最低限の税務知識の必要性について
「税務なんて、経理部門や財務部門の担当領域であって、自分たちは全く関係ない」
「税務?そんなの知ってたって何の役にも立たない」
営業部門や法務部門の中には、このように感じている人もいるかもしれません。
しかし、私は法務部門として仕事をしている間に、「少しは税金のことも知っておかないと困るな」と感じました。
税務の知識がないと困る場面
通常、法務部門は、営業部門や技術部門といった事業部門からの相談を受けるのがメインで、経理や財務の方々と仕事をする場面はそう多くはありません。
そして事業部門から依頼された契約検討をしていても、何かプロジェクトに参加していても、「自分は契約書だけ見てればいい!」とか、「法律に違反するかどうかだけ考えていればいい!」と思いながら仕事をしてしまいがちです。
そして事業部門の方々も税務にさほど詳しいわけではないので、本当ならば税金について気を配らなければならない場面なのにも関わらず、事業部門も法務部門もそれに気が付かずに案件を進めてしまい、契約締結ギリギリになって、税金についての配慮をしなければならなかったことを経理や財務から指摘され、慌てて対応しなければならないことになった、ということが何度かありました。
経理や財務に相談しないと!と気付けるレベルを目指す
そこで私は、書店で税務関係の、薄くて簡単な書籍を何冊かを購入し読み漁りました。
すると、それ以降、仕事の中で、「あっ、これ、経理に確認しておいた方がいいポイントだな」と思うことができるようになりました。
確かに、税務を本当に隅から隅まで理解しようとすれば、それこそ分厚い参考書でしっかりと勉強しなければならないかもしれません。しかし、会社では、税務のスペシャリストとして、経理部門や財務部門の方々がちゃんといるわけです。なので、自分自身が税務のスペシャリストになる必要は全くありません。
一方、「ここは経理に確認しておくべき点だな」ということにすら気が付かないようだと、その経理や財務の方々に相談する必要性も感じられず、本来手当てするべき税務的な問題への対応をせずに契約を進めてしまうという事態にもなりかねません。
知っておくべき用語・制度
ここで、私は、営業部門・法務部門がその仕事の中で遭遇する税務問題は非常に限られているのではないかと感じています。
具体的には、以下の用語の意味・制度の内容についての基礎的なところを抑えておけば、特段不都合はないように思います。いえ、というよりも、むしろ、「君、結構税務のポイントに気が付ける人だね~」と言われるくらいになれるかと思います。
・PE課税
・恒久的施設
・租税条約
・外国税額控除制度
・183日条項
・移転価格税制
・独立当事者間価格
・寄付金課税
・過小資本税制
・外国子会社配当益金不算入制度
・源泉徴収課税
・組織内再編における課税
・関税
・印紙税
そこで、このブログでは、営業部門・法務部門が知っておくと役に立つ税務の基礎知識として、上記の用語・制度について、何回かに分けて解説していきたいと思います。
①税務知識の必要性について | ②二重課税と租税条約 | ➂PEなければ課税なし!外国に支店、建設現場、代理人を使う場合は事前に経理に相談しよう! | ④租税条約のPEについての条文を実際に読んでみよう! |
⑤移転価格税制と独立当事者間価格について |
2023年12月22日から、7冊目の著書、『1日15分で習得 契約類型別英単語1100』(中央経済社、価格:2,530円(税込み))が出版されました!
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今回は、これまで以上に、見やすさと使いやすさを重視して本を作りました。
本書で学ぶことで得られる効果
自分の業務に必要な範囲に絞って効率よく英文契約書で頻出する英単語を身につけることができます。
それは、本書が以下に記載する特徴を備えているからです。
1.英文契約で頻出する英単語を契約類型毎に分類して掲載しています。
これにより、ご自分の業務でよく触れる機会がある契約で頻出する英単語に絞って取り組むことができるので、必要な分だけ効率よく契約英単語を身につけることができます。
具体的には、以下のように分類しています。
第一章 絶対に押さえておきたい英単語
第二章 英文契約の条文の基本的な型を構成する英単語
第三章 秘密保持契約の英単語
第四章 売買・業務委託契約の英単語
第五章 販売店契約の英単語
第六章 共同研究契約の英単語
第七章 ライセンス契約の英単語
第八章 合弁契約の英単語
第九章 M&A契約の英単語
第十章 一般条項に関する英単語
第十一章 その他の英単語
なお、どの分野の契約書を読む場合でも、まずは第一章~第4章の英単語を集中的に身につけることをお勧めします。これらの章に掲載されている英単語は、第五章~第九章までのどの種類の契約書にも頻出する英単語だからです。
2.同義語・類義語・反義語の英単語を近くに配置しています。
そのため、それらをまとめて覚えることができます。
バラバラに覚えようとするよりも、記憶に定着しやすいはずです。
3.単語の単純な意味を知っているだけでは業務を行う上では十分とはいえない50を超える単語について、重要事項として解説をしています(P162以降をご参照)。
例えば、liquidated damagesは「予定された損害賠償金額」ですが、これは具体的にどのようなものなのか?という点について、業務を行う上で最低限押さえておくべき事項を記載しております。