Liquidated DamagesとPenaltyの違い

   

 

Liquidated Damages(以下、「LD」)とPenaltyは、時々同じものとして認識されていることがあります。

 

しかし、契約上、全く異なるものです。

 

英米法の下では、Penaltyは無効となります。一方、LDは有効です。

 

両者の違いについて解説します。

 

まず、LDは、予め契約当事者間で、契約違反が生じた場合に違反した当事者がどれだけ賠償しなければならないのかについて合意したものです。これは、あくまで、損害賠償です。つまり、契約違反によって相手方に金銭的な凹みが生じた部分を補填するものです。

 

一方、Penaltyは、罰金であり、これは金銭的な凹みを補填するためのものではありません。Penaltyの目的は、「契約違反に対する罰」であり、同時に、「二度と同じ過ちをするなよ」と戒めることを目的としています。

 

とはいえ、契約書上、それがLDなのかPenaltyなのかは、なかなか判別しにくいです。

 

というのも、LDかPenaltyかの判断は、文言を形式的にみて行われるのではなく、実質的に行われるからです。例えば、契約書に、the Contractor shall pay USD 1 million to the Owner as a penalty.と定められていたとしても、必ずしもPenaltyと判断されるわけではありません。具体的には、「契約締結時に両当事者間でどのような協議が行われ、いかなる根拠に基づいてその数字を定めることになったのか?」が裁判官や仲裁人によって検討されることになります。

 

ここで重要となるのは、検討されるのは「契約締結時点にどうであったか」という点です。損害発生時を判断の基準とするのではありません。

 

例えば、契約締結後、コントラクターが納期に遅れたにも関わらず、オーナーはほとんど損害を被らなかったとします。しかし、だからといって、「これはPenaltyだ」と判断されるわけではありません。この場合でも、契約締結時点で、もしも納期に遅れた場合にはどのような損害が生じ得るかを検討した結果、合理的と言える算定方法を用いて賠償金額を予定したのであれば、結果的にほとんどオーナーに損害が生じていなくても、それはLDとして有効となります。コントラクターはその金額をオーナーに支払わなければなりません。

 

なお、契約書に合意した数字について、後から「Penaltyだから無効だ」とコントラクターが主張する場合の立証責任はコントラクター(請負者)にあります。つまり、契約締結時にオーナーと協議した際の記録を示し、「金銭的な凹みを補填する」という目的から逸脱するような決め方をした、という点を証明しなければなりません。

 

ここから言えることは、「契約締結時に当事者間で協議したLDの算定根拠についての記録は、残しておくべき」ということです。

 

この点、一度契約書に合意した数字がPenaltyだと裁判所が認めることは稀であるようです。裁判所は、余程のことがないと、Penaltyだと認めてくれないと考えておいた方がよいでしょう。それだけ、コントラクターは契約交渉時点で正当だと納得できるLD金額で合意しておく必要があると言えます。

 

※ちなみに、最初に「英米法ではLDは有効だがPenaltyは無効」と説明しましたが、日本ではPenaltyも有効です。

 

 

 

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