英文契約の基本的な表現 第28回 契約の終了

      2017/06/21

 

第28回です!

 

今回は、「契約の終了」を表す表現についてご紹介します。

 

まず、契約は、どのような場合に終了するのでしょうか。

 

真っ先に思いつくのは、おそらく、「契約期間が満了した場合」ではないでしょうか。

 

通常、契約には、「契約期間」が定められています。

 

契約期間とは、その契約が有効である期間です。ちなみに、「契約期間」は、termと言います。

 

その期間を過ぎると、原則として、契約に定められている事項は効力を失います。つまり、契約当事者は、定められている「義務」を果たさなくてもよくなりますし、定められている「権利」を使うことはできなくなります。

 

ここで、「原則として、契約に定められている事項は効力を失う」と書きましたが、例外があります。実は、例外的に、契約期間を過ぎても、依然として契約の一部の効力を持続させることもできるのです。その方法は、契約書に、「第○条については、契約期間を過ぎても有効にします」と定めておくことです。

 

この具体例としては、秘密保持契約における秘密保持義務があります。

 

秘密保持契約の第2条に、「秘密情報を受領したものは、第三者に対して秘密情報を開示してはならない」と定められていたとします。

 

そして、同じく秘密保持契約の別の条文に、「本契約の第2条は、契約期間満了後5年間は有効とする」と定められていたとします。

 

この場合、例えばこの秘密保持契約の契約期間が3年だったとしてそれが過ぎたとしても、第2条については、さらに5年間有効です。つまり、契約期間が過ぎてから5年間は、ずっと秘密情報を誰にも開示してはいけない状態が継続するのです。

 

そして、この「契約期間の満了」を表す英語の表現は、次のようなものがあります。

 

termination

expiration

 

もっとも、terminationよりも、後者のexpirationが「契約期間の満了」を表す言葉として一般的には使われています。

 

 

では、契約が終わる場合として、契約期間満了の他には何があるでしょうか?

 

「契約の解除」があります。

 

解除とは、契約期間が満了する前に、契約当事者が契約を強制的に終了させることを言います。契約の期間満了は、当事者の意思とは無関係に、ある一定の期間が過ぎれば、契約が終わります。つまり、契約が終わる原因が、単なる時間の経過による場合は、「契約期間の満了」で、契約当事者の意思がきっかけで終了する場合には、「契約解除」となります。

 

この「契約解除」を表す表現は、次の通りです。

 

termination

 

そうです。terminationは、契約期間満了の場合も、契約解除の場合も、両方で使えます。しかし、上記に書いたとおり、契約期間満了の場合には、expirationを使うことが多く、terminationは契約解除の場合に使われることが多いです。

 

 

そしてこの契約の解除には、次のように大きくは4種類あります。

 

 

合意解除

一つ目は、「契約の合意解除」と呼ばれるものです。

 

「契約の合意解除」とは、契約の当事者が「もうこの契約、終わりにしようよ」と合意して、解除するものです。

 

契約は、当事者間の権利義務を定めたものです。その当事者のみんなが、もう契約を終わりにしよう、と思ったのであれば、それ以上その契約を有効にしておく必要はないですよね?このような合意解除に至る理由はケースバイケースですが、おそらく、その契約で果たしたいと契約当事者が考えていた目的が無事に果たされたため、あとは、「これ以上、契約にお互いに縛られる必要はなくなった」といった場合が一つのケースとして考えられます。

 

 

自己都合解除

二つ目は、売買契約や請負契約等のように、製品や役務を提供する者と、その対価を支払う者との間で締結される契約において、対価を支払う者が、一方的に契約を解除するもの、これを、「自己都合解除」と言います。

 

この自己都合解除をする権利は、対価を支払う者の方のみに与えられている契約がほとんどです。

 

では、なぜ、製品や役務を提供する者には自己都合解除はないのに、対価を支払う者には自己都合解除が与えられるのでしょうか?

 

それは、売買契約や請負契約においては、お金を払う側、つまり、買主側が、その製品や役務を欲しいと思うから契約が成り立つのであって、契約締結後に、その製品や役務が不要になってしまったのなら、製品の製造途中でも、役務の提供途中でも、その段階で契約を終わらせたほうが、無駄がないからです。

 

買主にとっていらなくなった製品やサービスをそのまま続けても、誰も喜びませんよね?もしも買主がいらなくなったにも関わらず、製品を買主に引き渡しても、買主はそれを欲しいとはもはや思っていないので、ゴミになるだけです。おそらく、引き渡された後は、捨てられる運命にあるでしょう。

 

そうであれば、買主側が、「もういらない」と思ったら、その時点で契約は終了できるようにしたほうが無駄がなくなります。

 

もっとも、売主の方は、対価をもらえると思って、材料を買ったり、途中まで物を作ったりしていたのですから、それまでに費やした費用分は最低でも支払われるべきです。

 

そのため、自己都合解除を買主に認める代わりに、「それまでにした仕事の対価を買主は売主に対して支払わなければならない」と定められている契約が多いです。

 

もしも、そのような買主の対価の支払い義務が契約に明記されていない場合には、ぜひ明記するようにしましょう。

 

以下、自己都合解除を表す条文の例です。

 

The Purchaser is entitled to terminate this Agreement anytime for any reason.

 

訳:買主は、この契約を、いつでも、いかなる理由によっても、解除することができる。

 

 

債務不履行解除

3つ目は、債務不履行解除です。

 

契約に定められている義務を、契約当事者が適切に行わない場合には、契約違反となります。その場合、違反をした当事者は、相手方に対して損害賠償を支払う責任が生じます。この損害賠償責任に加えて、契約を解除する権利が相手方に生じます。

 

この債務不履行解除は、買主側でも、売主側にもあるのが通常です。

 

例えば、売主としては、買主が対価を全然支払ってくれないようであれば、契約を解除して、かつ、被った損害を賠償してもらいます。

 

一方、買主は、売主が納期に製品を引き渡さないとか、引き渡された製品が性能を満たしていない等の場合には、契約を解除した上で、損害賠償を請求できるように契約で定められていることが多いです。

 

以下、債務不履行解除の例です。

 

If any of the following event occurs, the Purchaser is entitled to terminate this Agreement by giving thirty (30) days prior written notice to the Seller;

(1)   the Seller fails to deliver the Product by the date specified in the attachment hereto; or

(2)   the Product does not conform to the specifications attached hereto.

 

 

不可抗力が長期間継続した場合の解除

最後の四つ目は、不可抗力が長期間継続した場合の解除です。

 

不可抗力、つまり、当事者間のコントロールを超えた出来事、例えば、大地震とか、戦争とかによって、契約上の義務を履行できなくなり、それが何十日と継続すると、もはや契約を有効のままにしていてもしょうがなくなります。もうその不可抗力が終わるまで、契約上の義務を履行できないわけですから、契約を有効にしていることのメリットがありません。

 

よって、契約では、そのような場合には、契約当事者のどちらかが、契約を解除できると定めていることがあります。

 

以下、不可抗力の場合の契約解除の例文です。

 

If the Forth Majeure continues over for ninety (90) days, either Party is entitled to terminate this Agreement by giving the written notice to the other Party with immediately effect.

 

訳:もしも不可抗力が90日以上続いたら、いずれかの契約当事者は相手方に対して書面による通知により本契約を解除する権利がある。

 

 

まとめ

以上をまとめると、次にようになります。

 

「契約の終了」は、大きく2つの場合がある。

 

一つは、契約期間の満了→expiration

もう一つは、契約の解除→termination

 

契約の解除(terminate)には、大きく4つの場合がある。

 

一つ目は、合意解除(両当事者による合意)

二つ目は、自己都合解除(買主側にのみ与えられており、売主側にはないことが通常)

三つ目は、債務不履行解除(契約上の義務に違反した場合に、相手方当事者に与えられる)

四つ目は、不可抗力が長期間継続した場合の解除(買主側にのみ、または両当事者に与えられる)

 

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