EPC契約における契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除

      2017/06/03

 

今回は、オーナーの債務不履行に基づくコントラクターによる契約解除についてご説明します。

 

EPC契約において義務を負っているのは、主にはコントラクターです。

 

コントラクターはプラントを完成させる義務を負っています。

 

プラントを完成させるための様々な義務を負っているのです。

 

一方で、オーナーもまた、いくつかの義務を負っています。

 

オーナーの義務でもっとも重要なのは、コントラクターへの対価の支払い義務でしょう。

 

また、オーナーには、コントラクターのプラント建設地であるサイトへのアクセス権を与える義務や、コントラクターが現地で作業を行うために、そのサイトがある国で必要となる許認可を取得する義務もあるかもしれません。

 

これらの義務をオーナーが決められた期間内に行わない場合、オーナーは契約違反となります。

 

コントラクターとしては、できれば契約は解除したくありません。

 

しかし、オーナーが上記の義務を果たさない場合には、最終的には、契約を解除するほかなくなるでしょう。

 

このような、オーナーによる債務不履行によってコントラクターが契約を解除する、という場合には、非があるのは、明らかにオーナーです。

 

オーナーがしっかりと自分の義務を果たそうとしてくれていれば、コントラクターは契約を解除しないのです。

 

よって、このような場合には、オーナーには、解除によってコントラクターが被った損害すべてを負担させるのが公平でしょう。

 

たとえば、解除までにした仕事はすべてコントラクターからオーナーに引き渡され、その対価をオーナーはコントラクターに対して支払うべきです。

 

解除されなければコントラクターが得られたであろう利益も、コントラクターに支払われるべきでしょう。

 

ちなみに、ENAAやFIDICといったEPC契約のモデルフォームでは、そのような扱いになっています。

 

この点、ENAAやFIDICといったモデルフォームではなく、オーナーがドラフトしてコントラクターに提示するEPC契約の案では、この解除の効果がややオーナーに甘い内容になっているものがあります。

 

例えば、解除されなければコントラクターが得られたはずの利益までは、オーナーは支払う必要はない、としているものもあります。

 

しかし、これは不公平でしょう。

 

オーナーによる適切な履行を担保する意味でも、このオーナーの債務不履行に基づくコントラクターによる解除の場合の効果は、FIDICやENAA等のモデルフォームに定められているような内容にできるだけ近づけるようにオーナーと協議するべきだと思います。

 

EPC契約の流れ

Scope of Work

サイトに関する情報

オーナーの義務

契約金額の定め方と追加費用の扱い

追加費用の負担について

ボンドについて

入札保証ボンド

前払金返還保証ボンド

履行保証ボンド

瑕疵担保保証ボンド

ボンドのon demand性を緩和する方法

コントラクターによる仕事の開始時期(納期の起算点)は?

仕事の遂行

設計(design)の条文について①

設計(design)の条文について②

仕様変更① 仕様変更とは?

仕様変更② クレーム手続きと仕様書に書かれていない事項

仕様変更③ 納期延長と追加費用の金額が合意に至らない場合の扱い

プラントの試験①

プラントの試験②

プラントの検収条件と効果

危険の移転時期とその例外

債務不履行

納期延長の場合のコントラクターの責任① 納期延長になる場合

納期延長の場合のコントラクターの責任② LD/リキダメ

納期延長の場合のコントラクターの責任③ 納期LDの上限

納期延長の場合のコントラクターの責任④ sole and exclusive remedy

納期延長の場合のコントラクターの責任⑤ 中間マイルストーンLD

性能未達の場合のコントラクターの責任① 性能保証と性能確認試験

性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD

責任制限条項① Limitation of Liability/LOL

責任制限条項② 適用される場合と適用されない場合

瑕疵担保責任① 総論

瑕疵担保責任② オーナーの通知義務とコントラクターのアクセス権

瑕疵担保責任③ 保証期間の延長

瑕疵担保責任④ Disclaim(免責)条項

作業中断権① 中断権の存在意義

作業中断権② 中断権行使の効果

不可抗力の扱い① Force Majeureとは何か?

不可抗力の扱い② Force Majeureの効果

不可抗力の扱い③ Force Majeureの効果を得るための手続き

不可抗力の扱い④ Force Majeureが長期間継続した場合

法令変更について

契約解除① なぜ解除の理由によって解除の効果が異なるのか?

契約解除② オーナーの義務違反に基づくコントラクターによる契約解除

契約解除③ オーナーの自己都合解除

契約解除④ コントラクターの債務不履行に基づくオーナーによる契約解除

契約解除⑤ 不可抗力事由が長期間継続した場合

私がEPC契約で真っ先に確認する点①

私がEPC契約で真っ先に確認する点②

私がEPC契約で真っ先に確認する点③

 - EPC契約のポイント