契約書の検討にはそんなに時間をかけてはいけない

      2017/02/05

 

契約書のチェック

 

これは重要な仕事か否か?

 

おそらく重要でしょう。

 

契約書におかしなことが書いてあるのにそれを見過ごしてそのまま契約を締結してしまうと、会社が多大な損害を被るかもしれません。

 

一般論としてはこう言えます。

 

しかし、具体的に見ていったとき、「契約書の内容がおかしかった」という理由で会社が損害を被ることがどのくらいあるでしょうか?

 

会社が損害を賠償することになる場合で最も多いのは、「自社が、契約に定められている通りのものやサービスを提供できなかった場合」つまり、ものやサービスに問題があり、お客様の意図に反したことを会社がしてしまった場合です。

 

ものやサービスに問題がなければ、多少契約書が理想的な内容になっていない場合でも、会社が損害を被ることはほとんどありません。

 

具体例を挙げてみます。

 

売買契約書や請負契約書には、損害賠償の上限や逸失利益の免責といった条文が定められているほうが、売主側にとっては都合がよいです。その条文があれば、例え、自社がお客様に提供した製品やサービスに問題があり、その問題が原因でお客様に莫大な損害が発生しても、自社が賠償する損害賠償額には上限がつけられるし、かつ、逸失利益を賠償する必要もなくなるからです。

 

しかし、製品やサービスにそもそも問題がなければ、損害賠償の上限や逸失利益を免責する条文がなかろうが何ら自社は困ったことにはならないのです。

 

ここで、これまで、みなさんの会社で製品やサービスに問題があり、それによってお客様に損害を賠償しなければならなくなったのは、割合としてどのくらいあったでしょうか?

 

100件中50件もないですよね?

 

100件中10件でもないですよね?

 

おそらく、100件中1件もないのではないでしょうか?

 

つまり、多くの会社の締結している契約において、100件に99件以上は、損害賠償の規定がどうなっていようが、結果的には、関係なかったということです。

 

今まさに見ている契約書のほとんどは、一旦締結されれば、かなりの確率で、もう2度と誰かがその内容を読み返すことはないでしょう。契約書がひっくり返されて、「あの条文どうなってるんだ?」なんてことになるのは、何か問題が生じたときだけだからです。

 

そして当然会社は、欠陥のある製品やサービスを最大限減らそうとしていますので、そう滅多に問題は起きません。もしも製品やサービスに問題がしょっちゅう起きるようなら、契約書の中身をどうこうしようとするよりも、そんな製品やサービスを世の中に送り出すことの可否が真剣に検討されるべきで、契約書の条文でなんとかしようという方向に行くのは間違っていると思います。

 

 

次に、会社が巻き込まれた損害賠償案件があったら、その理由を考えてみてください。

 

いかがでしょう?

 

「契約書のあそこの条文をこうしていればこの問題は防げた!」というものは、どのくらいあるでしょうか?

 

おそらく、ほとんどないのではないでしょうか?

 

会社がお客様から損害賠償請求を受けるのは、製品やサービスに問題があった場合がほとんどだと思います。

 

製品やサービスに問題があった場合には、会社はその責任を負わなければならないのは当たり前です。そして、その際の損害賠償額が、契約金額の上限を超えるようなことは、普通はないのです。あるとすれば、余程の欠陥が製品やサービスにある場合でしょう。そのような場合には、例え契約書に責任上限や逸失利益に免責条項があったとしても、「重過失だからそれらの条文の適用はなし」とお客様から言われ、自社でも、「確かにそうだな。今回の欠陥はうちに大きな原因があるな」ということになり、「今後のお客様との関係も考えて、全額賠償する」ということになることが多いのではないでしょうか。

 

契約書の条文をこうしていれば、今回の件は紛争にならずに済んだ、会社が損害賠償を請求されずに済んだ、損害賠償金額を抑えることができた、ということは、数としては相当少ないのです。

 

だから何が言いたいのか?

 

「契約書なんて適当にチェックすればいい!」「するだけ無駄!」なんて言いたいのではありません。

 

「そういう性格を持っている契約書、特に頻繁に締結される同種の契約書のチェックにやたらと時間をかけてはいけない」と思うのです。

 

「契約書のチェックは重要な仕事だから、時間がかかってもしょうがないんだ」なんて思ってはいけない、と思います。

 

ましてや、頻繁に同じ種類の契約書をチェックする際に、あたかも初めての契約書を見るかのごとく、じっくりと時間をかけて、そして何日も経ってようやく検討を終え、「問題ない契約書です」なんていうチェックの仕方はよくない、と思います。

 

あるいは、思いっきり時間をかけて、全ての条文について自社に有利になるような条文を目指して修正し、契約締結までにやたらと時間をかけるというのもよくない、と思います。

 

同じ種類の契約書であれば、もうポイントは抑えていて、見るべき事項も知っていて、その案件の背景を確認したら、「ささっと」、迅速にチェックを終える、という感じで進めるべきです。

 

では、そのように「ささっと迅速に」チェックできるようになるにはどうすればよいのか?

 

頻繁にチェックする契約書については、チェックするべき事項は何かを自分でしっかり勉強することだと思います。

 

普段契約書を読むときにも、漫然と読むのではなく、スピードと質を高めようという意識で読むべきです(特にスピード)。

 

秘密保持契約書、売買契約書、請負契約書等々、業務によって、よくみる契約書の種類はほぼ決まっていることが多いでしょう。

 

それらについては、何も見ないでも「チェックすべきポイントはこれこれ」と言えるようにしておけば、チェックの時間を短くすることができます。

 

契約書のチェック業務についた最初のころは、「この条文も、あそこの条文も自社に有利にしよう」という気持ちで読むかもしれませんが、回数を重ねるごとに、各条文の「普通の内容が何か」という点が分かってきます。常に自社に有利な条文にしようとすると、修正にも、そのための協議にもやたらと時間がかかります。しかしそういう作業にかけた時間は、実は無駄になることも多いのです。

 

なので、特にルーチン的な契約書の検討は、見るべき事項を素早くチェックする、ということが大事になります。

 

そして浮いた時間を、初めての事業における契約書を検討する時間に充てるとか、リスクが高いと思われている契約書の重要な条文の修正やそのための協議の作戦を練る時間に充てる、というようにするのが大事だと思います。そうしないと、残業はすれども、重要なリスクを抑えることができない、という事態に陥ってしまうことになります。

 

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