オーナーから提供されるサイト情報の正確性に関する条文例と構造の解説その②

      2019/11/06

前の記事では、オーナーから提供されたサイト情報と実際の状況に齟齬があった場合に、コントラクターが責任を負う旨を定めた条文例を見ました。ここでは、オーナーが責任を負う旨を定める条文例を見ていきます。

 

例文②

Article X

  1. The Owner has conducted investigations to determine the suitability of the Site for the Plant.
  2. This information, as identified in Exhibit Y, has been furnished to and received by the Contractor and the Contractor is entitled to rely on such information.
  3. The Owner shall be responsible for the accuracy and completeness of the Site information furnished to the Contractor.

 

意訳

  • オーナーは、プラント向けのサイトの適合性を決定するために調査を実施した(つまり、プラントを建設するのにふさわしい土地であるかどうかを調査した、という意味)。」
  • 添付資料Yに定められたこの情報は、コントラクターに提供され、そしてコントラクターによって受領された。コントラクターはかかる情報に依存することができる(つまり、コントラクターはオーナーから提供されたサイト情報に基づいて仕様の決定や契約金額の算定を行うことができるという意味)。」
  • オーナーは、コントラクターに提供されたサイト情報の正確性および完全性について責任を負わなければならない。」

 

構造

英単語

has conducted investigationshas been furnishedは、現在完了形なので、前の記事で解説したとおり、ここでも「調査」や「提供」が契約締結時までに行われているという意味を表しています。

 

be responsible forは、「~について責任を負う」という意味。これと同じ意味の表現としては、be liable forがあります。

 

the accuracy and completeness of the Site informationは、「サイト情報の正確性および完全性」という意味。サイト情報に誤り・不備がない、というためにこの表現がよく使われます。

 

上記のような条文に加えて、以下のような条文が合わせて定められます。これにより、オーナーが如何なる責任を負うことになるのかが明確になります。

 

 

Article Z

Based on the information furnished to the Contractor in accordance with the Section X, the Contractor has conducted a reasonable investigation of the Site, and has notified the Owner of any Site conditions that were discernible from such investigation that will affect the cost or schedule for the construction of the Plant.

Following the Effective Date, any subsurface or other Site conditions discovered at the Site that differ from the information furnished by the Owner (or not discernible from the Contractor’s investigation) shall constitute a Change and shall entitle the Contractor to seek a Change Order in accordance with [仕様変更の条文].

 

意訳

「第X条に従ってコントラクターに提供される情報に基づき、コントラクターはサイトの合理的な調査を実施し、かかる調査によって認識できたプラントの建設のための費用またはスケジュールに影響を及ぼすサイト状況をオーナーに知らせた(つまり、「コントラクターも自分でサイトの状況を調査し、その結果、納期や契約金額に影響が出そうな点については、契約締結までにオーナーに知らせた」という意味)。

 

契約発効後、オーナーによって提供された情報と異なる(または、コントラクターによる調査によって認識されていない)サイトで発見された地下、または、その他のサイト状況は、仕様変更に該当し、コントラクターは仕様変更の条文に従って仕様変更命令を求めることができる(つまり、「契約発効後に、納期や契約金額に影響が出るような状況がサイトで新たに発見された場合には、コントラクターは納期延長や追加費用をオーナーに対して請求できる」という意味)。」

 

構造

 

英単語

has conducted a reasonable investigationhas notified the Ownerも現在完了形ですので、「契約締結時までに、合理的な調査を実施した」、「契約締結時までにオーナーに知らせた」という意味になります。

 

discernibleは「認められる」「識別できる」という意味。

 

the Effective Dateは「契約発効日」。一方、the Contract Dateは「契約締結日」。両者は通常は同時ですが、別々の時期とすることもできます。詳しくはこちら(契約締結日と発行日の違い)をご参照ください。

 

Changeは「仕様変更」の意味(仕様変更が何かはこちらをご参照ください)。一方、小文字で始まるchangeは、文脈にもよりますが、ただの変更という意味で、仕様変更という意味ではないことが多いです。

 

constituteは「~を構成する」の意味。Constitute a Change で、「仕様変更を構成する」=「仕様変更となる」「仕様変更に該当する」といった意味になります。

 

上記のArticle Zで特に重要なのは、オーナーから提供されたサイト情報に誤りがなくても、コントラクターが契約締結前に実施した調査で認識できなかった状況が契約発効後に発見された場合には、コントラクターはそれによる影響についての責任をオーナーに負わせることができるようにしている点です(赤字下線部分から読み取ることができます)。

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