M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑤ 企業買収後、うまくいかない場合起きること

      2017/01/20

企業買収後、うまくいかない場合に何が起きるか?

企業買収手続きが無事に完了しました。

 

しかし、その後、買収時に思い描いていたような成果がなかなか出ません。

 

事業計画はまさに絵に描いた餅になってしまい、経営トップからも早急になんとかするように言われました。

 

「そのような案件は、自社にはいくつもある」という方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

そのような場合、「どうして買収後に事業計画を達成できないのか?」という点の検証をどこまでしっかりとできていますでしょうか?

 

もしかして、「買収前には想定していなかったような事態が生じて・・・」といったことで終わらせてしまっていることは多くないですか?

 

買収した後で思ったような成果が出ていない理由は、もちろん、上記のような想定外の事情による場合もあるかもしれませんが、本当の意味での「想定外の事情」とは、そうは多くはないように思います。

 

あるいは、「買収後のガバナンスの仕方が悪い」という結論になっていることも多いのではないでしょうか。

 

つまり、買収後にその会社に派遣された役員の人の経営手腕が悪い、という結論になっていないでしょうか。

 

もちろん、そういうことも理由の一つかもしれません。

 

しかし、さらに遡って、「そもそも、買うべきではない会社を買ってしまったことが問題だった」ということはないでしょうか?

 

といいますのも、買収後にその企業に役員として派遣されるのは、その会社の規模が大きければ大きいほど、それなりの人が派遣されているはずなのではないでしょうか。つまり、経営手腕があるとされている人が送り込まれているのではないでしょうか。

 

それにもかかわらず、買収後にうまくいかない、というのなら、その原因はそもそも、「買うべきではない会社を買ってしまった」ということなのではないかと考えるのはそうおかしなことではないように思えないでしょうか?

 

そもそも買うべきではない会社を買ってしまったのだとしたら、どうしてそのような企業買収をしてしまったのか?をじっくりと検討すると、何か改善するべき問題が見えてくるかもしれません。

 

 

もしかしたら、買収時に、自社の経営トップが、「とにかく買収するように!」と言ったから、買収する必要性の検討はあまりせずにとにかく買ってしまったのか?

 

買収対象の企業へのDDが十分ではなく、買ってから初めて、その会社に重大な問題があるとわかったからなのか?

 

買収対象会社はある特定の優れた従業員・役員の存在で成り立っていたが、彼らが買収後に会社を去ったからうまくいかなくなったのか?

 

 

企業買収に投資した金額を思うと、失敗の原因はしっかりと次に生かしたいものですよね。これをしないと、失敗の原因がわからないままに、また企業買収に手を付け、また失敗、また失敗・・・と失敗を繰り返してしまうかもしれません。

 

企業買収における失敗は、多額の投資が無駄になるのはもちろんですが、もう一つ、知っておいていただきたいことがあります。

 

それは、買収後にうまくいかない場合の後始末を担当する人の苦労です。

 

企業買収時、バラ色の事業計画を打ち出して社内でも承認を得て買収に踏み切った後、なぜかその事業計画を果たせない状況が続いたとします。

 

ここで、もちろん、「何とか建て直せ」という指示がトップから入ることでしょう。

 

しかし、事業の立て直しというのはそう簡単にできるものではないでしょう。

 

自社の事業だけを立て直すことだって難しいのに、最近まで自社グループになかった企業の立て直しを命じられた人の苦労は計り知れません。

 

そういうのにやりがいを感じる方が立て直しに抜擢されるのであれば、もしかすると、熱意をもって取り組まれるかもしれませんが、そういう後始末的な役割は、通常は、「貧乏くじ」と考えられているのではないでしょうか。

 

貧乏くじを引いたと捉えてしまうと、もうその日から仕事がつまらなくなってしまいます。

 

毎日が苦痛。

 

会社に行きたくない。

 

そんなことにもなるかもしれません。

 

また、当然ですが、企業買収においては、買うのは物ではありません。

 

会社です。

 

そこには従業員もいます。

 

その人たちの生活がかかっていると考えると、事業立て直しのプレッシャーは相当なものかもしれません。

 

何をお伝えしたいのかと言いますと、企業買収は、その後事業を軌道に乗せられないと、多くの人を不幸にする可能性がある、ということです。

 

「とりあえず買えば何とかなる」と、買う直前は思うこともあるかもしれませんが、決してそう簡単にはいかないと思います。

 

企業買収は、多くの人の人生に影響するものだ、ということも、これから企業買収に関わる方には知っていただければと思いました。

「M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて」の目次

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて①

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて② 企業買収における成功とは何か?

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて③ 企業買収についてのありえる誤解

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて④ 企業買収手続きの間に引っ込みがつかなくなる場合

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑤ 企業買収後、うまくいかない場合起きること

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑥ 「買収しない方がよい」と感じたときの対応

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑦ 必要のない買収が行われる場合

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑧ はじめて買収案件のメンバーに選ばれた方へ

 

 

 

 

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