EPC契約における法令変更について

      2017/06/03

 

今回は、コントラクターが追加費用をオーナーに負担してもらうべき場合の一つである「法令変更」についてお話ししたいと思います。

 

コントラクターは、EPC契約に定めてあることに従って仕事をしなければなりませんが、それに加えて、法令にも従わなければなりません。

 

ここでいう法令とは、その国の民法に限りません。プラントの配管はこういうものでなければならない、とか、強度は最低限どうでなければならない、という技術的なことを定める法令もあることでしょう。

 

そのほとんどは、仕様書で既にカバーされているかもしれませんが、必ずしもそうとはいいきれません。

 

コントラクターは、法令に違反しないように仕事を行い、また、出来上がったプラントも法令に違反するようなものであってはいけないのです。

 

そのため、プラントを建設するにあたっては、現地の法令に違反しないように法令も調査の上で仕事を進めることになります。

 

ここで、法令が変更すると、場合によっては、設計を変更しなければならなくなるかもしれません。

 

その場合、費用が予定よりも多くかかることもあるでしょう。

 

このような法令の変更によって生じるコントラクターの費用は、オーナーに負担してもらうべきものです。なぜなら、法令が変更することになったのは、コントラクターに原因はないのですから、コントラクターが法令変更によって損をすることは公平とは言えないからです。

 

そのため、多くのEPC契約には、法令変更が生じた場合の扱いが定められています。

 

ここで、この法令変更の定めをチェックする際のポイントは、大きく5つあります。

 

1. 法令の新たな成立、廃止、変更の場合となっているか

 

「法令変更」とずっと書いてきましたが、厳密には、それまで規制されていなかった事項について新たに規制する法令ができた場合や、それまである一定の条件があったのにその条件がなくなった場合も追加費用が生じえる点では同じです。

 

よって、新たな立法および既存の法令の廃止の場合も定めるようにしましょう。

 

2. 法令の解釈の変更も含まれているか

 

法令の文言は何ら変更されていないのに、解釈が変わることも、稀ですがあり得ると思います。よって、この場合も法令変更に含めて扱われるようにしましょう。

 

3. EPC契約締結時ではなく、契約金額の見積もり時を基準にしているか

 

法令がどの時点以降に変更された場合に追加費用をオーナーに負担してもらうべきか、という問題です。

 

この点、契約金額が合意されるのはEPC契約締結時だから、その時点では?と思われるかもしれません。

 

しかし、通常、入札案件のルールでは、契約金額は、入札時に入れた金額から変更できない扱いとなっていることが多いです。

 

そこで、実質的に考えて、コントラクターが見積もりをした時点以降に法令が変更されれば、追加費用をオーナーに負担してもらいたいです。

 

とはいえ、コントラクターが見積もりをした時点とはいつかを示すのは難しいので、形式的に、入札日から○日前の日、を基準日として設けて、その基準日以降に法令変更があった場合には、追加費用をオーナーに負担してもらう、というのが現実的な定め方といえるでしょう。

 

4. 効果は、納期延長と追加費用を得られるものになっているか

 

この点は言わずもがなですが、法令変更の効果は、追加費用のみならず、法令変更によってコントラクターが被った工程の遅延分の納期延長であることが明記されているか確認しましょう。

 

5. 手続きは現実的に可能なものか

 

法令が変更されたら自動的に追加費用や納期延長の効果を得られるわけではありません。

 

通常、コントラクターからオーナーに対して書面による通知を発行することになります。

 

それがいつから何日以内で、何を通知に記載しなければならないのかを理解し、それが現実として対応可能なものか確認しましょう。例えば、極端に通知を発行する余裕が短い場合には、対応可能な日数に修正を申し入れるべきです。

 

さらに、実務でこの対応をするプロジェクトマネージャーやエンジニアの方々に手続きの内容を熟知してもらうようにしましょう。

 

EPC契約の流れ

Scope of Work

サイトに関する情報

オーナーの義務

契約金額の定め方と追加費用の扱い

追加費用の負担について

ボンドについて

入札保証ボンド

前払金返還保証ボンド

履行保証ボンド

瑕疵担保保証ボンド

ボンドのon demand性を緩和する方法

コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は?

仕事の遂行

設計(design)の条文について①

設計(design)の条文について②

仕様変更① 仕様変更とは?

仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項

仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い

プラントの試験①

プラントの試験②

プラントの検収条件と効果

危険の移転時期とその例外

債務不履行

納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合

納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ

納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限

納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy

納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD

性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験

性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD

責任制限条項① Limitation of Liability/LOL

責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合

瑕疵担保責任① 総論

瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権

瑕疵担保責任③ 保証期間の延長

瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項

作業中断権① 中断権の存在意義

作業中断権② 中断権行使の効果

不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か?

不可抗力の扱い② Force Majeureの効果

不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き

不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合

法令変更について

契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか?

契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除

契約解除③ オーナーの自己都合解除

契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除

契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合

私がEPC契約で真っ先に確認する点①

私がEPC契約で真っ先に確認する点②

私がEPC契約で真っ先に確認する点③

 - EPC契約のポイント