EPC契約におけるスコープオブワークの条文例と構造の解説

      2019/11/05

 

下の条文①は、EPC契約の「スコープオブワーク」として定められる条文の例です。簡単にいえば、「コントラクターは、様々な仕事をしなければならない」という意味です。一文が長いので、その下に英文の構造図を示しました。ご確認ください。

例文①

The Contractor shall perform, with the exception of the Owner’s Responsibilities, all works and provide all services, labour, personnel, consumables and Equipment necessary to carry out and complete the Works in accordance with this Contract, including (a) design, engineering, procurement, fabrication, construction, installation, and pre-commissioning of the Works and training of the Trainers and (b) to the extent permitted under applicable Law, commissioning, start-up and performance testing of the Works.

構造図

 

意訳

「コントラクターは、オーナーの責任を除き、本契約に従って仕事を履行・完成するために必要な全ての作業を行い、かつ、全てのサービス(役務)、労働力、従業員、消耗品、そして機器を提供しなければならない。それには、(a)設計、エンジニアリング、調達、組立、建設、据付、プレコミッショニング、および、訓練員の訓練、ならびに、(b)適用される法律に基づいて許容される範囲で、コミッショニング、スタートアップ、および試験を行うことが含まれる。」

 

英単語のポイント

With the exception of the Owner’s Responsibilitiesは、「オーナーの責任を除いて」という意味です。オーナーの責任とは、「オーナーが行う義務として契約書に定められている事項」であるのが通常です。例えば、建設サイトをコントラクターが使える状態にすることや、建設作業のために必要となる電気や水などを準備すること等が考えられます。ここではOwner’s Responsibilitiesと各単語の始めの文字が大文字で記載されているので、これは契約書中で定義された文言であるということがわかります。また、,with the exception of the Owner’s Responsibilities,というように2つのカンマに挟まれているのは、この部分が挿入句(副詞句)であることを示しています(ただし、挿入句だからといって、常に2つのカンマで挟まれているとは限りません)。

training of the Trainersは、「訓練員の訓練」という意味です。ここで訓練員とは、「プラント完成後にプラントを運転することになる者に運転方法を指導する者」を指しています。このTrainersも大文字で始まっているので、定義された文言です。

pre-commissioningは、通常、プラントに燃料や原料を入れて稼働させる前の段階の、プラントを構成する各機器が適切に組み合わされているか、そして配置されているか、という点を確認する段階を指します。もっとも、通常は、契約書(特に技術仕様書)に、pre-commissioningで何を具体的に行うのかが明記されます。

commissioningは、上記のpre-commissioning終了後に行われる試験で、この段階で燃料や原料を入れてプラントを動かすのが通常です。ただし、こちらもpre-commissioningと同様に、具体的に何を行うかは契約書(特に技術仕様書)に明記されるのが通常です。

 

下の例文②は、通常、上記の例文①のような条文の下に定められるもので、簡単にいうと、「例え契約書に「この仕事はコントラクターが行うべきものだ」と明記されていなくても、プラントを完成させるために通常必要となる仕事はコントラクターが行わなければならない」ということを示す条文です。この類の条文の注意点はこちらで詳しく記載していますので、ご確認ください。なお、この条文は英文の構造を掴むのが相当難しいと思いますので、下の構造図でしっかりと確認しましょう。

例文②

The Contractor agrees that except where identified in this Contract as an obligation of the Owner, the Contractor’s obligations under this Contract include the procurement of all Equipment and the performance of all work and services not specifically mentioned in this Contract but which are necessary in order to satisfy the requirements of this Contract or can be reasonably inferred from the Contract Documents as being required to be performed by the Contractor, in each case as if such Equipment, work and services were expressly mentioned in this Contract.

構造図

意訳

「コントラクターは、オーナーの義務として本契約に定められている場合を除いて、本契約に基づくコントラクターの義務が本契約に定められていないが、本契約の要求を満たすために必要となる、または、コントラクターによって履行されなければならないものとして契約文書から合理的に推察されえる機器の提供、ならびに、全ての作業およびサービスの履行を含むことに合意する(これらの場合には、あたかも、かかる機器、作業およびサービスが本契約に明記されているかのように扱う)。」

※日本語と英語は必ずしも1対1に対応するものではないので、in each case以下も含めて訳すことが困難ですので、やむを得ず、上記の通り、()を用いました。この部分は構造図で特によく確認ください。

 

英単語

except where identified in this Contract as an obligation of the Ownerは、「オーナーの義務として本契約に定められている場合を除いて」という意味の副詞句です。ちなみに、ここで使われているidentified inは、例えば、provided in、specified in、stipulated in、さらにはmentioned inのように、「~に定められている」という意味の表現であればどれでも代わりに使うことができます。

 

but以下のwhichは関係代名詞の主格で、このwhichの先行詞は、the procurement of all equipmentとthe performance of all work and servicesである点に注意しましょう。

 

as ifは、「あたかも~であるかのように・・・」という意味です。ここでは、「あたかも本契約にかかる機器、作業およびサービスが明記されているかのように」となります。

 

 

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