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本郷塾で学ぶ英文契約

英文契約でsuffered by、sustained by、incured byとは?

2024/02/11
 
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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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「~を被る」という表現が使われる場面

 

今回は、「~を被る」という表現についてご紹介したいと思います。

 

「~を被る」の「~」にはどのような言葉がくるのかと言いますと、「遅れ」や「費用」や「損害」といったものが多いです。

 

英文契約は、当事者間の権利義務を定めている文書です。

 

特に義務を中心に定めています。

 

この義務に違反するとどうなるでしょうか?

 

違反をされた当事者は、自分の作業に遅れが出たり、追加費用が生じたり、損害が発生したりしますよね。

 

このとき、「遅れを被る」、「追加費用を被る」、そして「損害を被る」といいます。

 

そして、遅れ、追加費用、損害等を被った当事者は、違反をした当事者に対して、「納期延長」、「追加費用の支払い」、「損害の賠償」を求めることができる、と契約書で定められているはずです。

 

つまり、以下のような条文が契約書に定められていることが多いと言えます。

 

「当事者Aの契約違反によって、当事者Bがその作業に遅れを被ったら、当事者Bはその分納期を延長してもらえる」

 

「当事者Aの契約違反によって、当事者Bが追加費用を被ったら、当事者Bはその追加費用を負担してもらえる」

 

このように、相手方当事者が契約違反に陥った場合の扱い定める条文中に、「~を被る」という表現が使われるのです。

 

ちなみに、この「~を被る」という表現は、英文契約書に限らず、相手方当事者に対してクレームレターを書く際にもよく使われます。

 

クレームレターとは、相手方当事者が契約に従わない場合に、契約違反に陥っていること相手方に伝え、その契約違反によって自分が被った工程の遅れや追加費用の請求をするレターのことです。

 

このクレームレターの中では、「あなたは契約書の○条に違反しています。それによって私達は、工程に遅れや追加費用を被りました。よって、納期を延長し、追加費用を支払ってください」というようなことを書くことが多いです。

 

以上から、「~を被る」という表現が英文契約書やそれに関するクレームレターでよく使われるということをわかっていただけたかと思います。

「~を被る」という表現

 

では、「~を被る」とは、どのような表現を使うのでしょうか。

 

まず、「遅れ(delay)」や「損失・損害(loss、damage)」を被る場合は、sufferまたはsustainが使われます。

 

一方、「費用(expense、cost)」を被る場合は、incurが使われます。

 

この点、英和辞典を見ると、sufferincurもどちらも「~を被る」という訳が充てられており、両者が「遅れ」「損失・損害」と「費用」とで使い分けがなされているわけではないように思えます。

 

しかし、これはあくまで私の経験なのですが、以下の例文のように、英文契約書では、「遅れ」「損失・損害」はsuffer、「費用」はincurという使い分けがなされているものが多いです。

 

If the Contractor suffers delay and/or incurs additional cost due to a failure by the Owner to perform the Owner’s obligation under this Agreement, the Contractor is entitled to an extension of time for any such delay and a payment of any such additional cost.

 

訳:もしもコントラクターが本契約に基づくオーナーの義務の履行がなされないことによって工程の遅れを被る、または追加費用を被った場合には、コントラクターはかかる遅延分の納期の延長、および、かかる追加費用を請求することができる。

 

よって、英文契約やクレームレターにおいては、「費用」の場合は、incurを、「それ以外の何か好ましくないもの」を被る場合はsufferを使う、という使い分けをするのがよいと思います。

 

 

additional cost incurred by~とdelay suffered by~について

 

なお、このincursufferは次のような過去分詞の形でも使われます。

 

The Owner shall reimburse to the Contractor any additional cost incurred by the Contractor due to the failure of the Owner’s obligation under this Agreement.

 

訳:オーナーは、本契約に基づくオーナーの義務違反に起因してコントラクターが被った追加費用をコントラクターに対して償還しなければならない。

 

ここでは、any additional cost incurred by the Contractorとあり、「コントラクターによって被られた追加費用」=「コントラクターが被った追加費用」となります。意味を理解する際に、ここでは追加費用を被る主体がコントラクターである点にご注意ください。

 

 

The Contractor is entitled to an extension of time for any delay suffered by the Contractor due to the failure of the Owner’s obligation under this Agreement.

 

訳:コントラクターは、本契約に基づくオーナーの義務違反に起因してコントラクターが被った工程の遅延分だけ納期の延長を得ることができる。

 

ここでは、any delay suffered by the Contractorとあり、「コントラクターによって被られた遅れ」=「コントラクターが被った遅れ」となります。意味を理解する際に、ここでは遅れを被る主体がコントラクターである点にご注意ください。

英文契約の頻出英単語レベル3! 契約違反と責任関係の表現です!

1.契約に違反する

2.liability

3.リキダメ、LD、liquidated damages

4.(損害等)を被る

5.故意・重過失

6.保証

7.契約不適合

8.不適合がない

9.保証・免責する

10.権利を侵害する

11.間接損害と逸失利益

これを覚えれば英文契約をずっと読みやすくなる!英単語レベル2

1.「契約を締結する」

2.契約締結日と発効日の違い

3.「~を履行する」

4.「費用を負担する」

5.例示列挙(非制限列挙)

6.事前の通知と事前の同意

7.「添付資料

8.英文契約でwhereとは?

9.「in which case/event」とは?

10.「契約の終了」

英文契約を読むなら、まずはこの英文契約の基本的な表現と型を押さえましょう!レベル1

英文契約を読む際に、まずこれだけは押さえておくべき!という英文契約の基本的な型を構成する英単語は以下のようなものです。

hereto/hereof/herein/hereinafterやthereof/thereby/thereafterなど

shall 義務

shall not 禁止

may 権利

if, when, whereなど、「~の場合」を表す表現

unlessやexceptなど、「~でない限り」、「~を除いて」を表す表現

otherwise「別途」を表す表現

notwithstanding ~にかかわらず

regarding, in connection with, in respect ofなど「~に関して」を表す表現

to the extent ~の範囲で

pursuant to, in accordance withなどの「~に従って」を表す表現

provided inやspecified inなど、「~に定められている」を表す表現

however provided that 「ただし」を表す表現

目次
第1回 義務 第10回 ~に関する 第19回 知らせる
第2回 権利 第11回 ~の場合 第20回 責任
第3回 禁止 第12回 ~の範囲で、~である限り 第21回 違反する
第4回 ~に定められている、~に記載されている 第13回 契約を締結する  

第22回 償還する

第5回 ~に定められている、~に記載されている (補足) 第14回 契約締結日と契約発効日 第23回 予定された損害賠償額(リキダメ、LD)
第6回 ~に従って 第15回 事前の文書による合意 第24回 故意・重過失
第7回 ~に関わらず 第16回 ~を含むが、これに限らない 第25回 救済
第8回 ~でない限り、~を除いて 第17回 費用の負担 第26回 差止
第9回 provide 第18回 努力する義務 第27回 otherwise

 

 

第28回 契約の終了

第38回 権利を侵害する 第48回 遅延利息
 

第29回 何かを相手に渡す、与える

第39回 保証する 第49回 重大な違反
 

第30回 due

第40回 品質を保証する 第50回 ex-が付く表現
第31回 瑕疵が発見された場合の対応 第41回 補償・品質保証 第51回 添付資料
第32回 ~を被る 第42回 排他的な 第52回 連帯責任
第33回 ~を履行する 第43回 第53回 ~を代理して
第34回 果たす、満たす、達成する 第44回 第54回 下記の・上記の
第35回 累積責任 第45回 瑕疵がない、仕様書に合致している 第55回 強制執行力
第36回 逸失利益免責条項で使われる様々な損害を表す表現 第46回 証明責任 第56回 in no event
第37回 補償・免責 第47回 indemnifyとliableの違い 第57回 for the avoidance of
 
第58回 無効な 第68回 representations and warranties
第59回 whereについて 第69回 material adverse effect
第60回 in which event, in which case 第70回 to the knowledge of
第61回 株主総会関係 第71回 GAAP
第62回 取締役・取締役会関係 第72回 covenants
第63回 indemnifyとdefendの違い
第64回 Notwithstandingと責任制限条項
第65回 M&Aの全体の流れ
第66回 conditions precedent
第67回 adjustment

【私が勉強した参考書】

基本的な表現を身につけるにはもってこいです。

ライティングの際にどの表現を使えばよいか迷ったらこれを見れば解決すると思います。

アメリカ法を留学せずにしっかりと身につけたい人向けです。契約書とどのように関係するかも記載されていて、この1冊をマスターすればかなり実力がupします。 英文契約書のドラフト技術についてこの本ほど詳しく書かれた日本語の本は他にありません。 アメリカ法における損害賠償やリスクの負担などの契約の重要事項についての解説がとてもわかりやすいです。

 

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英文契約・契約英語の社内研修をオンラインで提供しています。本郷塾の代表本郷貴裕です。 これまで、英文契約に関する参考書を6冊出版しております。 専門は海外建設契約・EPC契約です。 英文契約の社内研修をご希望の方は、お問合せからご連絡ください。
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