合弁契約のポイント③~授権資本と発行済資本その②~

      2019/11/05

前の記事で、授権株式の範囲内で株式を発行するには新会社の取締役会決議、一方、授権株式を超えて株式を発行するには新会社の株主の同意が必要となる、と説明しました。

 

そして、取締役会決議の方が、手続きが簡単である、とも述べました。

 

しかし、これは、例えば株主が2社程度の合弁契約の場合には、さほど意味がないことかもしれません。

 

といいいますのも、新会社の取締役会のメンバーである取締役は、合弁契約の当事者である新会社の株主内のそれなりの偉い人達が任命されることが多いのですが、この人たちも、自分が属する会社(合弁契約の当事者である会社)の意思に実質的に拘束されるからです。

 

つまり、新会社の各取締役が本当の意味で自分の判断だけで新会社に株式を新たに発行させるなどということは通常は許されておらず、その取締役も、合弁契約の当事者たる会社の上層部にお伺いをたて、そこで「新会社が資金調達のために株式を発行することに同意してよい」といわれたときだけ、新会社の取締役会で株式の発行について同意することになる、ということがよくあると思われます。

これはつまり、授権株式の範囲内の株式の発行であっても、実質は、新会社の取締役たちの純然たる意志だけでは決められず、合弁契約の当事者=新会社の株主(親会社)の同意が必要となる、ということです。

 

もちろん、新会社の株主である会社の中で、「新会社の授権株式の範囲内では、本当に取締役の意思だけで株式を発行してよい」とされている場合もあるかもしれませんが、実務としては、そのような広い権限を新会社の取締役に与えていることは、そう多くはないだろうと思われます。

 

したがって、制度・仕組みとしての授権株式・発行済株式はどのようなものかを理解した上で、実質的には上記の様なものである場合が多い、ということは知っておいてよいでしょう。

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