新しいこと、前例のないことを始めたときに受ける反対、反発を乗り越えるための方法

      2017/02/05

 

前回の続きとして、新しいこと、前例のないことを始めたときに受ける反対・反発を乗り越えるための方法についてお話しします。

 

まず、新しいこと、前例のないことを始めると反対、反発を受ける理由は、大きくは以下の3つでした。

 

①   新しいものに対する無知

②   新しいものを採用することで起きる失敗の責任を取りたくないというリスク回避

③   新しいものが成功した場合に、古いやり方に従っていた自分達の地位が脅かされることからくるねたみ

 

天然痘と戦った良策の場合は、上記の3つは具体的には以下でしたね。

 

①   世間一般人の無知(無知)

②   藩役人によるリスク回避のための非協力(リスク回避)

③   藩医達によるねたみに基づく妨害行為(ねたみ)

 

これらに対して良策はどう立ち向かったのか?そしてどうやって乗り越えたのか?

 

それは、

 

決定権者と良好な関係を持ち、決定権者を動かした」です。

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つまり、協力しない藩役人や対する藩医らを無視しました。

 

 

「え?そんなこと?」

 

 

いやいやいや、これは本当に大事です。

 

もしも良策がこれを怠っていたなら、日本から天然痘が撲滅されたのはいつになったのかわかりません。

 

良策のこのやり方が、天然痘の脅威から日本を救った!と言っても過言ではありません。

 

以下、具体的に内容を見ていきます。

 

 

牛痘の苗を取得するまで

 

牛がかかった天然痘を牛痘と言います。

 

この牛痘は人間にも感染します。

 

しかし、人間がかかる天然痘とは異なり、牛痘にかかっても人間は死にません。その症状は軽く病も起きません。

 

しかし、牛痘にかかった人間は、その後、生涯天然痘にかからないことがはっきりしていました。

 

よって、牛の牛痘を人間に植え付けてしまえば、その者は天然痘にならずに済むわけです。

 

そして、牛痘の苗を人間の腕に植え付けると、その腕に赤い吹き出物ができます。その吹き出物は膿を持っています。

 

その膿をすくい取り、今度は別の人間の腕に植えてやるのです。

 

すると、その人間も、生涯天然痘にかからなくなるのです。

 

つまり、一人の人間に牛痘を一度植えた後は、そこから次々と他の人間に牛痘を植えていくことで、天然痘にかからない人間を増やしていくことができるのです。

 

その始まりとしては、ともかくも、牛痘の苗を手に入れることです。

 

では、この牛痘の苗はどのようにすれば手に入れられるのか?

 

それは、外国で天然痘にかかった牛から牛痘の苗を分けてもらい、それを長崎に輸送してもらうというものでした。

 

なんとなく、簡単そうですよね?

 

しかし、一つ難問がありました。

 

それは、鎖国をしていた当時、牛痘の苗を日本国内に持ち込むことは、禁止されていたのです。

 

つまり、国禁を犯さないと、牛痘を手に入れることはできず、それはつまり、天然痘を撲滅することはできない、という状態だったのです。

 

国禁を犯すなんて、普通に考えたらできなそうですよね。

 

しかし、良策は一つの手を考えました。

 

それは、福井藩主の松平春嶽を通し、幕府から牛痘の輸入についての承諾を得るのです。

 

春嶽は、領民に対する愛情も深く、天然痘に対して何とかしたいと思っていたはずでした。

 

天然痘を何とかする方法があると知れば、春嶽はきっと引き受けてくれるに違いない!

 

また、春嶽は、徳川将軍家の親族に当たる徳川三卿の一つ田安家の出身で、幕府に対する発言権も強かったのです。

 

人命を救うという尊い目的のための牛痘の輸入は、春嶽が幕府に頼めば、例外として許可されるはずだ!

 

良策はそう思いました。

 

良策は、まず、通常の手続き通り、福井藩の役人に牛痘苗の輸入に関する嘆願書を提出しました。役人から春嶽に取り次いでもらうようにお願いしました。

 

しかし、これは、前回お話しした通り、「何かあったら責任を取らされる」とおそれた役人により、2年以上も放置されます。

 

良策が何度も藩役人のところに嘆願書についてお願いをしに行くたび、藩役人は「検討中である」と繰り返していましたが、いよいよしつこく迫った良策に、藩役人は、「お前の嘆願は、子供だましの申し出だ!受け付けるわけにはいかない!」と言い放ちました。

 

 

・・・みなさんなら、ここでどうしますか?

 

さらに繰り返し藩役人にお願いしますか?

 

それとも、諦めますか?

 

 

良策は、藩役人を見限りました

 

「こんなアホにお願いしても一生前に進まねえ!」

 

そう思った良策は、福井藩医で最も優れた医家といわれ、西洋医学についても詳しく、学識と人格を松平春嶽から買われているお匙医の半井元沖に嘆願書を春嶽へ取次いでくれるようにお願いしました。

 

半井は良策の申し出を快諾しました。

 

そして早速、側用人の中根雪江に相談しました。

 

中根雪江も西洋文明に深い理解のある新しい思想の持主でした。春嶽もそんな中根のアドバイスをよく取り入れていました。

 

中根は、半井から渡された良策の嘆願書を読みました。

 

そして、速攻で春嶽に嘆願書について伝えました

 

その結果は・・・

 

春嶽は、中江の進言を即座に聞き入れました。

 

そして、幕府老中である阿部正弘は、許可を出しました。

 

良策→半井→中江→春嶽→幕府

 

という段階を経て、良策の嘆願はついに実現したわけです。

 

藩役人を相手にしていた2年半は一体なんだったのか・・・というくらいのスピード感です。

 

 

牛痘の苗を取得してから

 

こうして、福井藩主松平春嶽の許可を得た良策は、早速牛痘の苗を長崎に送ってもらいました。

 

その後も、いくつかの苦労はありましたが、何とか福井藩まで牛痘を持ち込むことができました。

 

これでめでたしめでたし・・・・。

 

とはならなかったんです!残念ながら!!

 

せっかく良策が苦労の末に種痘をできる環境を整えたのに、福井藩の一般人たちは、良策のいうことを信じませんでした。

 

幕府の進めるいかがわしい薬(毒?)は飲むのに、良策のいう種痘を信じなかったのです。

 

そのため、良策は、やむなく、またも藩役人にお願いします。

 

「幕府も許可した牛痘の苗を使って種痘をするように藩の人々に言ってください!」

 

しかし、藩役人は、無視を決め込みます。

 

その理由は、またも、「もしも種痘で誰かが天然痘になったら、自分たちが責められるから」というものでした。

 

幕府が許可しているのになんでそんなに慎重なの???

 

さらに、良策が幕府の許可を得たことを知った福井藩医達は、町医者の良策へのねたみから、積極的な妨害活動を行います。

 

一般の人々には、「種痘なんてやっても天然痘を防げない」と教えます。

 

無知な一般人らは、それを信じてしまいます。

 

そうして、またも数年の期間が経ちました

 

その間、良策は一般の人々からまで投げつけられます。助けようとしている人から石を投げられとは、どんな気持ちだったでしょう。

 

さらに、良策は一般の診療もせずに種痘を広めることに取り組んでいたので、生活も、家族もろとも、困窮を極めます

 

 

そんな良策がとった最後の行動は・・・

 

またも松平春嶽にお願いしました。

 

松平春嶽が参勤交代で江戸から帰ってきた際に、一緒に戻ってきた半井元沖を訪問し、現状を伝えます。

 

元沖は早速、春嶽に報告します。

 

すると、春嶽は、速攻で藩役人および福井藩医らに、種痘に協力するように命令します。

 

すると、藩役人も藩医も、良策に協力し始めます。まさに、態度が一変したのです。

 

おい!って感じですね。もちろん、ここで拒否したらそれはそれで頭に来ますが、お前らは一体何なんだ!?

 

その後、種痘は大阪でも江戸でも行われます。

 

各地に種痘を行う種痘所も設けられていきます。

 

江戸に官立の種痘所が設立されたのは、大老井伊直弼が桜田門で暗殺されたときです。

 

それは、良策が「天然痘を何とかしたい!」と思ってから、20年以上の年月が経過していました。

 

 

現代の天然痘撲滅プロジェクト

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良策の活動が最後に身を結んで本当に良かった!

 

でも・・・、天然痘撲滅プロジェクトは、昔のこととして片づけてよいのでしょうか?

 

確かに、天然痘は、その後、日本のみならず、世界から根絶しました。

 

しかし、新しいこと、前例のないことが、正当な理由もなく実現されないという状況は、何ら変わらず今も続いているはずです。

 

昨日も今日も、そして明日だって、この国の至る所で、会社や世の中を少しでも良くしようとする高邁な精神を持った「誰か」にとっての天然痘撲滅プロジェクトは、見事に握りつぶされています。

 

握りつぶしているのは、無知な人たち、失敗した時の責任を取りたくないというリスク回避思考の人たち、そして、古いやり方に拘り、新しいことをしようとする人間をねたむ人たちです。

 

笠原良策のプロジェクトは終わりましたが、私たちのプロジェクトは今後もずっと続きます。おそらく、この世が続く限りこの戦いは続くでしょう。

 

そんな障害を乗り越えるための方法として、「決定権者に直接働きかけること」が有力な手段の一つになることを、笠原良策は教えてくれているように思います。

 

 

権威のある者が大丈夫だと言えば、理由もなく大丈夫だと信じる人たち

 

「前例のないことなんて危ないことしていられるか!」と、人生を減点主義で生きる人たち

 

世の中が前進することよりも、自分の利益の確保に血眼になる人たち

 

そんな人たちによる妨害活動も、決定権者の一声で一掃されます。

 

協力しない人達、妨害してくる人達を相手にして浪費する時間と労力はもったいない。

 

その同じ時間と労力は、直接決定権者を説得するために使う。

 

直接の上司が妨害者なら、さらにその上の上司の了解を得ようとする。

 

その人も妨害者なら、さらにその上の人に接近する。

 

本当に自分の提案に意義があると思うなら、上司に否定されたくらいで自分の案を引っ込めてはいけない。

 

 

あなたは、そこまでして通したいプロジェクト、ありますか。

 

仕事に関する記事の目次

何かに挑戦したいと思っているのに、そのための一歩が踏み出せないでいる人へ

リスク管理をしっかりしたいと思っている人へ

何をやるにも、人の目や評価が気になってしょうがない人へ

「会社って、そもそも誰のものだっけ?」と疑問を抱いている人へ

「自分には何の才能もない」と思っている人へ

部下を上手に叱る方法を模索している人へ

仕事における段取りや根回しってどんなものかよくイメージできない!という人へ

何かの資格試験に落ちて、「もう人生終わりだ!」と思っている人へ

新しいことをしようとしたら、周りから猛烈な反対を受けて、しょんぼりしている人へ

「完璧にできないくらいなら、初めからしないほうがよい」と思っている人へ

本当は主役になりたいのに、いつも主役になれないと落ち込んでいる人へ

「絶対にやりたい仕事につきたい!」と考えている人へ

上司に取り入っていろうとしている人を見ると、寒気がしてきてしまう人へ

いつも残業しているが、そんな現状をなんとか変えたいと本気で思っている人へ

会議になると、いつも発言することをためらってしまう人へ

「仕事で評価される人は自分とは何が違うんだろう?」と疑問に思っている人へ

文章の作成スピードを速めたいと考えている人へ

いつも失敗するのがこわくて挑戦できない人へ

いつも嫌な仕事を任されることが多い、と嘆いている人へ

「社会人になると、学生の時と一番何が違うんだろう?」と疑問を抱いている学生の方へ

「仕事って、どんなときに楽しさを感じられるんだろう?」と疑問を持っている人へ

「絶対に失敗したくない!」といつも考えている人へ

「部内の飲み会なんて、どんなに遅刻してもよい、なぜなら仕事じゃないんだから」と考えている人へ

学生時代に頑張ったことが「勉強」だと、就活に不利だと思い、やりたくもないサークルに今から入ろうかな、と考えている学生の方へ

「社会人は、一体何に一番力を入れるべきなんだろう?」と悩んでいる人へ

いつも、「先輩に言われたことをしっかりやろう!」と考えている人へ

「交渉方法を教えてくれる本がないかな~」と思っている人へ

今日も自分の案があっさりと却下され、「もう提案なんかしない!」と思ってしまった人へ

「もう、自分が輝ける時間は残り少ない」と悩んでいる人へ

「給料を上げる方法を知りたい!」という人へ

いつも人生をゼロか百で考えてしまう人へ

記憶力をアップさせたい!という人へ

「大学の単位は全てA評価を取らないと!」と思っている人へ

休日を楽しめない、休日になると憂鬱になる人へ

正しいことを主張するときは、普段よりも力を込めて語ってしまう人へ

文章をうまく書けるようになりたい人へ

「いつも正しくあろう!」と考えている人へ

世の中には、絶対的な正義があると思っている人へ

仕事ができるようになりたい!と思っている人へ

先輩や上司によく相談に行く人へ

最近、疲れがたまっている、という人へ

いつも、先輩に言われないと行動できないでいる人へ

いつも、なんでもかんでも先輩や上司に相談、報告している人へ

ねたまれないように生きていきたい、と考えている人へ

人間は機械にその仕事をいつか全部奪われる日が来るんじゃないか?とおびえている人へ

パワハラにあって、つらくて苦しくてしょうがない人へ

いつも答えは一つだと思っている人へ

会社で役員に案件を説明するのが嫌で嫌でしょうがない、という人へ

「自分は、知り合いが少ない」と嘆いている人へ

はじめてメンターになった人へ

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将来自分が何になりたいのか決められないでいる人へ

靖国神社ができたのは、太平洋戦争での戦没者の慰霊のためだと思っている人へ

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伊藤博文は、「初の内閣総理大臣」ということしか知らない人へ

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