同時遅延(Concurrent Delay)の扱い その②追加費用の扱い~これからプロジェクトマネージャーになる人のためのDelay Analysisの基礎知識⑧~

      2019/11/12

前の記事では、同時遅延が生じた場合のコントラクターによる納期延長クレームの可否について解説しました。

 

簡単にいえば、「コントラクターに原因がある遅れ」と「コントラクターに原因がない遅れ」の2つが同時に発生したからといって、コントラクターによる納期延長クレームが否定されるわけではない、ということでした。

 

では、納期が延長されることで生じる追加費用(prolongation cost)の負担についてはどのような扱いになるのでしょうか。

 

納期が延長されれば、それだけコントラクターは建設サイトに長い期間滞在することになります。当然、費用が追加で生じます。それは、同時遅延の場合にもオーナーに支払ってもらえるのでしょうか?

 

これも大いに問題になるもので、様々な説がありますが、ここでは英国プロトコル(Society of Construction Law Delay And Disruption Protocol 2nd edition Februry 2017)の指針をご紹介します。

 

それは、次の通りです。

コントラクターの原因でない遅れによって生じた追加費用分だけをオーナーに請求できる。」

 

つまり、「追加費用が、コントラクターの原因でない遅れから生じたのか、それともコントラクターの原因である遅れから生じたのか分別できない場合には、コントラクターはオーナーにその追加費用を請求することはできない」ということです。

 

これは、納期延長に伴う追加費用の負担の原則から導くことができる考え方といえます。

 

つまり、「コントラクターは、自分の原因で生じた遅れによって発生する追加費用をオーナーに請求することはできない」という原則です。自分が悪い場合には、自分が追加費用を負担するべき、ということです。

 

となると、コントラクターとしては、追加費用が自分のせいによる遅れから生じたものか、それ以外から生じたものかを証明しなければならない、ということになります。これは、必ずしも容易ではありません。様々な記録を保存しておかなければ到底できないでしょう。

 

今後解説予定のDelay Analysisを行うためにも、工事に関する工程や記録の保存が重要になりますが、追加費用の請求の際にも、そういった記録の保存が重要となるということの一例といえます。

納期延長に伴って生じる追加費用の請求について ~これからプロジェクトマネージャーになる人のためのDelay Analysisの基礎知識⑨~

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