EPC契約をチェックする際に意識したい視点 ~EPC契約における相互に関係性の強い条文群①~

   

EPC契約は、少なくとも5060ページ、多いものだと200ページ近いボリュームになる場合があります。

 

企業間でよく締結される秘密保持契約は、だいたい35ページ程度、売買契約は10ページ程度でしょう。

 

それと比較して、EPC契約を、全体として整合性が取れるようにチェックして修正を行うというのは、簡単なことではありません。

 

EPC契約書には、目次があるのが通常です。分量が多いので、目次を見て、必要な事項にアクセスしやすくするためです。このような目次は、分量の少ない秘密保持契約や売買契約にはほとんどありません。あえて目次をつけなくても、アクセスするのに困らないからです。

 

では、EPC契約を全体的に整合性が取れるようにチェックして修正できるようになるためには、何かコツがあるのでしょうか?

 

あります。

 

それは、次の2点です。

 

1. EPC契約は、EPC案件を進める時系列に沿って、条文が並べられていることを意識すること。

 

2. EPC契約中の相互に関係性が強い条文は何か?を理解すること。

 

EPC契約は、EPC案件を進める時系列に沿って、条文が並べられていることを意識すること。

 

EPC契約では、仕事のスコープや仕事の開始時期などの記載は比較的前に定められており、その後、設計、調達、建設に関係する事項が定められ、試験、検収、責任、保証、といった事項が続きます。

 

その間に、ボンド、対価、支払い条件と言った事項が定められています。

 

準拠法や紛争解決方法といった一般条項は、最後にまとめて定められる場合が多いですが、最初の方に定められていることもあります。

 

EPC契約は、ただただやみくもに、適当に条文が並べられているわけではなく、概ね、実際の工程の時系列に沿って定められているのです。

 

なので、ある特定の事項について契約書を確認したいと思ったら、この時系列を頭に思い浮かべながら目次を探すと、確認したい事項が見つかりやすくなると思います。

 

2. EPC契約中の相互に関係性が強い条文は何か?を理解すること。

 

EPC契約は、概ね、実際の工程の時系列順に条文が並んでいる、と言いました。

 

これは、確かに合理的な並べ方です。

 

しかし、必ずしも、時系列に契約書を読んでいったからと言って、全体的に整合性が取れるようにチェックできるわけではありません。

 

全体的に整合性を取るためには、時系列を意識しつつも、相互に関連性の強い条文たちをまとめて読んでチェックする、という読み方が必要になります。

 

私がお勧めする読み方は、まず、相互に関連性の強い条文群の中でも重要度の高いものを読んでチェックし、その後、時系列にそって最初から読んでいく、というのが、全体的な整合性を取るためには効果的だと思います。

 

EPC契約において、相互に関係性の強い条文群は、主に以下のようなものがあります。

 

1. コントラクターとオーナーの仕事関係

コントラクターのスコープ

オーナーのスコープ

オーナーの義務違反の効果

 

2. 対価の支払関係

仕事の開始時期(契約発効の条件)

対価

税金の扱い

支払い条件

オーナーが支払いを不当に拒んだ場合の効果

オーナーの資金確保状況の確認

 

3. コントラクターの責任関係

納期遅延

性能未達

保証

第三者の生命・身体・財産への侵害

第三者の知的財産権侵害

危険負担

責任上限

逸失利益の免責

 

4. コントラクターによるオーナーへのクレーム関係

仕様変更

法令変更不可抗力

オーナーによる中断命令

オーナーの義務違反

予見不可能な事由

 

5. 納期関係

納期の起算点

納期の終点

試験

危険の移転

所有権の移転

保証期間の開始

履行保証ボンドの返還

瑕疵担保ボンドの差入

 

6. 契約終了関係

オーナーによる自己都合解除

コントラクターの債務不履行に起因するオーナーによる契約解除

オーナーの債務不履行に起因するコントラクターによる契約解除

不可抗力が長期間継続した場合の契約解除

 

7. 紛争解決関係

準拠法

紛争解決方法(簡易な解決方法、仲裁等)

 

上記に列挙した各事項の詳しい解説は、このブログ内の「EPC契約のポイント」を読んでいただければと思いますが、次回以降では、上記の各条文群が、どうして相互に関係性が強いといえるのか?について解説したいと思います。

 

 - EPC契約における相互に関係性の強い条文群