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M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて①

      2017/01/20

 

「M&Aをやってみたいです。」

 

「M&Aのスペシャリストになりたいです。」

 

こう言って企業法務を希望してくる学生の方々に何度かあったことがあります。

 

M&A、これはmerger and acquisitionの略です。つまり、企業の合併と買収を意味します。

 

企業の「合併」は、そうそうあるものでもないので、学生の方が企業法務として主に携わりたいと思っているのは、おそらく、企業を「買収」する方を指しているのだろうと思います。

 

日本の企業が海外の企業を買収したという記事は、新聞によく載ります。

 

しかも、規模が大きい案件になると、新聞の一面を飾るようなこともあります。

 

買収後の事業の拡大に向けた経営者の強い意気込みが掲載されているその記事を読むと、「企業買収って、普通の日常的なビジネスをはるかに超える大きなインパクトを会社や世の中に与えることができるものなんだな・・・」と感じる人もいることでしょう。

 

そして、「自分も、いつかこのような企業買収に携わってみたい!」と思う方がいるというのも、うなずけます。

 

そんな、「花形の仕事」のように思える企業買収ですが、企業に入ってから私が感じたのは、次のようなものです。

 

「買収手続きそれ自体が完了した時には、テレビや新聞などで華々しく報じられるけれど、買収後は、なかなかうまくいかないものだな・・・」

 

上記にも書いたとおり、買収時は、買収を行った会社のトップは、その買収によって、今後如何に自社の事業が発展する見込みがあるか、ということを述べます。

 

社内においても、「何かが大きく変わる」、というような期待を持つ人も多いように思います。

 

しかし、買収から数年、いや、時には、数か月後には、「あれ?なんだか思ったより買収の成果が出ないな」という雰囲気を社内にいて感じたという経験をされた方はいらっしゃるのではないでしょうか。

 

私も、自分が担当した企業買収も含めて、自社による企業買収が、その後自社の事業を大きく発展させた、と実感したことが、あまりなかったように思います。

 

買収時に立てた事業計画を達成するには程遠い状態、ということもよくあるように思います。

 

つまり、買収当時の事業計画は、「バラ色」だったわけですが、それは滅多に実現しないように思います。

 

「企業買収って、買収後はほとんどうまくいかないものなんじゃ・・・。」

 

こう感じているのって、自分だけなのかな?と思っていたある日、書店で偶然、ある本に目がとまりました。

 

それは、松本茂さんの「海外企業買収 失敗の本質」というタイトルの本でした。

 

そしてその本の表紙には、「100億円超の大型M&A116件中、成功たった9件、5割が失敗」とありました。

 

「やっぱり多くの企業で失敗していたんだ!」

 

私はそう思い、思わずその本を手に取ってしまいました。

 

成功が116件中9件だなんて、あまりにも少なすぎではないでしょうか。

 

この本では、著者が企業買収の「成功」、「失敗」、さらに「失敗とは言えないが成功とも言えない場合」の定義をしています。そこでいう「成功」の定義に該当しているのが9件だということです。よって、この定義の仕方によっては、もう少し成功と捉えてよい数は増えるかもしれません。しかし、それでも、多くの企業で企業買収が成功できていないということに変わりはないように思います。

 

 

この本では、100億円以上かけた企業買収について調査しています。

 

100億円と言えば、かなりの大金です。

 

この規模にもなれば、買収する企業では、企業買収のためのプロジェクトチームを編成し、しかも、各部門で優秀であると認められている方が担当されることが多いでしょう。

 

さらに、外部のアドバイザー、つまり、コンサルや弁護士も使って、「本気で」取り組んでいるものがほとんどだと思います。

 

加えて、このレベルの買収案件は、買収する企業の中での社内手続きも厳格になされるでしょう。

 

かなり上層部の役職の方々が集まる会議体、具体的には取締役会やそれに準ずるレベルの会議体で、買収の可否・妥当性が審議されるはずです。

 

そのようなトップレベルの会議体で審議し、「買収することで自社の業績は上がる!」と認められたからこそ、100億円以上もの大金をつぎ込んで買収に踏み切ったはずです。

 

つまり、「買収に至る手続きに落ち度があったはずがない」と思えます。

 

しかし、それでも、買収後に、当初思ったような成果が出なかった案件の方が、圧倒的に多かった、というのはどういうことなのでしょうか?

 

このブログ「M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて」では、私が企業法務として企業買収に直接関わった経験や、自分は買収手続きに直接はかかわっていないものの、自社で行われた企業買収前後の様子を見ていて感じたこと、さらには企業買収について書かれた本を読んで分かったことから、「企業買収を成功させることの難しさについて」考えてみたいと思います。

 

これから企業買収案件に携わる方に何かしら有益なものになれば幸いです。

 

「M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて」の目次

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて①

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて② 企業買収における成功とは何か?

 

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて③ 企業買収についてのありえる誤解

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて④ 企業買収手続きの間に引っ込みがつかなくなる場合

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑤ 企業買収後、うまくいかない場合起きること

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑥ 「買収しない方がよい」と感じたときの対応

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑦ 必要のない買収が行われる場合

M&A、特に企業買収を成功させることの難しさについて⑧ はじめて買収案件のメンバーに選ばれた方へ

 

 - M&Aの難しさについて