実務で必要なスキルを24時間どこにいても学べる!

本郷塾で学ぶ英文契約

海外ビジネスで注意するべき移転価格税制と独立企業間価格について

2024/02/21
 
オンラインセミナーの年度末大幅割引のご案内(お申込み期限:3/31)

本郷塾のオンラインセミナーの中から、13講座について、大幅割引価格でご提供いたします。

お申込み期限は3/31(日)です。

受講方法やカリキュラムの詳細は以下のページでご確認いただけます。

ぜひ、この機会をご利用ください。

来年4月から企業に入社予定の方々も大歓迎です!

大幅割引価格の受講方法とカリキュラム

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

移転価格税制とは?

 

移転価格税制は、海外に子会社をもつ企業にほぼ必ず関係してくるものです。

 

漢字からは、「製品の価格が移転する」というような意味なのかな?

 

とも思えますが、まだ具体的にどのようなものなのか全くイメージがつかないですよね。

 

そこで、具体的な事例を考えてみたいと思います。

 

 

外国の子会社に、通常よりも安く製品を販売した場合

 

日本の企業Aが、その子会社Bをある外国に持っていたとします。

 

そして、企業Aが、子会社Bに、原価50万円の製品を100万円で販売したとします。

 

しかし、実は、企業Aは、第三者に同じく原価50万円の製品を販売するときは、200万円で売っていたとします。

 

つまり、企業Aは、自分の子会社に売るとき、100万円だけ安く売ったことになります。

 

なぜ企業Aが子会社Bに安く売ったのかと言いますと、子会社Bの業績が最近悪化していたので、特別に安く売ってあげたのです。

 

これって、何か問題があると思いますか?

 

「え、自分の子会社にいくらで売ろうが別にいいんじゃない?結局損をするのは企業Aだけなんだし。それに、確かに親会社が業績が良くない子会社のことを考えて安く売ってあげるのは、親会社としては必要な救済策だと思うんだけど・・・」

 

このように考えた方はいらっしゃるでしょうか?

 

実は、この考えは誤りです。

 

企業Aは、本来であれば、原価50万円の製品を子会社Bに200万円で売ることで150万円の利益を得ていたわけです。

 

そしてその利益分は、最終的には法人税として、日本で納めることになるわけです。

 

しかし、子会社Bに100万円で安売りしたことで、利益は50万円だけとなります。

 

第三者に売った場合よりも、100万円利益が少なくなっています

 

つまり、企業Aが日本で納める法人税の対象となる利益が、100万円分だけ少なくなっている、ということです。

 

これは、日本の税務当局からしてみたら、許せないですよね?

 

彼らは、こう考えるのです。

 

本来なら、企業Aは、子会社Bにも200万円で製品を販売し、150万円の利益を上げていたはずだ!

 

移転価格税制とは、上記の様な親子間の取引において、第三との取引に比べて低い価格で行うことで、課税所得を減らし、その分国内での課税額を減らす行為を防ぐための制度です。

 

具体的には、上記の例では、企業Aが通常第三者に販売している場合の金額(200万円)で子会社Bに販売したと更生して、企業Aに追徴課税します。

 

「移転価格」の「移転」は、利益を一方(企業A)から他方(子会社B)に移すことを指しているのです。

 

また、上記の「第三者に販売するときの価格」を「独立企業間価格」といいます。

 

つまり、親子関係になり、全くの独立した契約当事者とのの取引において用いられる価格、という意味で、「独立企業間価格」という言葉が使われています。

 

 

外国の子会社に、通常よりも高く製品を販売した場合

 

実は、これと似たようなことは、日本の企業Aが第三者に通常販売する時よりも高い価格で外国の子会社Bに売る場合にも生じます。

 

具体例で考えてみます。

 

日本の企業Aが、外国にある子会社Bに、原価50万円の製品を、200万円の対価で販売しました。

 

しかし、実はその製品は、第三者には、100万円で販売しているものでした。

 

企業Aは、自社の業績が最近悪化しているので、子会社に高く買ってもらおうとしたのです。

 

子会社は、親会社が求めることなので、しぶしぶその要求に応じました。

 

この場合、何が起きるでしょうか?

 

今回のケースでは、通常なら、原価50万円の製品を100万円で売ることで50万円の利益だったものが、子会社Bには200万円で売ったため、150万円の利益を企業Aは得ることができました。

 

つまり、日本で法人税の対象となる利益が、差額の100万円だけ多くなっています

 

おそらく、このことについて、日本の税務当局に文句はないでしょう。

 

彼らは、自分の取り分が増えることについては、不満はないはずだからです。

 

しかし、子会社Bが存在する国の税務当局としてはどうでしょうか?

 

子会社Bは、本来は100万円で手に入れることができた製品に200万円支払わされたのです。

 

つまり、子会社Bが存在している国から、100万円だけ余計に出ていったことになります。

 

その結果、子会社Bが法人税としてその外国の税務当局に支払う金額が減ることになります。

 

すると、子会社Bがある外国の税務当局は、こう思います。

 

子会社Bは、不当に高い対価を日本に支払わされた。その分、自分たちの取り分が減った

 

この場合、子会社Bが存在している外国の移転価格税制の問題となり、子会社Bは、その国の税務当局から追徴課税を受けることになります

 

 

親子間取引における注意点

 

つまり、独立企業間価格よりも低い価格を設定した場合も、高い価格を設定した場合も、どちらの場合も、どちらかの国の税務当局が「移転価格だ!」と言ってきて、追徴課税をされる可能性があるわけです。

 

そのため、親子間の取引は、常に、「これって、移転価格じゃないかな?」「不当に安く(高く)していないかな?」という目で確認する必要があります。

 

営業部門や法務部門としては、そのような疑いを持った時に、自社の経理部門に、「この金額で移転価格の問題はない?」と確認を求めれば、あとは、経理部門が、その製品における「独立企業間価格」を色々と調べて、それと比較して対応してくれると思います。

 

①税務知識の必要性について ②二重課税と租税条約 ➂PEなければ課税なし!外国に支店、建設現場、代理人を使う場合は事前に経理に相談しよう! ④租税条約のPEについての条文を実際に読んでみよう!
⑤移転価格税制と独立当事者間価格について

 

 

この記事を書いている人 - WRITER -
英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
詳しいプロフィールはこちら

- Comments -

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

Copyright© 本郷塾で学ぶ英文契約 , 2017 All Rights Reserved.