能性が高まる」ということがなんとなく推測できます。しかし、なぜそのようなことが起こるのでしょうか?

 

この1つの答えは、「世間が何を高く評価するかは、誰にもわからないから」というものです。

ミリオンセラーになる本も、歌も、実際に売り出してみないとどれだけ売れるかわからないのです。そのため、とにかく数多く作って世に問う、ということが必要になります。

 

もう1つ考えられるのは、「数をこなすことでアウトプットの質が高まるから」というものです。

私はある時までインプット中心、つまり、いかに多くの知識を身につけるか、という点を重要視して生きいました。本を読んで、理解して、覚える。この作業をひたすら繰り返してきました。しかし、社会人として仕事をするようになり、アウトプット中心、つまり、一旦自分の中に入れた知識を表現する方向に変わりました。学んだことに基づいて、仕事をしなければならないからです。

更に、若手の教育係になってからは、その傾向は一層強くなりました。何ら専門知識もない後輩ができるようになるように教えなければならないので、日々アウトプットを求められたのです。

そして極めつけは、英文契約などについて解説するものをメールで事業部門の方々に毎週配信するようになったことです。

この過程で、ある変化が起こりました。それは、インプット中心だった時よりも、学んだ知識をはるかに整理することができ、それを自分の言葉で説明し、そして使いこなす力が高まっていくのを感じるようになったのです。例えば、AとBというそれぞれの知識の輪郭をはっきりと捉えることができ、類似の概念同士の関係も明確に理解できるようになりました。

これは、入れた知識が自分の中に完全に取り込まれ、自分の一部になる感覚です。もともとあった自分の部分と、新たに入れた知識とが、お互いに区別し難く密着するよう、ともいえます。

そしてある時、アウトプットの質が高まっていることに気づきました。以前より、簡単にわかりやすく後輩に説明できている・・・。前よりも、素早く解説メールを書くことができるようになっている・・・!と。

 

この経験から、私は、アウトプット=作品を生み出し続けることは、インプットしたものをそれまでよりもしっかりと理解できるようになる効果があり、その結果、アウトプットの質が徐々に高まっていくという循環に入るのだと感じました。

 

もちろん私は、ベートーベンなどの天才とは比べようもない存在です。しかし、もしも、ブログの1記事1記事を「作品」と呼ぶことが許されるのなら、私が初めて英文契約に関する解説書を出版することが決まったのは、いくら書いても書いても、誰からも何のコメントももらえないような作品数が400近くになったときでした。文字数にして100万文字。400字詰め原稿用紙およそ2500枚分。

 

「数をこなすこと」、「数をこなせること」は、多少なりとも世間で認められるものを生みだすために重要な条件なのではないでしょうか。

「その人の価値は、駄作の数」といえるかもしれません。

 

あなたは、何個の提案、企画、アイデア、そして駄作を生み出すことができていますか?

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