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性能未達の場合のコントラクターの責任② 最低性能保証・性能LD

      2018/09/14

最低性能保証とは?

 

性能確認試験を行った結果、保証性能を満たすことができていないことが分かった場合、コントラクターはいかなる責任を負うのでしょうか。

 

修理や損害賠償だろうという予想はつきますよね。

 

今回は、この点を詳しく解説します。

 

まず、EPC契約によっては、保証性能に二つの段階がある場合があります。

 

それは、最低性能と通常の性能です。

 

最低性能とは、オーナーが、最低限、満たしてほしいと思っている性能です。

 

これを満たせないようなプラントはいらない」というラインです。

 

よって、性能確認試験を行った結果、この最低性能を満たしていない場合には、コントラクターは、修理をして、最低でも、この最低性能を満たすようにしなければなりません。

 

もしもこの最低性能を満たせないと、場合によっては、オーナーはこのEPC契約を解除する権利が与えられるのが一般的です。

 

一応動くけど、性能はからっきし、というプラントを欲しくないと思うのは当然ですよね。

 

 

最低性能を満たした場合

 

では、この最低性能を満たしたが、通常の保証性能を満たさない場合にはどうなるのでしょうか。

 

その場合には、コントラクターは、修理して保証性能を満たすようにするか、または、性能保証の未達についての予定された損害賠償金額(以下、「性能LD」)を支払うかのどちらかで対応することになります。

 

オーナーとしては、プラントが最低限の性能をクリアしているので、そのまま引き取って使う気はあるので、あとは、修理か性能LDの支払いで終わらせてもよいというわけです。

 

最低性能保証と性能保証、そして性能LDの関係を図にすると、以下のようなイメージとなります。

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選択権はどっちにある?

 

ここで重要なのは、修理か性能LDのどちらで行くかは、誰が決めるのか、という点です。

 

この点、オーナーは自分が選択権を持ちたいと思うでしょう。

 

というのは、性能LDを支払ってもらって終わりにされるよりも、修理してもらった方が長い目で見たときには採算がよい、と考えるかもしれませんし、逆に、修理を長期間されるよりは、すぐにそのプラントを使い始めることができる方がよい(性能LDの支払いで終わり)、と考えるかもしれないので、「自分で決めたい!」と思うはずです。

 

そしてそれは、コントラクターも同じです。

 

性能LDを支払うよりも、修理したほうが安く済む、と考えるかもしれませんし、その逆と考えるかもしれません。

 

よって、この選択権をどちらが持つかは当事者間の交渉となるでしょう。

 

この点、最低性能と通常の保証性能の間にもう一段階設けて、最低性能とそこまでの間の性能の場合には、コントラクターに選択権があり、それ以上の性能が出た場合には、オーナーに選択権がある(またはその逆)、という方法もあるかもしれません。図にすると以下のようなイメージです。

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性能LDもsole and exclusive remedy!

 

いずれの場合でも、性能LDを支払うことになったら、性能未達に関する損害賠償は、その性能LDの支払いだけで終わりである旨(sole and exclusive remedy)はEPC契約書に忘れずに明記するようにしてください。

 

準拠法によっては、LDの性格や扱いが日本のそれとは異なる恐れがあるので、LDを支払い、かつ実際生じた損害やLDではカバーできなかった損害分を支払わせられるようなことがないように、つまり、sole and exclusive remedyとなるようにしっかり手当することが重要です。

 

性能LDの上限の相場

 

なお、この性能LDは、私がこれまで見てきたものでは、契約金額の20%~30%程度のものが多かったです。これは業界によっても異なるでしょうから、オーナーと交渉する前に、過去の例や算定根拠を調べておくと交渉がスムーズにいくと思います。

 

ボーナス条項について

 

保証していた性能を上回る性能が出るプラントを完成させた場合、オーナーは当初の計画よりも多くの利益をそのプラントの運転によって得られるようになるかもしれません。

 

そのような場合には、オーナーはコントラクターにいくらか追加で支払うべき!というのが、ボーナス条項です。

 

これがあれば、コントラクターもできるだけよい性能が出るように頑張るインセンティブになるかもしれません。

 

しかし、私自身はボーナス条項が入っている案件を見たことがありません。

 

その理由はよくわかりませんが、保証していた性能を上回ったからと言って、必ずしもオーナーがより多くの利益を得られることになるわけではなく、その具体的な金額を算出することが困難だからなのかもしれません。

 

ENAA2010の条文(2016年11月16日追記)

 

ENAA2010にも、GC 28に性能LDについての条文が結構厚く定められています。最低性能保証を満たしていない場合と満たした場合の扱い、そして性能LDについて明記されていますので、参考にしてみてはいかがでしょうか。

 

 

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